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「日本列島」 [Amazon Prime Video]


日本列島

日本列島

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2022/01/06
  • メディア: Prime Video


昭和三十四年。日本基地のCID(犯罪調査課)のポラック中尉は、一年前のリミット曹長水死事件の謎を追えという特殊命令を下した。日本の警察は殺人事件として捜査を開始したが、米軍が強引に死体を本国に送還し、事故死として処理してしまっていた...。

「沖縄だって日本列島の一部だよ」
クライマックスでの二谷英明の言葉、
これが重くのしかかる。
今もって沖縄は一部ではあるが、
本当に日本の一部なのかわからない。
それどころか、
日本列島の一部には米軍基地と、
米軍の飛行ルートという眼に見えない国境がある。
それは厳然たる事実だ。
日本列島内が一つの国だなんて、
おめでたいことを思っている人は、
本当に知らないか、
知っていても認めたくないだけだ。

名前は変えているが、
下山事件も松川事件も三鷹事件も、
国鉄の組合のアカ化に対する、
キャノン機関の仕業だというのは巷間言われている、
当然この時代になっても、
そういう影響はあるに決まっている。
そしてこの当時だからこそ、
日本のあちらこちらに国境はあった。
そして治外法権も。
それは今の沖縄もまた同じ。
そこには日本の自治権はない場所が点在する。

きっとあの新聞記者も、
沖縄に住めばわかるのだろう。
当時はアメリカ占領下であり、
今よりも更に日本としての権利も場所も、
余りにも希薄だったに違いないから。

占領はまだ終わっていない。
日本は独立国家などではない。
そんな国家の人間が「愛国者」などとほざく。
わかってねーなと思う。

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「ウィッシュ」 [Disney+]




ウィッシュ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

ウィッシュ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2024/04/24
  • メディア: Blu-ray


<ストーリー>
願いが叶う魔法の王国ロサスに暮らす少女アーシャの願いは、100才になる祖父の願いが叶うこと。だが、すべての“願い”は魔法を操るマグニフィコ王に支配されているという衝撃の真実を彼女は知ってしまう…。みんなの願いを取り戻したいという彼女のひたむきな思いに応え、夜空から舞い降りてきたのは“願い星”のスター。スターに導かれ、相棒である子ヤギのバレンティノら仲間と共に、アーシャは立ち上がる。
「願いが、私を強くする」──アーシャとスターの運命の出会いが、王国に巻き起こす奇跡とは…?

大体が割合すぐにDisney+で観られるので、
それを待つのが普通。
多分DisneyPIXARのアニメを劇場で観たことはない。
なので今回もその流れ。

100周年の作品がこれか。

それが正直な感想かな。
いろんなキャラクターと絡めるのは良いけれど、
それが効果的とも言いにくいし、
そもそもストーリーが陳腐。
ステキな王様が実は独裁者の魔法使い、
民の願いを聞くと称してはその夢を閉じ込めて、
民の夢も希望も閉じ込めている。
その設定がもうなんか受け入れがたい。
で、アーシャは特別な力があるわけでもない少女で、
その願いの導きでスターと出会う。

キャラクターの強さもないし、
意外性も全くないし、
まぁ惹きつけられるとしたら、
今までとはちょっと違う作画の感じ。
だけど音楽もインパクトに欠ける。
1時間半盛り上がる気持ちになれないってのはどうも。

Disney+に入っていれば、
いつでも無料で観られると言うだけで、
まぁそれだけのことで観るのは良いけど、
お金を払う価値はないかなぁ。
一応新作は全部Disney+で観ているけど、
ここしばらくの中で最悪。
好みの問題はあるだろうけど。


子どもの目にはどう映るんだろう。 

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「マッシブ・タレント」 [WOWOW]




マッシブ・タレント

マッシブ・タレント

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2023/07/04
  • メディア: Prime Video


ハリウッドスター、ニック・ケイジは悩んでいた。多額の借金を抱え、心から望んでいた役は得られず、妻とは別れ、娘からは愛想をつかされていた。「かつて栄華を極めた俺の人生はもう取り戻せないのか―。」悲観する彼の下に、スペインの大富豪の誕生日パーティーに参加するだけで100万ドルが得られる高額のオファーが舞い込む。借金返済のため渋々受け入れたニックを、彼の熱狂的なファンだという大富豪ハビが待ち受けていた。

撮り逃しのないようにWOWOWシネマは24時間録画。
ちょっと魔が差して、
この映画を見始めてしまった。
もともとニコラス・ケイジは好きだ。
ブラッド・パックが全盛の中、
1人だけずば抜けて大人びた容貌でそこには入れず、
なまじ演技力があるだけに、
サブカルに好かれる監督たちに好かれ、
ハリウッド大作にも出演し、
大物俳優ともタイマンを張ってきた。
なのにその多趣味と浪費癖が災いして、
何度も何度も破産。
それでもまたかさむ借金を返すために、
彼は作品を選ばす出演し続ける。
本当はかなりの大物俳優のはずなのに、
その出演ペースは安いギャラの俳優のペース。

破産するのはコッポラ一族の運命なのか。
でもその名前を嫌って、
敢えて使わなかった男は今も忙しい男だ。

面白かった。
全く期待していなかったと言うのもあるが、
思った以上にバカバカしくて、
そのバカバカしさにふさわしくない演技力と、
その存在感の強さに圧倒されて、
ついつい見入って予想外に最後まで惹きつけられた。
借金まみれで家族とも巧く行かない。
おまけに俳優として賞味期限切れか?
それが本人役だ。
まったくもう破れかぶれにもほどがある。
だからストーリーもアクションも破れかぶれ。
あり得ないストーリーにあり得ない展開。
そのバカバカしさに思わず見入ってしまった。
いや、そのバカバカしさを演じて、
それでもなお惹きつける力がニコラス・ケイジにはある。
もはやそれは名人芸の粋だ。

あっちの話、こっちの話、
くっつけて出来上がったような映画ではあるが、
その映画を成立させられる男ニコラス・ケイジ。
彼の凄さを一番感じられる映画かもしれない。
シリアスな映画は山ほど観てきたが、
こんなコメディを演じながら、
彼に常に重心がある場面はすごすぎる。

彼こそ実はユニバースの中心に位置する人なのかも。

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「オールドマン」 [WOWOW]




オールドマン

オールドマン

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2023/11/03
  • メディア: Prime Video


<STORY>
深い森の奥に隠遁する老人(スティーヴン・ラング)の住む小屋に、迷子になった青年のハイカーがたどり着く。青年は助けを求めるが、老人はいきなり猟銃を突きつけ、「お前は殺人鬼かもしれない!」と全く信用しようとしない。老人は銃や刃物で青年を脅しながらも、めったにこない来客をどこか楽しんでいるようだった。緊張感が漂う中、老人に隠された“恐ろしい秘密”が徐々に明らかになり始め、青年に危険が襲いかかる。果たして、青年は無事に生きて帰ることができるのか…

前々から気になっていたし、
とりあえず放送されるなら録画。
で、観ているうちに既視感。
この不気味な老人、
「ドント・ブリーズ」の雰囲気満載。
で、予告を見てわかった。
この爺さん「ドント・ブリーズ」の爺さんその人だった。

途中で青年に不穏なものを感じて、
「これ、コイツがサイコパスじゃねぇか?」
実は爺さんを上回るサイコパスで、
これから大変な異ならないか?
なんてことを考えていたら、
予想とは違って内的な方向に話が向かった。
途中までは「これ爺さんをイーストウッドがやったら面白くね?」
「イーストウッドの方が含みがいろいろある分だけむしろ怖そう」なんて思っていた。
まぁそう思うくらいには面白かった。
「すると青年は?ブラッドリー・クーパーでは良い男過ぎる。」
「もう少し平均的アメリカンなつまらないタイプは誰だ?」
なんて暢気に思っていたのだけれど。

まぁこの脚本と結末では、
さすがにB級が精一杯。
申し訳ないけどイーストウッドがもったいない。
嫌いじゃないけれど。

つくづくホラーの展開と着地点は難しい。
スティーヴン・キングがいくらすぐれたホラーを書いても、
映画化が必ずしも成功するとは限らないのは、
ほんの少しの緊張感を削ぐ要素が、
全てを台無しにしてしまうからに違いない。

一度は見るけど二度は見ない。

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「THE WITCH/魔女 ―増殖―」 [WOWOW]



秘密研究所アークが何者かに襲撃され、殺戮の中でひとりの少女が生き残る。その少女は、遺伝子操作によって超人的なアサシンを養成する〈魔女プロジェクト〉の実験体だった。初めて研究所の外に出た少女は、ある姉弟と出会うことで、徐々に人間らしい感情に目覚めていく。しかし少女の秘められた力を危険視した〈魔女プロジェクト〉のペク総括は、彼女を抹殺しようとする。さらにアークを襲撃した謎の超能力者集団や、姉弟を狙う犯罪組織も加わり、哀しき宿命を背負った少女との壮絶なバトルの火ぶたが切って落とされる!

2022年作品か。
韓国映画の製作が多くて、
ハリウッド、DisneyPIXAR中心の日本では、
とても大手メジャーシネコンに入り込む余地がない。
漫画原作があふれていてオリジナルストーリーが少ない邦画より、
遙かにスケールもでかくて面白い脚本演出演技があふれているのに。

とにかくこのシリーズ、
血糊の量が半端ない。
前作もそうだったけど、
今作も冒頭からまぁ見事な血まみれ。
全くガキに阿る気持ちが感じられない。
そのガキが恐ろしくて究極の存在なのに。

最初は怠い。
前作の軽快さと後半のダークスリラーの対比も感じられず、
ただひたすら1人の少女を追う組織がいくつか。
英語を操る部隊。
中国語を操る部隊。
少女が身を寄せた姉弟に襲いかかるチンピラ。
こいつらがバラバラなときは怠いなぁと思ったけど、
束になってかかってくるととんでもなくなる。
もちろんお互いに協力するわけではなく、
ただひたすら出し抜いて少女を殺そうとする。
そして襲ってくるのは前作同様の魔女プロジェクトの生産物。
アクションとしては反則なんだけど、
パワーアップと見れば面白いし迫力満点。
でも前作の方が密室的展開が良かったかな。

まぁ白眉はキム・ダミが出たところから。
ここからがとんでもない魔女が相対する。
そしてこれが何とまぁ。

多分このあとも製作されているんだろうし、
この作品が「帝国の逆襲」的位置づけなのか、
今は判断がつかない。
ただやはり一作目の様なインパクトはないし、
と同時に一作目のキム・ダミの様な無邪気さと凄味の同居がない。
全体的には前作よりスピードダウンしているし、
スケールアップはしているように見えるが、
実は彼らの戦いは外より中の方が迫力と技が映える。

とりあえず「観なくちゃ」と思ってきたので、
観られたことには満足。
続けて観ない方が幸せかもしれないが。

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「The Witch 魔女」 [WOWOW]




The Witch 魔女(字幕版)

The Witch 魔女(字幕版)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2022/07/14
  • メディア: Prime Video


ある特殊な施設で育ったジャユン。8歳のときに逃げ出し、記憶を失ったジャユンは助けてくれた酪農家の娘として暮らすことに。そして、10年余の歳月が過ぎ、ジャユンは頭に異変を感じるようになる。手術費用と経済状況が厳しい養父母のため賞金が出る歌のオーディションを受けることを決意。しかし、テレビ番組で、あるマジックを披露したことで謎の男たちから追われることになる…!

めでたくWOWOWで続編放送。
で、観ようとしたんだけど、
余りに時間が経ちすぎて前作の細かいところを忘れているw。
自慢じゃありませんが、
ここ数年の記憶は本当に残っていませんw。
それが老化なのか、
もはや認知症なのかも判別できませんw。
ただ忘れているからにはもう一度観ないと。

本当に凄まじい血糊の量。
冒頭から血まみれ。
おまけにアクションが半端じゃない。
正体を隠しているときと、
表したときからの表情の変化、
演技の変化が凄まじい。
そして以前観た時は気付かなかったけれど、
あの子はチェ・ウシクだったのね。
と言うことは、
これを観たときは「パラサイト」の前だったのか。

未見の方は是非。
これぞ韓国ノワールの新しい形。
WOWOWじゃ「ファンタジー」とか言っているけど、
これはもう究極のスリラーだから。
そして本来ならハリウッドで作られてもおかしくない、
そういうレベルの脚本と演出と演技。

今日は時間切れで残念。

早いところ忘れないうちに続編を観ないと。
ああ、あのクスリが欲しいw。

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「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」 [WOWOW]




探偵マリコの生涯で一番悲惨な日

探偵マリコの生涯で一番悲惨な日

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2023/10/04
  • メディア: Prime Video


新宿ゴールデン街、三番街にある小さなバー「カールモール」のカウンターに立つ女マリコ(伊藤沙莉)。日々バーテンとして常連の相手をしているが、実はもう一つの顔を持っていた。それは探偵稼業だ。ある日、とある組織から「歌舞伎町に紛れ込んだ宇宙人を探してくれ」という依頼をうけ、恋人の自称忍者MASAYA(竹野内豊)の協力のもと、宇宙人に迫ってゆくのだが……

オムニバス形式なので、
なんとなくずっと見てしまう。
と言うか、
そうやって引っ張る力が伊藤沙莉にはある。
そしてそのエピソードに登場する役者もすごい。
宮藤さん式に言えば、
「北村有起哉の出ている映画は良い映画だ」。

ただねぇ。
もはやこんなトンデモ映画とは思っていなかった。
本筋はハードボイルドなんだけど、
いきなり宇宙人の捜索から始まる。
恋人は自称忍者、道場も開いているけれど、
国民健康保険も国民年金も払っちゃいない。
「ミッドナイトスワン」の内田監督、
「さがす」の片山監督なので期待したが、
なんとなくコメディセンスが空回り。
本筋のハードボイルドはさすがだなぁと思うし、
マリコの設定も良かった。

で、話が切り替わる度に、
「生涯で一番悲惨な日」っていつなんだろう?と思うけど、
それはラストまでのお楽しみ。
いや、マジでこんな悲惨な日はない。
可哀相と言うよりは、
「よくやった!」なんだけど、
それでもなんだかスッキリしないのは、
最後の最後のユーモアに全く共感できないから。

売れっ子なのはわかるけど、
伊藤沙莉も仕事は選んだ方が良いなぁ。

監督がいいから俳優も集まる。
だけど出来上がったものは最高とは限らない。
好きな役者と好きな監督だからと言って、
期待しすぎてはいけない。

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「教祖誕生」 [WOWOW]




教祖誕生 [DVD]

教祖誕生 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2011/02/25
  • メディア: DVD


【ストーリー】
暇を持て余す大学生の和夫(萩原聖人)はその布教活動のインチキ臭さに興味をひかれ、とある新興宗教団体に加わる。
浮浪者あがりの男(下条正巳)を教祖に据えた怪しい教団―。
その内部では、宗教を金儲けの手段と考え、教団を裏で牛耳っている主管の司馬(ビートたけし)、経理担当の呉(岸部一徳)と、
純粋に教祖を崇める真面目な青年部リーダー・駒村(玉置浩二)達が対立を深めていた。
そんな折、司馬の怒りをかって教団を追われる事になった教祖に代わり、二代目の教祖として、和夫に白羽の矢が立てられるのだが・・・。

ときどきWOWOWって、
こういう映画をリクエストで放送してくれる。
WOWOWの経営は苦しいらしいけど、
配信でも見られない様な映画をかけてくれるのは、
この映画のはなしではなくても貴重な機会なので、
何とか頑張って欲しいなぁと思う。

いきなり下條正巳のすっとぼけ具合にやられる。
それを世俗的な利益だけで利用して、
その気になってきたら金を払って追い出す司馬。
最初は好奇心から参加した和夫は、
いきなり二代目教祖に祭り上げられ、
形だけのはずが修行などするうちにその気になり。

特定の宗教がモデルなのかはわからない。
だけど北野武の目から見れば、
そんな新興宗教もこんなモノなのだろう。
宗教2世の問題が表沙汰になってから、
一時メディアはこぞって特集したが、
生憎その放送を続けられるほど日本は平和でなくて、
今では子どもを虐待する宗教も、
ケツの毛まで抜く宗教も忘れてしまった日本人も多いだろう。
「鰯の頭も信心から」とはよく言ったもので、
良いことが起これば熱心に信じたから、
悪いことが起これば信心が足りないから。
洗脳されてしまえばなんでも教団の思いのまま。

最近ニッポン放送の「テレホン人生相談」を聴くのだが、
あそこに相談をしに来る人のうち、
半分くらいは宗教に転びそうな人たちだ。
「こういうところカラなのかなぁ」
そんなことを思いながら聴いている。
いくらいろいろ訴えてみても、
「嫁が悪い」「息子が悪い」「旦那が悪い」
自分は省みることがない。
そうなるとすがるのは神なのかもしれない。
自分の力ではどうにもならないから、
神にすがって少しでもどうにかしたいと願うのかも。

爽快な話とは言い難いが、
当時から北野組おなじみの、
岸部一徳の怪演ぶりがむしろ格好いい。
これがやがて利休になるのかと思うと、
思いはひとしおである。


北野武なりの歴史観や宗教観。
つくづくこの人の頭って理系だなぁと思う。
下町生まれの下町育ち、
ウェットな情もある人なのに、
こと映画に関しては情ではなく仕組みを描く。
情も「切ること」による情を描く。
そこが昔の五社協定の時代に育った人とは違う。

早く「首」が円盤にならないかな。 

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「異人たち」 [映画]



【ストーリー】
ロンドンのタワーマンションで暮らすアダムは、12歳の時に交通事故で両親を亡くした40代の脚本家。それ以来、孤独な人生を歩んできた彼は、在りし日の両親の思い出に基づく脚本に取り組んでいる。そして幼少期を過ごした郊外の家を訪ねると、そこには30年前に他界した父と母が当時のままの姿で住んでいた。その後、アダムは足繁く実家に通って心満たされるひとときに浸る一方、同じマンションの住人である謎めいた青年ハリーと恋に落ちていく。しかし、その夢のような愛おしい日々は永遠には続かなかった……。

多分日本では評価は分かれるだろう、
それは設定の変更から予想できた。
原作は読んでいないが、
もともとの「異人たちとの夏」に存在した違和感、
不自然さのようなものは健在。
主人公がゲイであること。
それが物議を醸すだろうことはわかる。
しかしそれが「異人たちとの夏」には存在しなかった、
世代と時代を超えた親子のちょっとした断絶を招く。
母親は動揺して受け入れられず、
当時「不治の病」とされたものはどうなったのか?
そのことを心配する。
当然だ。
1980年代にAIDSは死の病だった。
それもゲイの人間たちを中心に感染するため、
宗教的、社会的、道徳的に同性愛を受け入れがたい人たちには、
格好の攻撃材料となった。
2階にあがって幼少時の部屋に入ると、
すでに彼がゲイだったことがわかる。
GIジョーの人形、FGTHのポスター、様々な小物が、
彼の内面を表している。
その部屋に父親は入ろうとしなかった。
主人公はその理由を尋ねる。
この物語は12歳前に死んだ両親と、
本当の自分をわかってもらうための、
理解し合うための対話の時間を取り戻す物語。
そこが元の作品とは決定的に違う。
そして両親と会うようになったなお、
満たされぬ孤独と寂しさを共有し埋め会う存在、
心を開く存在を見つける物語。
最後は訳もわからず涙を流していた。

孤独、
寂しさ、
満たされぬ思い、
時代は変わってもなお、
マイノリティであるという思い。
その切なさを満たせるのは、
無条件の無償の愛だけなのかも知れない。

アンドリュー・スコットという俳優、
今まで見ていたのに全く印象に残っていない。
今回「やけに瞳が大きい人だなぁ」と思って、
その瞳の様子がやけに気になった。
ポール・メスカルは安定の不安定さ。
見るものを不安にさせる不安定な脆い雰囲気。
美しく蠱惑的でありながら、
何かが一緒にいるものを不安にさせる。
ビックリしたのは、
オヤジ役がジェイミー・ベル!
あの「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベル!
最初クレジットを見て、
「えーっと、知っている名前だけと誰だっけ?」
で思い出したときのショックw。
でも悪い人じゃないし、
息子のことも理解しようと努めている。

決して派手な作品ではないけれど、
これは意外な拾いものだと思う。
むしろ「異人たちとの夏」は知らなくてもいい。
これはこれで、
非常に現代的に脚色され、
1980年代のヒット曲を背景に、
当時のゲイカルチャーがどんなもので、
マジョリティが向ける視線や抱く認識がどうだったか、
それを繊細に克明に描き出している。

2024年に、
まさかフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドに泣かされるとは。

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「異人たちとの夏」 [Amazon Prime Video]




異人たちとの夏

異人たちとの夏

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2015/12/01
  • メディア: Prime Video


妻子と別れ、孤独な日々を送るシナリオライターは、故郷・浅草の街で幼い頃に死別した若い父母とそっくりな二人に出逢った。だが、美しい恋人・ケイは、二人にもう決して逢わないでくれと迫ってくる。渇ききった現代人の生活に、そっと忍び込んでくる孤独と幻想。お伽話といって笑えない不思議な時間と非現実な空間を描く。

町山さんの「異人たち」の紹介で、
俄然観る気になって、
それならこっちも先に観ておかないと、と。 
公開当時から「良い映画」と話題になっていたので、
もちろん認識はしていたけれど、
そう言われると観たくなくなる天の邪鬼w。
なんかもう最初から「お涙頂戴、感動作」って言われると、
「じゃ、良いか」って思ってしまう。

いやー、みんな若いw。
そしてあの当時の風間さんの仲間たちが一杯。 
昔の映画らしくオープニングで大凡のクレジットが出るので、
「本多猪四郎」「高橋幸宏」「ベンガル」「角替和枝」「笹野高史」「「石丸謙二郎」
その名前でわくわくしてしまった。
一番の存在感は本多猪四郎監督。
さすがの貫禄でございました。
で、実は山田太一原作と言うだけで、
他は全く真っ白の状態で見始めたもので、
監督が大林宣彦あることも、
脚本が市川森一であることも知らず。

参った。
クライマックスでいきなりああいう展開になるとは。
もう笑うしかなかった。
ただ両親と過ごす時間は本当に愛おしくて、
頑固な職人がよく似合う鶴太郎の演技と、
可愛くて妙に色っぽいお母ちゃんである秋吉久美子が素晴らしくて、
風間杜夫の内面が子どもに返るようで、
もはや親子として何の違和感も覚えない。
あの時間の愛おしさは胸に染みる。
だからこそ現実に戻ったときの虚しさ、
余計に愛を求める気持ちも理解できる。

でもなぁ。 
あの時代だからしょうがないんだけど、
最後の最後のあの演出はなぁ。 
あれが原作もそうなのだとしても、
映像化は何か他に方法がなかったかな。
でもあの時代のハリウッド映画とかも、
あんな感じの作品と、
二つの映画が合わさったようなのもあった気がする。



これが今回リメイクされた作品の予告。
なんの興味もなかったので観ていなかったけれど、
「ほう、そういう感じで設定を弄ってきたか」と思ったら、
もう観たくて仕方なくなった。
そしてポール・メスカルが出ているし、
こりゃ観ておかないと公開しそうだな、と。

後半を観ちゃうと別物かな、と思う。 
まぁいろいろあったみたいだし、
「期待していない分面白いと思われる」という利重剛のコメントに、
首が落ちるほど頷きたい。

せっかく名作になりかけたのに、
ああ残念。 
あのアパートの絵作りとか最高なのに。

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