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「孫文の義士団」 [DVD&Blu-ray]




孫文の義士団 (字幕版)

孫文の義士団 (字幕版)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2013/05/15
  • メディア: Prime Video


1906年、辛亥革命前夜の香港を舞台に、中心人物である孫文の暗殺計画を阻止するための、8人のボディーガードたちの戦いを描く歴史アクション巨編。『the EYE』シリーズのプロデューサー、ピーター・チャンと『アクシデンタル・スパイ』のテディ・チャン監督がタッグを組み、辛亥革命の舞台裏で起こった激動の物語を壮大なスケールで活写。ドニー・イェン、ニコラス・ツェーら実力派の共演、信念のために戦う男たちの覚悟が感動を呼ぶ。

あれ?ドニー・イェン出ているじゃん! 
というのりで観ました。

確かにドニー・イェンは良い。
相変わらずキレッキレのアクション。
この人の突きの肩を視点にした腕の出し方が好き。

ただね、
これは香港中国合作だけど、
どう見ても中国の国策映画。
清朝を如何にして滅ぼすに至ったか、
それを描きたくて仕方なかったから、
孫文の画策と移動を守るボディガードの戦いと、
狙う暗殺団と清朝のやり方を描いたのね、と。
その中でもドニー・イェンは満州人なのに、
別れた奥さんと子どものために清朝側と戦う。
まぁどうでもいいんだけど。

それにしても、
この当時の話っていろいろ描かれているけど、
香港にもあんなに満州人っていたんだ。
そりゃそうか。
当時は清王朝だったし、
満州人が漢民族を抑えていた貴重な時期だから。

まぁ歴史の勉強にはなります。
鵜呑みにはしないけれど。
でも孫文の辛亥革命だって、
けっきょくは中共に飲まれていくわけで、
まぁこれは漢民族が満洲族を追い出すことを、
「こうやって偉大な漢民族は多大な犠牲を払って、 
 その覇権を取り戻しました」って話。
そしてその満洲族は、
日本の傀儡として満州国建国に至るわけで、
なんだか複雑な気分で最後喜べなかったわ。

あとさ、
微妙に北京語と役者の口が合っていない気がする。
Blu-rayには「中国語」ってなっているだけだし、
本当は何語で作られたのもわからんけどね。

やっぱり「中国」の歴史映画はきっついなぁ。
香港映画は英国憎しだけど、
中国は基本日本憎しだし、
その前は満洲族憎し。
歴史の美化がさすが中国。

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「世界で一番しあわせな食堂」 [ムービープラス]




世界で一番しあわせな食堂 [DVD]

世界で一番しあわせな食堂 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ギャガ
  • 発売日: 2023/01/11
  • メディア: DVD


【ストーリー】
フィンランド北部の小さな村にある食堂へ、上海から料理人チェンとその息子がやって来た。
恩人を探していると言うが、知る人は誰もいない。
食堂を経営するシルカは、チェンが食堂を手伝う代わりに、恩人探しに協力することとなる。
恩人探しが思うように進まない一方で、チェンが作る料理は評判となり食堂は大盛況。
次第にシルカ、そして常連客とも親しくなっていくチェンだったが、観光ビザの期限が迫り、帰国する日が近づいてくる―

ミカ・カウリスマキ監督作品。

音楽がなんとなく、
モリコーネの西部劇風。
で、フィンランドの田舎で中国料理。
ちょっと「かもめ食堂」風味。

とにかく登場する爺さんたちが最高。
最初は狭い社会の爺さんらしく、
ちょっと排他的で差別用語バンバンだったのが、
チェンの作る料理に魅了されていくと同時に、
どんどん態度が変わっていくし、
薬膳もあるから身体も調子が良くなっていく。
胃袋をガッツリ掴まれたら、
人間関係も万事OK。
妻、母を事故で失って失意の父子も、
気付けば地域の一員。
で、いつしか心が通い合ったりして。

ベタな展開なんだけど、
料理というエッセンスが加わると、
こうもほっこりと温かい雰囲気が増すものか。
個人的には包丁使いとか、
入っているものを観るだけで、
何ともいえない幸せな気分になるので、
「世界で一番しあわせな食堂」は看板に偽りなし。
フィンランドの美しい風景もとても良いエッセンス。
時折起こる事件はスパイス。

料理って言うのは、
文化であるのと同時に生活。
だから料理を作る家庭を見せられたり、
美味しそうに食べる様子を見せられると、
その場所の全てに触れられているような気になる。


兄弟でもこんなに違うのかって当たり前だけど、
兄貴の方は正統派。
それが良いんだなぁ。
素直でじっくりと煮込まれたスープみたいに染み渡る。
「ポトフ」と言い、
おいしい映画って良いねぇ。

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「Pearl パール」 [WOWOW]





ダンサーを志ざし、スターの華やかな世界に憧れるパール。人里離れた農場で、厳格な母と体が不自由な父に育てられた彼女の愛への渇望が、スターへの夢を育み、両親からの異常な愛が、その夢を腐らせていく……。籠の中の無垢なる少女が抑圧から解き放たれたとき、比類なき無邪気さと残酷さをあわせもつシリアルキラーが誕生する!

A24製作のホラースリラー「X」の前日譚。
実はこれは三部作。

ミア・ゴスって女優、
決して美人じゃないし、
可愛いかと言えばかなり微妙。
どちらかと言えば貧相な感じすらする。
その彼女が田舎の農場に閉じ込められて、
夫は戦争に行って厳格な母と意思の疎通ができない父親に挟まれ、
スターになることを夢に見て、
それを生き甲斐に何とか毎日を過ごしているPearl。
その彼女の狂気が噴出するまでの物語。
そしてその後は・・・。

正直言って「X」が余り好きではなかった。
意図的に70~80年代のホラーに寄せていて、
殺人鬼の餌食になるべく若者が無茶をする。
ただ殺人鬼の正体が昔とは違って、
生身の爺さんと婆さん。
これがまた生々しくて気持ち悪かった。

だけどその思いが、
この映画を観るとちょっと変わってくる。
もう一度「X」を観ておこうという気にさせられる。
これがシリーズものというか、
連作映画の罠だ。
そしてまんまとはまるw。 
 
どちらの作品も万人に勧めはしないが、
A24特有のイヤホラスリなので、
お好きな向きにはたまらない。
こと無邪気な狂気の爆発暴発、
これが大好物の人にはたまらない。

いや、絶対に無理に勧めない。
そのくらい無邪気な狂気はエグイ。

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「哀れなるものたち」2回目 [映画]



第96回アカデミー賞[レジスタードトレードマーク]、作品賞・主演女優賞含む、圧巻の11ノミネート!
第81回ゴールデングローブ賞、作品賞(ミュージカル/コメディ部門)・主演女優賞(エマ・ストーン)受賞!
第80回ヴェネチア国際映画祭、金獅子賞受賞。
【ストーリー】
自ら命を絶った不幸な若き女性ベラ(エマ・ストーン)が、天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)の手によって奇跡的に蘇生することから始まる。蘇ったベラは“世界を自分の目で見たい”という強い好奇心に導かれ、放蕩者の弁護士ダンカン(マーク・ラファロ)の誘いに乗り、壮大な大陸横断の冒険の旅へ出ていく。やがて貪欲に世界を吸収していくベラは、平等と自由を知り、時代の偏見から解き放たれていくのだった。

最初に観た後も、
ものすごく幸せな気分で席を立てて、
ものすごく前向きな気持ちで帰宅した。
その後ラジオやYouTube で映画評を聴いて、
「絶対にもう一度観たい!」という思いが募った。

好きな俳優が出ているし、
ヨルゴス・ランティモスの映画や好きだけど、
それを遙かに超えた何かが私を惹きつける。
それがエマ・ストーン力なのか、
ウィレム・デフォー力なのか、
見極めたくて、
そしてもっと幸せを感じたくて。

ものすごく根源的なことだけど、
ベラは自分を否定しない。
母親の死んだ身体に胎児の脳を移植されて、
他の人間とは違う存在なのに、
その存在に疑問を持つこともなければ、
自分は自分として生きている。
それはおそらく胎児の脳であり、
無垢の存在だからこそ、
全てのものと全ての出来事を受け入れ、
素直に感じ取るように、
自分の存在も疑うことがないのだ。
なんの先入観も偏見もない状態だから、
自分が異形の存在だとか、
ゴッドの外見が異形だとか、
セックスで幸せになることが恥ずかしいとか、
そんなものは持ち合わせていない。
その時自分が欲しいものを与えてくれるから、
ダンカンについて旅に出る。
だけど自分は婚約しているから結婚なんかしない。
沢山のものを与えてくれたはずのダンカンが、
実は腰砕けのふにゃふにゃなバカヤロウだと知れば、
遠慮なく彼を突き放す。
外の世界を観て経験して、
いろいろな人と話をして、
本を読んで学んだことは、
「人間が一番のも白いから医者になる」。

こんなにも純粋で美しい生き方があるだろうか。
あの庭に生きているものの殆どは、
「ドクターモローの島」といえる。
それは確かに見方によっては「哀れなるものたち」だ。
だけど彼らは自分を疑わない。
その生き方が本能でもあり自然でもある。
あの庭園の光景が美しく見えるのは、
そこに無理がないからなのだと思ったら、
今日もまた途轍もなく美しいものを観て、
とても幸せな気分になれた。

18禁だから作品賞は難しいかもしれないが、
少なくとも衣装や美術はアカデミー賞を受賞してほしい。
そしてこの映画はベラのフェミニズムだけではなく、
彼女の無垢な魂が持つ、
物事を偏見なく公平に見つめる力、
人種も性別もなく、
もちろんヘイトもない世界、
それこそが人間としてどれだけ素晴らしいか、
そのことを語って要るのだと思う。

こんな日本でベラのような精神を持つことは、
非常に難しいことなのかもしれない。
だけどそれは不可能ではない。


なんと、
「哀れなるものたち」とは、
現世に生きる汚れた心を持つ我々のことだった!


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