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「罪と罰 白夜のラスコーリニコフ」 [DVD&Blu-ray]




『罪と罰 白夜のラスコーリニコフ』≪HDニューマスター版≫
★フィンランド・ユッシ賞 最優秀処女作品賞、最優秀脚本賞 受賞
1983年/フィンランド/カラー/ヴィスタ/93分/フィンランド語/モノラル/日本語字幕/原題:Rikos Ja Rangaistus/(C)Villealfa OY
アキ・カウリスマキ26歳、驚異の処女作。ヒッチコックでさえ映画化をためらった不朽の古典文学『罪と罰』に果敢に挑み、見事に映像化。
簡潔なカットとストイックなまでに抑制されえたセリフ。生のセンチメンタリズムを一切拒み、無常感とニヒリズムをたたえながら、思想なき氷のような世界を伝える。
労働者ラヒカイネン。かつては法学生だった彼は、ある日殺人を犯す。警察はある情報をもとに事件を怨恨の線から洗い出そうとするが、
容疑者ラヒカイネンは逃げも隠れもせず、まるでゲームのように警察の追求をかわす…。
監督・脚本:アキ・カウリスマキ/製作:ミカ・カウリスマキ/撮影:ティモ・サルミネン/共同脚本:パウリ・ペンティ/原作:ドストエフスキー『罪と罰』よりCAST:マルック・トイッカ、アイノ・セッポ、マッティ・ぺロンパー、エスコ・ニッカリ、オッリ・トゥオミネン

Amazon Prime Videoの無料を見終わったので、
年末に思い切って買った全集から、
未見のものを拾い始めた。

なんとまぁこれが処女作なのか。
全くと言って良いほど、
後のカウリスマキらしいユーモアが皆無で、
ただただ陰鬱なだけの身勝手な犯罪者。
そしてドストエフスキーで読んだときの宗教的な部分とか、
なんとなく救われる部分も皆無。
陰々滅々、最後の結論まで「天国なんてないさ」。

街中の情景が多かったので、
古いヨーロッパ車を観られるのは良かった。
それは本筋とは関係ないけれど。

なんで処女作にこれを選んだのか、
わからないわけではないけれど、
それでもこれはかなりのハードル。
と言うか、
そもそも棒高跳びのようなもので、
普通に言って「無理筋」。
多分誰がどう映像化しても、
ラスコーリニコフの内面は描ききれないし、
「100分de名著」でも掘り下げられたとは思っていない。

順番に観ているわけでもないし、
思いつきとその時の空き時間で選んでいるから、
カウリスマキがどう変わっていったのか、
それをまだ全然わかっていない私も悪い。

ただなぁ。

やっぱりこの作品はなかったと思う。
全然ダメとかではないし、
ロシアに近いフィンランドだからこそ、
いろいろと描きやすい部分もあっただろうし、
特に冒頭の食肉解体のシーンからの、
掃除をして血が流れるシーンは不穏さを象徴していて、
ものすごく何かを期待させる。
問題は悲惨さとユーモアもどちらも中途半端と言うことか。
時折「え?ここ笑って良いところ?」とかあるんだけど、
それがちょっと生々しい感じで迷っているうちに終わったり、
思いきり陰惨かと思えば特にすごい暴力もない。

「フィンランドの罪と罰はこんなモノだよ」

そういう風にとらえて良いのか?
疑問は残るがそうすることにする。


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「落下の解剖学」 [映画]



<STORY>人里離れた雪山の山荘で、男が転落死した。はじめは事故と思われたが、次第にベストセラー作家である妻サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)に殺人容疑が向けられる。現場に居合わせたのは、視覚障がいのある11歳の息子だけ。事件の真相を追っていく中で、夫婦の秘密や嘘が暴露され、登場人物の数だけ〈真実〉が現れるが――。

ものすごく謎めいた話なんだけど、
これがまたネタバレがない。
ハッキリとしたネタバレは登場しない。
観る側に想像力と推理力を要求する。
半分以上は法廷劇で、
その度に数々の推理とともに、
想像が繰り広げられる。
唯一の目撃者は弱視の息子。
父親を殺したとして裁判にかけられる母親。
ドイツ人の母親とフランス人の父親、
フランスの山奥で暮らす前にいたのはロンドン。 
フランス語が余り得意ではない母親は、
夫婦での会話は英語でするが、
裁判は容赦なくフランス語。
夫婦間で家族間で、
果たして微妙な意思疎通はできていたのか。
裁判で母親は自らの言いたいことを言えるのか。
多くのファクターが与えられる中で、
観る側は何を信じて何が嘘か、
それを見抜けるのか2時間以上緊張感を強いられる。

フランス映画を観る楽しみの一つは、
登場人物が乗る車が語るその人の性格。
今回「おおっ!」と思ったのが友人の弁護士。
なんと306ブレークのナウシカグリーン。
力強く山道を登っていくその姿に、
「ああ、この弁護士は地味で確実で信頼に足る人だ」
車種の選択がそれを実感させてくれる。
20年以上前の年式の306ブレーク、
信頼に足る足回りと重量感と堅実さ。
インタビュアーはスズキのコンパクト。
これもまたクラスと機動力を感じさせる。
こういうところで映画の背景の作り込みの良さを感じる。

法廷劇だけど謎解きではない。
スッキリするかと言われれば、
そこが見所ではないと思う。
家族の歪んだ関係や不正直さ、
息子の事故に絡む思いが、
二人の中で重く暗い澱を残しており、
息子の怪我から金銭的にも困窮し、
フランスの山荘に引っ越すことになり、
妻は売れっ子の作家となり、
夫は書き物を形にできないまま、
その関係は更に歪んでいく。
つまりはその彼らの心の解剖。
落下した夫がそこに至るまでに、
一体彼らに何があって、
何がどういう反応を引き起こしたのか。

くれぐれも「ボーはおそれている」と、
「落下の解剖学」のダブルヘッダーはオススメしない。
日を分けてもなお疲労感が残る。
どちらも面白いのだけど、
頭の片隅にも心の奥底にも、
割り切れない酷い重石が残る。
もし両方とも笑い飛ばせる方がいるなら、
それはそれで止めないしオススメするけれど。


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「ディア・ピョンヤン」 [WOWOW]



2006年公開/日本・韓国/作品時間107分
人生のすべてを《祖国・北朝鮮》に捧げる両親のもとで育ったヤン・ヨンヒ監督が、10年にわたって両親と、平壌で暮らす兄たちの姿を記録し続けた家族ドキュメンタリー。

ヤン・ヨンヒ監督のドキュメンタリーは、
いつ観てもやるせなくて切ない気持ちにさせられる。
この作品でも心が引き裂かれるような、
何ともいえないつらさに襲われた。

在日の中でも朝鮮籍を選んだ両親。
そして帰国事業で3人の息子を北朝鮮に送り出す。
そのこと自体は本国から評価され、
総連の幹部として父親に大きな誇りをもたらす。
そしてそれを機に母も総連の仕事に精を出す。
一方のヤン・ヨンヒ監督は、
特に何の疑問も持たずに朝鮮学校に行き、
優秀だったので北朝鮮を訪問することも出来、
兄たちと再会することもできた。
しかしやがて自分の道を歩み始めると同時に、
朝鮮籍であることが大きな足かせになる。
正式に国交のない国には行かれない。
何より韓国に行くことができないのだ。
だから自分は韓国籍にしたいと言い出したときに、
最初父親は絶対に許さないと言った。
彼女が映像の仕事をする上に置いて、
渡航できる国が限られるのは大きな足かせになる。
それでも最初に言い出したときは家族は一緒であるべきとした。

年月が経って、
ご機嫌に酔っ払った父親を撮影しながら、
ヤン・ヨンヒ監督が国籍変更の問題を問いかけると、
「変えても良いよ」という。
強硬に反対した以前とうって変わって、
柔和な表情で「すれば良い」という。
時代も流れて娘の仕事にもそれが大きく影響すること、
だから変えてもかまわないというのだ。
思えばもっと早く南北統一、
国交が多くの国と結ばれると思っていたのだろう。
総連幹部として力を尽くしてきたからこそ、
3人の息子を全員帰国事業で北朝鮮に送ったからこそ、
金日成、金正日親子を崇拝していたからこそ、
今の状況がよくわかっているのだ。
ましてや「地上の楽園」に送ったはずの息子たちに、
日本から物品、カネの仕送りが欠かせない状況。
自分達から会いに行くことはできるが、
息子たちが日本に来ることはできない。

政治思想も価値観も、
親子だからと言って一致させる必要はない。
しかしイデオロギーで対立するのは哀しい。
だけど朝鮮籍と韓国籍の選択は、
イデオロギー以上に生活上の利便性が大きい。
実際問題「GO!」でも「ハワイに行きたい」と言うことで、
朝鮮籍から韓国籍に変更するシーンがある。
最初にこれを読んだときはよくわかっていなかったが、
やっとその意味がわかるようになり、
「その程度のものだ」と父親を切り捨てたのも理解できた。

戦後今年で79年。
今もまだ様々な問題燻っている。
年数が経てば経つほど、
歴史として「なかったこと」にしようとする動きが強くなり、
戦前のようなヘイト、差別が強くなる。
「在日特権」という存在しないものばかりがクローズアップされる。
私が知りうる限り「在日特権」が存在するとすれば、
他の外国人と違い、
雇用保険を取得するときに在日は在留カードの内容を登録しない。
ただそれだけのことだ。

この後の「スープとイデオロギー」にいたって、
なぜ両親が朝鮮籍にこだわったのかがわかる。
血も凍るようなその体験は、
おそらく日本では一般的に知られていないだろう。

そんな家族の肖像は、
哀しさと楽しさと悦びと怒りで、
それぞれが引き裂かれている。

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「ボーはおそれている」 [映画]



日常のささいなことでも不安になる怖がりの男ボーはある日、さっきまで電話で話してた母が突然、怪死したことを知る。母のもとへ駆けつけようとアパートの玄関を出ると、そこはもう“いつもの日常”ではなかった。これは現実か? それとも妄想、悪夢なのか? 次々に奇妙で予想外の出来事が起こる里帰りの道のりは、いつしかボーと世界を徹底的にのみこむ壮大な物語へと変貌していく。

正直言ってアリ・アスター監督は苦手。
熱狂的なファンが多いけれど、
私はどちらかと言えば苦手。
「ヘレディタリー/継承」に関してはホラーとして、
即物的な恐怖と精神的な恐怖が途中で反転して、
何とも気持ちの悪いホラーという印象だった。
「ミッドサマー」は何度観ても途中で寝てしまう。
覚悟を決めて何とか頑張って観たが、
その宗教的な味わいと要素が受け入れがたかった。

ではなぜこの3時間の長尺を観る気になったか。
それはやはり公開前から評判が高かったのと、
ホアキン・フェニックスが主演だからだ。
それともうひとつ。
「オオカミの家」のホアキン・コシーニャ、クリストバル・レオン、
彼らが劇中のアニメーションを担当したと聴いたから。

冒頭からずっと、
ボーの頭の中の悪夢を見せられている感じ。
アニメーションのシーンは、
造形に特徴があるのですぐにわかる。
そして「オオカミの家」では味わえなかった、
華やかで美しいアニメーションも観られる。
ただそれさえもボーのおそれている世界なのだが。
余りに美しくて素晴らしくて、
3時間のうちこれだけでも観る価値は充分にある。
中身に関しては言わない方がいいと思うし、
この作品がアリ・アスター監督にしては、
ユーモラスであり声に出して笑えるところもあり、
滑稽なボーの姿にスラップスティックな雰囲気さえ感じる。



しかし。


最後にガツンとくる。
それは予想もしなかった形で。






一応警告だけはしておく。
「私がこんなに愛しているのに、 
なんで貴方はわかってくれないの?」
そういうタイプの毒親がいる人。
その人はできれば観ない方が良い。
そこから自分とボーが一体化して、
途轍もない苦痛になることもあると思う。
或いは客観的にそれを超越した人なら、
逆に家族を笑い飛ばせるかもしれない。
まぁ実際笑うしかないグロテスクな場面もあるし。

いずれにしても私はお腹いっぱいだ。
3時間という長丁場もあるけれど、
終わる頃にはぐったりしていた。

アリ・アスター監督の映画は、
腹の底から生えてきた手が、
心臓を揉みしだいて握りつぶすような感覚がある。
それがたまらなく好きな人もいるだろうが、
今回は題材も相まって私はギブアップ。
ただしホアキン・フェニックスの演技は素晴らしい。
それはまた観たいと思えるが、
トラウマが自分を潰しかねないので止めておく。

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「枯れ葉」 [映画]



【STORY】
北欧フィンランドのヘルシンキで、アンサは理不尽な理由から仕事を失い、ホラッパは酒に溺れながらもどうにか工事現場で働いている。ある夜、ふたりはカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま惹かれ合う。だが、不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざける。果たしてふたりは、無事に再会を果たし想いを通じ合わせることができるのか…? 

お待ちかねの「枯れ葉」。
めちゃくちゃ寒い冷たい雨の中、
シネコヤまで出かけて参りました。
でも行き帰りとも、
バスと電車の接続も良くて、
殆ど最短タイムで往復時間が済んでラッキー。

カウリスマキで泣かされた。
「哀愁(君の名は)」+「めぐり逢い」なのに、
独特のユーモアとその繊細な感情表現に、
最期号泣とは言わないけれど予想外に泣いた。

引退前と復帰前、
もちろんブランクがあるから同じ俳優は使えない。
だけど今回の俳優はちょっと今までとは少し違って、
それは彼女の特性でもあるだろうし、
彼女が照らし出す明かりのようなものでもあり、
ものすごくそれが画面を観る側の拠り所にもなる。
それほどに無表情が殆どの中で見せる、
彼女の笑顔はとてもチャーミングだった。

ともすれば「病葉」になってしまう寸前の二人。
惹かれ合って近づきながらも、
男のアルコールが二人を遠ざけてしまう。
「うつだから飲み過ぎる」
「飲み過ぎるからうつになる」
このコロンブスの卵のような言い訳、
依存症の言い訳にはありがちで、
そこから離脱するための苦しみを避ける言い訳。
カウリスマキの映画に登場する男にありがち。

そして背景として折に触れて流れるラジオ、
内容はロシアのウクライナ侵攻に関するニュース。
気が滅入るような戦争のニュースと、
どんどん職を失って落ちていく生活に反して、
アンサの身にまとう服の明るさとおしゃれな色に目を惹かれ、
その対比に何やら逆に不穏なものさえ感じる。
色彩の美しさに救いを感じながらも、
現実の暗さがより一層迫る。

「病葉」になりかかった男が、
女の言葉で一念発起。
まだまだ苦労は続くだろうが、
なんとか色鮮やかな「枯れ葉」となって前に進む。
そのわずかでも明るい未来が垣間見えること。
そのこと自体が何と幸せなことか。

つくづくカウリスマキはロマンチストだ。
だけどフィンランドはロシアの隣国、
もしかしたら彼が復帰したのは、
ウクライナ侵攻と無縁ではないのかも知れない。
そしてカウリスマキの中で一番と言えるロマンチストぶりと、
最後に感じさせる希望と未来には、
「諦めるな、戦い続けろ、もがき続けろ」
そんなメッセージも感じられた。 
 



余談。
ウクライナがなぜ降伏しないのか。
圧倒的不利だとわかっていて、
なぜ彼らは不屈の精神を持ち続けられるのか。
それは長い長い歴史があるから。
ウクライナはせっかく手にした独立を、
武力と暴力によって手放すわけには行かない、
因縁の長い長い確執と弾圧の歴史があるから。

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「浮き雲」 [Amazon Prime Video]

再就職への道 ― 映画「浮き雲」に見る失業から再就職へのプロセス ― 

面白い記事を見つけました。
私としては「描かれなかった部分を描いた『かもめ食堂』」って感じ。

おそらくカウリスマキ監督作品としては、
比較的感情表現が豊かな部類。
それはやはり失業からどん底を味わって、
最終的にはつかみ取る未来への希望があるから、
そこに付随する感情表現が最低限必要だったから。
他の作品はどちらかと言えば、
どん底からの希望なんだけど、
この作品は丹念に失業後の甘い見通しからの、
完全なる失望とどん底の気持ち、
どうしたら自分たちを変えられるのか煩悶して、
何とか意地で職場を自ら作り上げ、
今までの経験と地道な努力から作り上げた、
美味しい食事が客の胃袋を掴んでやがて迎える大団円。
自分が思うにはカウリスマキ間時作品の中でも、
とんでもなくハッピーで演劇的映像的作品。

ティピカルとは言いながら、
失業からの男の楽観的な再就職への希望と失意。
これがもうどうにもこうにも情けない。
これが描きたくてこの映画を作ったのではないかと思うほど。
大体においてカウリスマキの描く男は情けなくて、
社会の敗者であり弱者であるのだけれど、
それが一念発起して意味もなく突っ走って、
けっきょく元の敗者の位置に戻るんだけど、
気持ち的には自分と言う存在が変わっている。
そういう情けなさを今回「これでもか」と叩き落として踏みつぶし、
一方同じ失業者の妻は様々な思いをして、
経験をしながら同じように失望しながら、
結果的に信じられるものが何なのかをつかみ取って、
自分も夫も昔の仲間も幸せにしてしまうバイタリティを発揮。
「マッチ工場の少女」で虐げられて絶望して怒って、
凶行に及ぶ女性とは全く違う方向性。

いよいよシネコヤで「枯れ葉」が観られる日が近づいている。
敢えて早く観ることではなく、
「シネコヤで観る」と言うことにこだわった結果、
Amazonプライムビデオで無料で観られるカウリスマキは全部観たし、
Blu-rayセットも買えたので、
いろいろ準備と復習ができたラッキーな時間になった。

カウリスマキと言う人は、
本当に人間が好きなんだなぁと思う。
人間が決して完全なものではないから、
生活には浮き沈みがあって、
人生は長くつらいトンネルもあるから、
人間として輝くし人間として美しい。
その気持ちをごく自然な存在の人間として描き、
シニカルでつらい状況であっても、
どこかおかしい人間味を見せることで人を笑わせて幸せにさせる。
やっぱりこんな人が引退しちゃいけないと思う。
兄のミカ・カウリスマキも描写や表現は違うけれど、
人間が好きだし人間の機微が楽しいと思っている。
この兄弟は手法は違うし表現は違うけれど、
人間のおかしみと愛すべき側面を描写し、
人間賛歌を描き出しているのは同じなのだ。

さぁ「枯れ葉」。
ほぼほぼ「素晴らしい」以外の事前評は聴いていない。
それが自分にはまるかはまた別問題だけど。

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カンニング竹山単独ライブ「放送禁止2024」 [舞台]

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例によって行ってまいりました。
TVやラジオでは聴けない本音。 
絶対にこの場所以外では口外できない本当の想い。 
竹山さんが取り繕わずに自分をさらけ出す、
その場所だからこその価値がある。
コメンテーターが本音を言っていない、
適当に合わせていることも多いということ、
それがよくわかるから。

まぁ前半の前回ライブからの出来事。
そりゃもう無責任に笑える。
多少の毒はあっても愛にあふれているし、
好きだから取り上げる。
今回は奇跡のような出来事もあって、
「やっぱり持っている人は持っているなぁ」と。

後半、メイン。 
ある一人の男。 
ちなみに私、
この方のTwitterの内容嫌いですw。 
なぜかフォローされていますが。

この程度は書いてもいいかな。
でもここまでだな。

今回は過去の放送禁止での経験体験の蓄積、
これがフルに活かされていて、
いろいろと考えさせられました。
今までの放送禁止とはちょっと違って、
帰りに気分は面白かったけどちょっともやもやしました。

でもこれが放送禁止。
だから来年も行きますよ。
今回サンシャイン劇場が予想以上に駅から遠くて、
いままで歩いて行ったことがなかったから、
人ごみを歩いて予想以上に疲れたけれどw。


ちょっと都心からは離れるけど、
今までで一番好きだったのは天王洲アイルだな。 


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「孫文の義士団」 [DVD&Blu-ray]




孫文の義士団 (字幕版)

孫文の義士団 (字幕版)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2013/05/15
  • メディア: Prime Video


1906年、辛亥革命前夜の香港を舞台に、中心人物である孫文の暗殺計画を阻止するための、8人のボディーガードたちの戦いを描く歴史アクション巨編。『the EYE』シリーズのプロデューサー、ピーター・チャンと『アクシデンタル・スパイ』のテディ・チャン監督がタッグを組み、辛亥革命の舞台裏で起こった激動の物語を壮大なスケールで活写。ドニー・イェン、ニコラス・ツェーら実力派の共演、信念のために戦う男たちの覚悟が感動を呼ぶ。

あれ?ドニー・イェン出ているじゃん! 
というのりで観ました。

確かにドニー・イェンは良い。
相変わらずキレッキレのアクション。
この人の突きの肩を視点にした腕の出し方が好き。

ただね、
これは香港中国合作だけど、
どう見ても中国の国策映画。
清朝を如何にして滅ぼすに至ったか、
それを描きたくて仕方なかったから、
孫文の画策と移動を守るボディガードの戦いと、
狙う暗殺団と清朝のやり方を描いたのね、と。
その中でもドニー・イェンは満州人なのに、
別れた奥さんと子どものために清朝側と戦う。
まぁどうでもいいんだけど。

それにしても、
この当時の話っていろいろ描かれているけど、
香港にもあんなに満州人っていたんだ。
そりゃそうか。
当時は清王朝だったし、
満州人が漢民族を抑えていた貴重な時期だから。

まぁ歴史の勉強にはなります。
鵜呑みにはしないけれど。
でも孫文の辛亥革命だって、
けっきょくは中共に飲まれていくわけで、
まぁこれは漢民族が満洲族を追い出すことを、
「こうやって偉大な漢民族は多大な犠牲を払って、 
 その覇権を取り戻しました」って話。
そしてその満洲族は、
日本の傀儡として満州国建国に至るわけで、
なんだか複雑な気分で最後喜べなかったわ。

あとさ、
微妙に北京語と役者の口が合っていない気がする。
Blu-rayには「中国語」ってなっているだけだし、
本当は何語で作られたのもわからんけどね。

やっぱり「中国」の歴史映画はきっついなぁ。
香港映画は英国憎しだけど、
中国は基本日本憎しだし、
その前は満洲族憎し。
歴史の美化がさすが中国。

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「世界で一番しあわせな食堂」 [ムービープラス]




世界で一番しあわせな食堂 [DVD]

世界で一番しあわせな食堂 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ギャガ
  • 発売日: 2023/01/11
  • メディア: DVD


【ストーリー】
フィンランド北部の小さな村にある食堂へ、上海から料理人チェンとその息子がやって来た。
恩人を探していると言うが、知る人は誰もいない。
食堂を経営するシルカは、チェンが食堂を手伝う代わりに、恩人探しに協力することとなる。
恩人探しが思うように進まない一方で、チェンが作る料理は評判となり食堂は大盛況。
次第にシルカ、そして常連客とも親しくなっていくチェンだったが、観光ビザの期限が迫り、帰国する日が近づいてくる―

ミカ・カウリスマキ監督作品。

音楽がなんとなく、
モリコーネの西部劇風。
で、フィンランドの田舎で中国料理。
ちょっと「かもめ食堂」風味。

とにかく登場する爺さんたちが最高。
最初は狭い社会の爺さんらしく、
ちょっと排他的で差別用語バンバンだったのが、
チェンの作る料理に魅了されていくと同時に、
どんどん態度が変わっていくし、
薬膳もあるから身体も調子が良くなっていく。
胃袋をガッツリ掴まれたら、
人間関係も万事OK。
妻、母を事故で失って失意の父子も、
気付けば地域の一員。
で、いつしか心が通い合ったりして。

ベタな展開なんだけど、
料理というエッセンスが加わると、
こうもほっこりと温かい雰囲気が増すものか。
個人的には包丁使いとか、
入っているものを観るだけで、
何ともいえない幸せな気分になるので、
「世界で一番しあわせな食堂」は看板に偽りなし。
フィンランドの美しい風景もとても良いエッセンス。
時折起こる事件はスパイス。

料理って言うのは、
文化であるのと同時に生活。
だから料理を作る家庭を見せられたり、
美味しそうに食べる様子を見せられると、
その場所の全てに触れられているような気になる。


兄弟でもこんなに違うのかって当たり前だけど、
兄貴の方は正統派。
それが良いんだなぁ。
素直でじっくりと煮込まれたスープみたいに染み渡る。
「ポトフ」と言い、
おいしい映画って良いねぇ。

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「Pearl パール」 [WOWOW]





ダンサーを志ざし、スターの華やかな世界に憧れるパール。人里離れた農場で、厳格な母と体が不自由な父に育てられた彼女の愛への渇望が、スターへの夢を育み、両親からの異常な愛が、その夢を腐らせていく……。籠の中の無垢なる少女が抑圧から解き放たれたとき、比類なき無邪気さと残酷さをあわせもつシリアルキラーが誕生する!

A24製作のホラースリラー「X」の前日譚。
実はこれは三部作。

ミア・ゴスって女優、
決して美人じゃないし、
可愛いかと言えばかなり微妙。
どちらかと言えば貧相な感じすらする。
その彼女が田舎の農場に閉じ込められて、
夫は戦争に行って厳格な母と意思の疎通ができない父親に挟まれ、
スターになることを夢に見て、
それを生き甲斐に何とか毎日を過ごしているPearl。
その彼女の狂気が噴出するまでの物語。
そしてその後は・・・。

正直言って「X」が余り好きではなかった。
意図的に70~80年代のホラーに寄せていて、
殺人鬼の餌食になるべく若者が無茶をする。
ただ殺人鬼の正体が昔とは違って、
生身の爺さんと婆さん。
これがまた生々しくて気持ち悪かった。

だけどその思いが、
この映画を観るとちょっと変わってくる。
もう一度「X」を観ておこうという気にさせられる。
これがシリーズものというか、
連作映画の罠だ。
そしてまんまとはまるw。 
 
どちらの作品も万人に勧めはしないが、
A24特有のイヤホラスリなので、
お好きな向きにはたまらない。
こと無邪気な狂気の爆発暴発、
これが大好物の人にはたまらない。

いや、絶対に無理に勧めない。
そのくらい無邪気な狂気はエグイ。

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