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「わたしを離さないで」 [映画]


わたしを離さないで [DVD]

わたしを離さないで [DVD]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD


<ストーリー>
外界から隔絶した寄宿学校ヘールシャムは、他人に臓器を“提供”するために生まれてきた〈特別な存在〉を育てる施設。キャシー、ルース、トミーは、そこで小さい頃から一緒に過ごしてきた。しかしルースとトミーが恋仲になったことから、トミーに想いを寄せていたキャシーは二人のもとを離れ、3人の絆は壊れてしまう。やがて、彼らに逃れようのない過酷な運命が近づく。ルースの“提供”が始まる頃、3人は思わぬ再会を果たすが……。

良い意味で原作を忠実に映像化。
おかげで感想も原作と大差なく・・・。

ただこれはわたしの想像力の貧困だろうけど、
映像となって、
「提供者」の存在が肉体を帯びて現実的になったとき、
より一層提供者の持つ運命の哀しさと、
救いようのない現実の厳しさが、
より一層身に迫ってきた。
「猶予期間」の噂を確かめたときの、
二人の表情の違いや、
現実の受け止め方の違いが、
切なくてつらかった。
もしかしたら、
原作本を読んでいるときには、
どこかで「絵空事」と思っていたのかも知れない。
具体的な年代設定も場所の設定もあるのに、
(それが近未来とかではないところがより一層恐ろしい)
今の時代として実感出来ずにいて、
普段私たちがラブストーリーやアクションなどで観ている、
普通の映画と同じ世界であることを、
映像として観て初めて実感した気がする。
そして「提供者」として迎える使命の終焉。

決して言葉の多い映画ではないだけに、
翻訳字幕の秀逸さに感心していたら、
流石に御大戸田奈津子氏であった。



自らが背負って生まれた運命を受け入れること。
それでも希望を抱きたいこと。
いったい彼らは「何」なんだろうか?
「魂を持った生き物」であることを証明しても、
それがいったい何になるのか。

「提供させる側」の傲慢を横暴を考えてしまった。
コメント(2) 

コメント 2

midori

はじめまして。
検索してたどり着きました。

映画館で見逃して、二番館でも見逃して、
DVDになってそれも安くなってきたので買って、
やっと観た映画です。
原作は、1年ほど前に読みました。
わかっていても、目の前で「提供」の映像を見せられ、
「終了」の静けさを共有すると、
心というよりも、自分の身体の細胞レベルに
迫ってくるような感じで、どうにも収拾がつかなくなりました。

みんなに観てもらいたいんだけれど、
自分の大事な侵されたくない秘密のような、
そんなアンビバレンツな感じも、個人的に持ちました。

突然お邪魔しました。
by midori (2012-04-05 20:02) 

KEY

初めまして。

地味な作品だからなのか、
地味に公開されていつの間にか終わっていました。
原作が余りにも心を揺さぶられて、
動揺が治まらないくらいにスゴイ作品だったので、
映画はどうなのかと思っていましたが・・・。

仰るとおり、
作品全体に漂う「静けさ」が私は怖かったです。
自分の一部を徐々に失っていく運命を、
産まれながらに背負っていながら受け入れるという、
その感覚に神経がザワザワと泡立つような感じでした。

どんなに健康で美しくて、
愛し合い将来を誓い合っても、
彼らには絶対に訪れない未来。
こういう映画はきっと、
一人でじっくり噛みしめて観るのが良いかもしれません。

また気持ちを共有出来る映画に出会えると良いですね。

by KEY (2012-04-05 21:08) 

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