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「マッシブ・タレント」 [WOWOW]




マッシブ・タレント

マッシブ・タレント

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2023/07/04
  • メディア: Prime Video


ハリウッドスター、ニック・ケイジは悩んでいた。多額の借金を抱え、心から望んでいた役は得られず、妻とは別れ、娘からは愛想をつかされていた。「かつて栄華を極めた俺の人生はもう取り戻せないのか―。」悲観する彼の下に、スペインの大富豪の誕生日パーティーに参加するだけで100万ドルが得られる高額のオファーが舞い込む。借金返済のため渋々受け入れたニックを、彼の熱狂的なファンだという大富豪ハビが待ち受けていた。

撮り逃しのないようにWOWOWシネマは24時間録画。
ちょっと魔が差して、
この映画を見始めてしまった。
もともとニコラス・ケイジは好きだ。
ブラッド・パックが全盛の中、
1人だけずば抜けて大人びた容貌でそこには入れず、
なまじ演技力があるだけに、
サブカルに好かれる監督たちに好かれ、
ハリウッド大作にも出演し、
大物俳優ともタイマンを張ってきた。
なのにその多趣味と浪費癖が災いして、
何度も何度も破産。
それでもまたかさむ借金を返すために、
彼は作品を選ばす出演し続ける。
本当はかなりの大物俳優のはずなのに、
その出演ペースは安いギャラの俳優のペース。

破産するのはコッポラ一族の運命なのか。
でもその名前を嫌って、
敢えて使わなかった男は今も忙しい男だ。

面白かった。
全く期待していなかったと言うのもあるが、
思った以上にバカバカしくて、
そのバカバカしさにふさわしくない演技力と、
その存在感の強さに圧倒されて、
ついつい見入って予想外に最後まで惹きつけられた。
借金まみれで家族とも巧く行かない。
おまけに俳優として賞味期限切れか?
それが本人役だ。
まったくもう破れかぶれにもほどがある。
だからストーリーもアクションも破れかぶれ。
あり得ないストーリーにあり得ない展開。
そのバカバカしさに思わず見入ってしまった。
いや、そのバカバカしさを演じて、
それでもなお惹きつける力がニコラス・ケイジにはある。
もはやそれは名人芸の粋だ。

あっちの話、こっちの話、
くっつけて出来上がったような映画ではあるが、
その映画を成立させられる男ニコラス・ケイジ。
彼の凄さを一番感じられる映画かもしれない。
シリアスな映画は山ほど観てきたが、
こんなコメディを演じながら、
彼に常に重心がある場面はすごすぎる。

彼こそ実はユニバースの中心に位置する人なのかも。

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「オールドマン」 [WOWOW]




オールドマン

オールドマン

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2023/11/03
  • メディア: Prime Video


<STORY>
深い森の奥に隠遁する老人(スティーヴン・ラング)の住む小屋に、迷子になった青年のハイカーがたどり着く。青年は助けを求めるが、老人はいきなり猟銃を突きつけ、「お前は殺人鬼かもしれない!」と全く信用しようとしない。老人は銃や刃物で青年を脅しながらも、めったにこない来客をどこか楽しんでいるようだった。緊張感が漂う中、老人に隠された“恐ろしい秘密”が徐々に明らかになり始め、青年に危険が襲いかかる。果たして、青年は無事に生きて帰ることができるのか…

前々から気になっていたし、
とりあえず放送されるなら録画。
で、観ているうちに既視感。
この不気味な老人、
「ドント・ブリーズ」の雰囲気満載。
で、予告を見てわかった。
この爺さん「ドント・ブリーズ」の爺さんその人だった。

途中で青年に不穏なものを感じて、
「これ、コイツがサイコパスじゃねぇか?」
実は爺さんを上回るサイコパスで、
これから大変な異ならないか?
なんてことを考えていたら、
予想とは違って内的な方向に話が向かった。
途中までは「これ爺さんをイーストウッドがやったら面白くね?」
「イーストウッドの方が含みがいろいろある分だけむしろ怖そう」なんて思っていた。
まぁそう思うくらいには面白かった。
「すると青年は?ブラッドリー・クーパーでは良い男過ぎる。」
「もう少し平均的アメリカンなつまらないタイプは誰だ?」
なんて暢気に思っていたのだけれど。

まぁこの脚本と結末では、
さすがにB級が精一杯。
申し訳ないけどイーストウッドがもったいない。
嫌いじゃないけれど。

つくづくホラーの展開と着地点は難しい。
スティーヴン・キングがいくらすぐれたホラーを書いても、
映画化が必ずしも成功するとは限らないのは、
ほんの少しの緊張感を削ぐ要素が、
全てを台無しにしてしまうからに違いない。

一度は見るけど二度は見ない。

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「THE WITCH/魔女 ―増殖―」 [WOWOW]



秘密研究所アークが何者かに襲撃され、殺戮の中でひとりの少女が生き残る。その少女は、遺伝子操作によって超人的なアサシンを養成する〈魔女プロジェクト〉の実験体だった。初めて研究所の外に出た少女は、ある姉弟と出会うことで、徐々に人間らしい感情に目覚めていく。しかし少女の秘められた力を危険視した〈魔女プロジェクト〉のペク総括は、彼女を抹殺しようとする。さらにアークを襲撃した謎の超能力者集団や、姉弟を狙う犯罪組織も加わり、哀しき宿命を背負った少女との壮絶なバトルの火ぶたが切って落とされる!

2022年作品か。
韓国映画の製作が多くて、
ハリウッド、DisneyPIXAR中心の日本では、
とても大手メジャーシネコンに入り込む余地がない。
漫画原作があふれていてオリジナルストーリーが少ない邦画より、
遙かにスケールもでかくて面白い脚本演出演技があふれているのに。

とにかくこのシリーズ、
血糊の量が半端ない。
前作もそうだったけど、
今作も冒頭からまぁ見事な血まみれ。
全くガキに阿る気持ちが感じられない。
そのガキが恐ろしくて究極の存在なのに。

最初は怠い。
前作の軽快さと後半のダークスリラーの対比も感じられず、
ただひたすら1人の少女を追う組織がいくつか。
英語を操る部隊。
中国語を操る部隊。
少女が身を寄せた姉弟に襲いかかるチンピラ。
こいつらがバラバラなときは怠いなぁと思ったけど、
束になってかかってくるととんでもなくなる。
もちろんお互いに協力するわけではなく、
ただひたすら出し抜いて少女を殺そうとする。
そして襲ってくるのは前作同様の魔女プロジェクトの生産物。
アクションとしては反則なんだけど、
パワーアップと見れば面白いし迫力満点。
でも前作の方が密室的展開が良かったかな。

まぁ白眉はキム・ダミが出たところから。
ここからがとんでもない魔女が相対する。
そしてこれが何とまぁ。

多分このあとも製作されているんだろうし、
この作品が「帝国の逆襲」的位置づけなのか、
今は判断がつかない。
ただやはり一作目の様なインパクトはないし、
と同時に一作目のキム・ダミの様な無邪気さと凄味の同居がない。
全体的には前作よりスピードダウンしているし、
スケールアップはしているように見えるが、
実は彼らの戦いは外より中の方が迫力と技が映える。

とりあえず「観なくちゃ」と思ってきたので、
観られたことには満足。
続けて観ない方が幸せかもしれないが。

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「The Witch 魔女」 [WOWOW]




The Witch 魔女(字幕版)

The Witch 魔女(字幕版)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2022/07/14
  • メディア: Prime Video


ある特殊な施設で育ったジャユン。8歳のときに逃げ出し、記憶を失ったジャユンは助けてくれた酪農家の娘として暮らすことに。そして、10年余の歳月が過ぎ、ジャユンは頭に異変を感じるようになる。手術費用と経済状況が厳しい養父母のため賞金が出る歌のオーディションを受けることを決意。しかし、テレビ番組で、あるマジックを披露したことで謎の男たちから追われることになる…!

めでたくWOWOWで続編放送。
で、観ようとしたんだけど、
余りに時間が経ちすぎて前作の細かいところを忘れているw。
自慢じゃありませんが、
ここ数年の記憶は本当に残っていませんw。
それが老化なのか、
もはや認知症なのかも判別できませんw。
ただ忘れているからにはもう一度観ないと。

本当に凄まじい血糊の量。
冒頭から血まみれ。
おまけにアクションが半端じゃない。
正体を隠しているときと、
表したときからの表情の変化、
演技の変化が凄まじい。
そして以前観た時は気付かなかったけれど、
あの子はチェ・ウシクだったのね。
と言うことは、
これを観たときは「パラサイト」の前だったのか。

未見の方は是非。
これぞ韓国ノワールの新しい形。
WOWOWじゃ「ファンタジー」とか言っているけど、
これはもう究極のスリラーだから。
そして本来ならハリウッドで作られてもおかしくない、
そういうレベルの脚本と演出と演技。

今日は時間切れで残念。

早いところ忘れないうちに続編を観ないと。
ああ、あのクスリが欲しいw。

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「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」 [WOWOW]




探偵マリコの生涯で一番悲惨な日

探偵マリコの生涯で一番悲惨な日

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2023/10/04
  • メディア: Prime Video


新宿ゴールデン街、三番街にある小さなバー「カールモール」のカウンターに立つ女マリコ(伊藤沙莉)。日々バーテンとして常連の相手をしているが、実はもう一つの顔を持っていた。それは探偵稼業だ。ある日、とある組織から「歌舞伎町に紛れ込んだ宇宙人を探してくれ」という依頼をうけ、恋人の自称忍者MASAYA(竹野内豊)の協力のもと、宇宙人に迫ってゆくのだが……

オムニバス形式なので、
なんとなくずっと見てしまう。
と言うか、
そうやって引っ張る力が伊藤沙莉にはある。
そしてそのエピソードに登場する役者もすごい。
宮藤さん式に言えば、
「北村有起哉の出ている映画は良い映画だ」。

ただねぇ。
もはやこんなトンデモ映画とは思っていなかった。
本筋はハードボイルドなんだけど、
いきなり宇宙人の捜索から始まる。
恋人は自称忍者、道場も開いているけれど、
国民健康保険も国民年金も払っちゃいない。
「ミッドナイトスワン」の内田監督、
「さがす」の片山監督なので期待したが、
なんとなくコメディセンスが空回り。
本筋のハードボイルドはさすがだなぁと思うし、
マリコの設定も良かった。

で、話が切り替わる度に、
「生涯で一番悲惨な日」っていつなんだろう?と思うけど、
それはラストまでのお楽しみ。
いや、マジでこんな悲惨な日はない。
可哀相と言うよりは、
「よくやった!」なんだけど、
それでもなんだかスッキリしないのは、
最後の最後のユーモアに全く共感できないから。

売れっ子なのはわかるけど、
伊藤沙莉も仕事は選んだ方が良いなぁ。

監督がいいから俳優も集まる。
だけど出来上がったものは最高とは限らない。
好きな役者と好きな監督だからと言って、
期待しすぎてはいけない。

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「教祖誕生」 [WOWOW]




教祖誕生 [DVD]

教祖誕生 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2011/02/25
  • メディア: DVD


【ストーリー】
暇を持て余す大学生の和夫(萩原聖人)はその布教活動のインチキ臭さに興味をひかれ、とある新興宗教団体に加わる。
浮浪者あがりの男(下条正巳)を教祖に据えた怪しい教団―。
その内部では、宗教を金儲けの手段と考え、教団を裏で牛耳っている主管の司馬(ビートたけし)、経理担当の呉(岸部一徳)と、
純粋に教祖を崇める真面目な青年部リーダー・駒村(玉置浩二)達が対立を深めていた。
そんな折、司馬の怒りをかって教団を追われる事になった教祖に代わり、二代目の教祖として、和夫に白羽の矢が立てられるのだが・・・。

ときどきWOWOWって、
こういう映画をリクエストで放送してくれる。
WOWOWの経営は苦しいらしいけど、
配信でも見られない様な映画をかけてくれるのは、
この映画のはなしではなくても貴重な機会なので、
何とか頑張って欲しいなぁと思う。

いきなり下條正巳のすっとぼけ具合にやられる。
それを世俗的な利益だけで利用して、
その気になってきたら金を払って追い出す司馬。
最初は好奇心から参加した和夫は、
いきなり二代目教祖に祭り上げられ、
形だけのはずが修行などするうちにその気になり。

特定の宗教がモデルなのかはわからない。
だけど北野武の目から見れば、
そんな新興宗教もこんなモノなのだろう。
宗教2世の問題が表沙汰になってから、
一時メディアはこぞって特集したが、
生憎その放送を続けられるほど日本は平和でなくて、
今では子どもを虐待する宗教も、
ケツの毛まで抜く宗教も忘れてしまった日本人も多いだろう。
「鰯の頭も信心から」とはよく言ったもので、
良いことが起これば熱心に信じたから、
悪いことが起これば信心が足りないから。
洗脳されてしまえばなんでも教団の思いのまま。

最近ニッポン放送の「テレホン人生相談」を聴くのだが、
あそこに相談をしに来る人のうち、
半分くらいは宗教に転びそうな人たちだ。
「こういうところカラなのかなぁ」
そんなことを思いながら聴いている。
いくらいろいろ訴えてみても、
「嫁が悪い」「息子が悪い」「旦那が悪い」
自分は省みることがない。
そうなるとすがるのは神なのかもしれない。
自分の力ではどうにもならないから、
神にすがって少しでもどうにかしたいと願うのかも。

爽快な話とは言い難いが、
当時から北野組おなじみの、
岸部一徳の怪演ぶりがむしろ格好いい。
これがやがて利休になるのかと思うと、
思いはひとしおである。


北野武なりの歴史観や宗教観。
つくづくこの人の頭って理系だなぁと思う。
下町生まれの下町育ち、
ウェットな情もある人なのに、
こと映画に関しては情ではなく仕組みを描く。
情も「切ること」による情を描く。
そこが昔の五社協定の時代に育った人とは違う。

早く「首」が円盤にならないかな。 

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「ゾディアック」 [WOWOW]



ゾディアック(字幕版)

ゾディアック(字幕版)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2014/02/20
  • メディア: Prime Video


乗る連続殺人犯と、その事件の解決に挑む者たち。「殺人」と「真実の究明」という全く逆の立場にいる人間たちが、謎が謎を呼ぶ事件を巡り、次第にその運命を狂わされていく...。

昔はこの手のストーリーが好きで、
本でも映画でも何でも来いだったのだけど、
サイコホラー、サイコスリラーの粗製濫造で、
すっかり遠のいてしまっていた。
この作品はマーク・ラファロが出演しているのは知っていたが、
題材が題材なので、
今までずっと避け続けていた。
観たのはほんの気まぐれ。

見始めてすぐに後悔。
ロバート・ダウニー・ジュニアが出演しているとは、
全く知らなかったわ。 
それも如何にも彼らしい、
自信家で仕事に誇りも持っているのに、
人生を狂わされて身を持ち崩す。
って言うか、
よくあんな役を引き受けたものだ。
あれじゃリハビリ前の彼を想起させすぎる。
一方のジェイク・ギレンホール。 
彼もまた当時の線の細さと繊細さ全開で、
マンガ家なのに事件にのめり込んで、
自分なりの推理や調査でボロボロになって行く。
マーク・ラファロは担当刑事、
もちろん最初はのめり込むけれど、
そこはやっぱりプロだし、
組織として調査を打ち切ったり配置転換があったり、
否応なく距離を置かざるを得ないことが若干の幸い。
ハルクもそうだけど、
生真面目でどちらかと言えばお堅い印象、
それがマーク・ラファロだったので、
「哀れなるものたち」でのコミカルな演技が新鮮だったくらい。

常につきまとう薄気味の悪さ、
妙な感覚、
しっくりこない奇妙な違和感。
それはとりもなおさず、
デヴィッド・フィンチャーの映画ならでは。
このゾクゾクが何よりの魅力だし、
ゾディアックに取り憑かれた人間が、
やがて自滅や生活のバランスを崩していくのを、
いやらしいくらいにじっくり見せていく。

結果的に今もゾディアックは不明。
未解決事件のまま。
ゾディアックに殺された人間の他に、
その手紙によって病んでいく記者、
追い求める余りに家庭の危機を迎えるマンガ家、
捜査に関わる警官も、
何処か精神のバランスを崩していく。

思えばこんな事件と登場人物。
フィンチャーが放っておくはずがないよな。
「セブン」のラスト。
あの衝撃は一生忘れない。
あの後味の悪さと人間の脆さ。




それにしても、
ロバート・ダウニー・ジュニアのあの尊大な芝居。
やっぱり彼にはそういう役柄がよく似合う。

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舞台 「パラサイト」 [WOWOW]

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はい、おわかりの通り、
ポン・ジュノ監督の「パラサイト 半地下の家族」がベース。
というか、設定は日本に変更しているけれど、
基本的なところは変わらないまま。
何より出演者の顔ぶれ。
古田新太、江口のりこ、伊藤沙莉、宮沢氷魚。
元のストーリーは折り紙付きに加え、
このメンツの舞台となったら観るしかない。
と言ってもWOWOWの放送なんだけど。

いきなり関西弁。
お父ちゃんは家で靴を縫っている靴職人。
「ああ、長田地区なんだな。
 ああ、○○○○○という裏設定なんだな」
と言うことは、
高台の家は芦屋のお屋敷。
まぁ関西に舞台を設定したらエグイエグイ。
何しろ何の意識もなく天然で金持ち、
逆に金持ちの嫌らしさがなかった家族が、
いきなり不動産の成金家族のようにイヤらしい。
そうなると天然で差別していたことが台無し。
古田新太はいつも通りの板についた演技で、
相変わらずの安定感。
だけどソン・ガンホのしみったれているけど、
どこかシュッとして格好良さがにじみ出るところはない。
まぁそれは持ち味。
兄と妹という設定になっているため、
主導権を握るのは宮沢氷魚。
あのクールで肝が据わった格好良かったパク・ソダム、
伊藤沙莉では少々可愛すぎた。
あと宮沢氷魚がそれほど頭が切れる風に見えない。
そこが致命的。
ただし。
江口のりこの肝っ玉かあさんぶりがすごい。
全く体格も違うし雰囲気も違うのに、
より一層の落ち着きと図太さで一家の真ん中にいる。

ケチをつけてもしょうがないし、
そもそも日本の設定にしたところで、
半地下の家なんてないんだから、
そりゃ長田地区と芦屋は格好の場所。
そしてそこにやってくる阪神淡路大震災。
水害を大震災に置き換える。
水が上から下へ流れるという意味、
これが台無しなんだな。
もっとも舞台じゃ難しいだろうけど。

と言うことで、
そこそこ面白いです。
キムラ緑子とか他にも芸達者が多いし。
ものすごく贅沢な配役の舞台。
ただやっぱり翻案っていうのは難しい。
「リスペクトーーー!」もなかったし。
まぁヤミ金からの借金で身を隠しているからしょうがない。
深読みのしすぎなんだろうけど、
芦屋のお屋敷と長田地区の靴職人、
そりゃ接点ないよね。
なんで長田地区があんなに酷い火災になったのか、
そもそもどういう成り立ちの町なのか、
いろいろ考えれば考えるほど、
あの一家が暢気にパラサイトできる方がおかしいと思える。

微妙な設定って難しい。
多分そこを読んで嫌な気分になる人もいるだろうな。
あ、あと主人公一家の名字。
そこにも含みがあるよね。

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「幸せの1ページ」 [WOWOW]



対人恐怖症の人気冒険小説家、アレクサンドラ(ジョディ・フォスター)は何年も自宅に引きこもって暮らしていた。彼女は新しい小説のネタをネット検索していて、孤島で暮らす海洋生物学者(ジェラルド・バトラー)の記事に目をとめる。彼に協力を求めるつもりが、ある日彼の娘のニム(アビゲイル・ブレスリン)からSOSのメールが届き……。

先日中古DVDをあさっているときに、
何かジョディ・フォスターで知らない作品はないか、
検索したときに発見。
レンタル落ちを購入したのだが、
その後WOWOWオンデマンドにあるのを発見した。
それにしても全然知らない映画だし、
どんなものかと思ったけれど、
やっぱりジョディ・フォスターが作品を選ぶ眼は間違いない。

シリアスな作品が多い彼女だけど、
本作ではコメディエンヌぶりを遺憾なく発揮、
最近ではアメリカを救う男として有名な、
ジェラルド・バトラーは意外に知的かつ逞しい学者を演じ、
これがまたなかなかの好演。
そして「リトル・ミス・サンシャイン」で有名なアビゲイル・ブレスリンは、
いつもながらの芸達者ぶりで可愛くて健気。
そして何よりこれはとてもステキなファンタジーで、
親子が暮らす島も美しくて、
動物たちはニムと意思疎通できて、
それはそれは夢のような最高の映像。


幸せの1ページ / スペシャル・エディション [Blu-ray]

幸せの1ページ / スペシャル・エディション [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • 発売日: 2009/02/13
  • メディア: Blu-ray



メディアはこんな状態なので、
配信を探せば各所で有料だけど観られる。
何よりラストからエンドロールで流れる、
U2の「Beautiful Day」を訊くともう幸せが最高潮に達する。
邦題は最低最悪だと思うが、
それに騙されずに是非一度。

本当にステキなファンタジーで、
最高の気分になれるから。

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「優作について私が知っている二、三の事柄」 [WOWOW]




●優作について私が知っている二、三の事柄
【解説】
CLUB DEJA-VU ONE NIGHT SHOWの開催から29年。あれから長い年月が過ぎたが、松田優作の人気はいまだ衰えず、傑出した俳優として、今や伝説の域に達している。しかし、伝説化されるにつれ、彼の実像はおぼろになってゆく。
そこで、本ドキュメンタリーでは、水谷豊、桃井かおりをはじめ、CLUB DEJA-VU ONE NIGHT SHOWを表で、陰で支えた者たちに新規にインタビューを敢行。松田優作の盟友・崔洋一の導きによって、生の言葉がつむぎ出され、素顔の松田の膨大な証言が寄せられた。けれど、インタビューを重ねるほどに、松田優作は一筋縄ではいかない様々な「顔」を見せ始める。いったい彼は「狂気をはらんだ男」なのか「求道者」なのか「一緒にいる時はいつも笑っていた人」なのか……
松田優作のスチール写真や、松田本人の歌唱も多数収録! 松田優作という存在自体に鋭く迫る、渾身のドキュメンタリー、堂々完成!
【出演者】
水谷豊 桃井かおり 原田喧太 高垣健 渡邉俊夫 奈良敏博 崔洋一(インタビュアー)

ファンなら誰でも持っているのかもしれないが、
熱狂的なファンではなかったし、
その凄さはわかっていても、
なかなか近寄りがたいというか、
その張り詰めたような存在そのものが怖かった。
今回生誕75周年ということで、
WOWOWで特集放送があって、
この1本にたどり着いた。
で、実はちょっとマイルド風味の、
息子松田龍平は大好きな俳優だったりする。

とにかく水谷豊さんの話が刺さった。
二人にしかわからない、
理解し得ない世界。
そんな関係が伝わってきて震えた。
残念ながらこのインタビューの時には、
原田芳雄さんは故人だったが、
息子さんが微に入り細に入り、
覚えていることを語ってくれる。
そして彼らを繋ぐ存在として、
桃井かおりさんがまた微妙な空気やココロモチを語る。
そのオトナの関係が心地良くて、
ちょっと子どもっぽい男どもを見守る、
桃井さんの視線の優しさを感じられてとても良い気分。

そんな素顔を語られると、
少し松田優作に距離が縮まった気がした。

私はまさしく世代がどんぴしゃり。
デビューから早逝するまで、
同時代を生きたし観てきた。
彼が自分の命よりも、
オーディションで得た「ブラック・レイン」への出演を優先したこと、
そのことも充分知っていた。
だから冒頭で桃井さんが、
「優作が死んだって言ったら自殺だと思うじゃない?」
頷きながらもそうでない現実も知っている。

ただその佇まいを単純に好きと言えれば、
その方がどれだけ楽か。
歌詞の話などを聞いていて、
彼のバックグラウンドを考えると、
ちょっと複雑な思いも抱いたりもする。

そうやって少しずつ、
ステンドグラスやパッチワークのように、
松田優作の顔の一部をつなぎ合わせる。

生誕75周年にして、
私がやってみたいことになった。

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