「ナイアド 〜その決意は海を越える〜」 [Netflix]
【あらすじ】
不屈の闘志、友情、そして人間の意志の力がもたらした大きな偉業を描く感動の実話『ナイアド ~その決意は海を越える~』。世界的アスリート、ダイアナ・ナイアドの半生をかけた挑戦に迫る。マラソンスイマーを引退して30年、スポーツジャーナリストとして輝かしいキャリアを築いていたダイアナ (演じるのは四度のOSCARアカデミー賞ノミネート歴を誇るアネット・ベニング) だったが、60歳にしてこれまで手の届かなかった夢を叶えたいという思いがふくらむ。それは、"水泳界のエベレスト"とも言われるキューバからフロリダまでの約180キロに及ぶ海峡を泳破すること。サメよけのケージを使わずに泳ぎ切るという史上初の快挙を成し遂げるため、ダイアナは親友にしてコーチでもあるボニー・ストール (二度のOSCARアカデミー賞受賞歴を持つジョディ・フォスター) や献身的なセーリングチームと共に、4年におよぶ波乱に満ちた旅路を歩み出す。
最近のジョディ・フォスターは、
実在の人物を演じることに興味があるのか。
それとも実際の事件や出来事の方が、
全く架空のストーリーより魅力的だからか?
この映画の予告を観ていて、
ちょっと違和感を覚えていたが、
アカデミー賞の会場に姿を見せた彼女は、
いつもの思っていた通りの彼女だった。
この映画のエンドロールで流れる実在のボニー、
その映像を見てジョディ・フォスターが精一杯寄せていたこと、
そのことがわかってなんとなく腑に落ちたというかホッとした。
それにしても、
この映画のアネット・ベニングもジョディ・フォスターも、
殆どずっとすっぴん状態、もしくはすっぴん状態のメイク。
身体も顔も年齢なりのシミを見せて、
それがメイクなのか本当にあるのかもわからず、
ただその圧倒的な女優魂にノックアウトされる。
ダイアナ・ナイアドは強烈な成功者。
だからいつもその立場からの態度と物言い。
そして若い頃達成できなかった記録に固執している。
いつでもリーダーは自分。
当然軋轢が起こるし、
一度はチームは瓦解する。
そして明らかになってくる彼女の身体と心の傷。
それは一生かかっても拭い去れず、
忘れることもできない傷。
実話だからエンディングを言っても良いと思うけれど、
彼女が自分の肌身でチームでやり遂げたことを感じたこと、
これがやはり大きな変化だったし、
何よりも心を一つにすることを彼女が一番最後に知ったこと、
それが何よりも「コイツ、今頃かよ」
というほくそ笑みつつの突っ込みになる。
とにかく徹頭徹尾「自分」だったダイアナ。
この強烈な個性には魅了されるのと同時に、
まぁ付き合いたい人間ではないなと思われる。
でも何かを成し遂げる人というのは、
大抵何かしらの障害を持っていたり、
常人ではわからないものを持っているものだ。
そしてそれがくせでもありチャーミングでもある。
何より彼女は「プロ」であることを認めれば、
素直にリスペクトして従う。
このアスリート役を65歳のアネット・ベニングが演じる。
それだけでもかなり大変なこと。
そしてコーチ役のジョディ・フォスターもまた、
鍛えた身体を披露するが、
如何せん2人ともやはり年齢なりの身体つき。
これが同年代の私には安心させられる。
女優とは言いながら、
やはり矯正下着を着けないと、
なかなか年齢なりの体型には抗えない。
去年のジェイミー・リー・カーティスもまた、
矯正下着を着けずに演じた「おばさん」は圧巻だった。
こういう年齢の女優が、
年齢なりの体型の役柄をやること、
これを私は歓迎する。
完璧な体型をずっと維持し続けるなんて無理。
ならば女優に夢を見せてもらいたい気持ちはあるが、
そういう現実もまた我々には励ましだ。
2人の演技は最高だが、
作品としては多少だれるし、
最高とは言いがたいと思う。
ただ主演助演の女優の演技が素晴らしいこと、
それだけで観られてしまう映画でもある。
2024-05-04 23:02
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