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「ストップ・メイキング・センス4Kレストア」 [映画]



1974年~1991年にかけて活動したアメリカ・ニューヨークのロックバンド、トーキング・ヘッズの1983年12月の「スピーキング・イン・タンズ」ツアーの模様を収録したコンサート・ドキュメンタリー映画。のちに『羊たちの沈黙』でアカデミー監督賞を受賞することとなるジョナサン・デミ監督が、トーキング・ヘッズの驚異のライヴを観て衝撃を受け、コンサート・フィルムの撮影を熱望して実現した。スタンリー・キューブリックの『博士の異常な愛情』も手掛けたパブロ・フェロによる考え抜かれたオープニング、一人ラジカセを持って登場、「サイコ・キラー」を演奏するデヴィッド・バーン、そして1曲ごとにバンドメンバーが加わっていき、エネルギーと臨場感に溢れたコンサートが展開していく...。映画評論家のレナード・マルティンは「史上最高のロック映画のひとつだ」、辛口批評で有名なポーリーン・ケイルは「完璧に限りなく近い」と語り、デヴィッド・バーンによる計算され尽くしたライヴのコンセプトと、ジョナサン・デミによる美し過ぎる映像表現により、以後あらゆる媒体、あらゆる年代、時代問わず、「史上最高のコンサート映画」として映画史上に燦然と輝く金字塔的作品となった。日本でも80年代のミニシアター文化の黎明期に驚異的なヒットを記録している

最初から2日続けて観ることがわかっていたので、
2回目は特に記事にするつもりはなかったのだが。

1985年にこの「サイコ・キラー」を聴いたときから、
もうすでにこのときの思いは決まっていたのだ。
昨日は一つも見逃すまいと注視しながら、
音楽を楽しんでいたのだが、
今日はもうずっとエア熱唱で1時間半。
そして気がついた。

「この映画こそが私のエバー・グリーンなのだ。」

身体の奥底と、
脳の決して忘れられない領域に染みついた、
これ以上のものはない体験を、
1985年にしたことですり込まれたのだ。

そして今、
「アメリカン・ユートピア」という完成されたライブ・パフォーマンスで、
デヴィッド・バーンはまた違う頂点に立った。
40年以上前の曲の歌詞も、
今の曲の歌詞も、
デヴィッド・バーンの言いたいことは一貫している。
内容も古びていないし、
時代を超えた価値観と世界の矛盾を歌う。

「哀れなるものたち」を観て、
「ストップ・メイキング・センス」を観たら、
もう今年はこれでいいかな、という気になるw。
そのくらいこの2本は私には特別な映画だ。

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南を目指す男の波乱万丈な旅をアキ・カウリスマキ監督が描いた、ハードボイルド・ロマン。炭鉱の閉山で失業したカスリネン。自殺した父のキャデラックに乗り、はるか南を目指して旅に出る。ところが途中、強盗に全財産を奪われ途方に暮れることに。そんな中出会ったイルメリという女性とその息子リキと交流するうち、奇妙な愛情を抱くようになる。

一種のロードムー美^でありがながら、
なかなか移動しないw。
ちょっと動いては停滞し、
また動いては停滞し、
なぜか情を交わすようになる女性と出会い、
その息子ともにも情が移って、
だけど人生は美味く転がらなくて。

そこがカウリスマキの映画なのだけど、
それが何とも酷い話だが、
陰惨さとは無縁に、
相も変わらず延々と続きながら、
辛抱ができずにまた転がり始め、
そして最後は、
「虹の向こうに」なのだ。

人が希望を捨てなければ、
いつかは虹の向こうに行かれる。
「世の中悪いことばかりじゃないよ」
1時間ちょっとのこの映画で、
絶望とどん底を何度も観ながら、
最後には虹が見えるようなマジックアワー。
心が温かくなって微笑んで終わる。

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