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「ベルリンファイル」 [ストリーミング]


ベルリンファイル Blu-ray

ベルリンファイル Blu-ray

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2013/12/25
  • メディア: Blu-ray


★世界は裏切りで満ちている―― 陰謀の舞台は朝鮮半島から世界へ!
東西冷戦時代には世界各国のスパイが暗躍し、諜報戦を繰り広げたシンボリックな古都ベルリンを舞台に、
韓国と北朝鮮の秘密諜報員たちの熾烈な攻防と、 キム・ジョンイルから息子のキム・ジョンウンへと
権力が世襲された朝鮮半島情勢の“今"を視野に入れた内容は、このうえなく大胆にしてスリリング! !
★騙し合いのサスペンス、謀略のミステリーに濃密なエモーションを吹き込む、豪華キャストのアンサンブル!
正体不明な“ゴースト"と呼ばれる北朝鮮諜報員ジョンソン役に、実力派俳優ハ・ジョンウ。
美しくも秘密を隠し持つ妻ジョンヒ役はチョン・ジヒョン。 さらに『シュリ』のハン・ソッキュが
スパイ・ジャンルへの待望の本格復帰を果たし、韓国エージェント、ジンス役を熱演。
個性派俳優リュ・スンボムが飄々と演じる、挙動不審な怪人ミョンスの動向も見逃せない!

ハッキリ言って、 
個人的には「ミッション・インポッシブル」より遙かに面白いんですが。
あの映画はもはやトム・クルーズの、
アクションマスターベーション映画になっているし。
そして哀しいけれど、
日本には絶対に作れないスケールの作品。
情けないけど仕方ない。
国際規模のスパイものを作れる胆力もないし、
資金力も語学力も足りない現実。
何よりこんな緊迫感と対応力、
今の政府にも官僚にもないってわかっているし。

いやいや、兎にも角にも格好いいじゃないか。
何をやるにも徹底している。
アクション、銃撃戦、カーアクション、ドラマ、
どれをとっても半端なところがない。
怪しいヤツは最初から怪しいし、
やることは徹底していやらしいし、
あっちの組織こっちの組織が入り乱れて、
緊張感と猜疑心の連続。
タブーなきスパイ戦争。

韓国ノワールも良いけど、
こういう途轍もない駆け引きの連続、
アクションと銃撃戦の連続も面白い。
中国資本に乗っ取られたハリウッド、
そもそもそんな度胸のない日本、
どっちも作れなかった映画だろうね。
今案外この手の映画を作れるのは、
韓国の他にはイギリス、イタリアみたいな国だと思う。

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「哀しき獣」 [ストリーミング]


哀しき獣 ディレクターズ・エディション [Blu-ray]

哀しき獣 ディレクターズ・エディション [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • 発売日: 2012/06/02
  • メディア: Blu-ray



【ストーリー】
延辺朝鮮族自治州でタクシー運転手を営むグナムは借金の取り立てに追われ、韓国に出稼ぎに行った妻とは音信が途絶えていた。借金を返そうと賭博に手を出し逃げ場を失ったグナムに、殺人請負業者ミョンは韓国へ行ってある人間を殺したら借金を帳消しにすると持ちかける。グナムは苦悩の末に、借金を返す為、そして妻に会いたい一心で密航船に乗り黄海を渡る…。しかし、そこで彼を待ち受けていたのは、深奥なる闇だった―。

恥ずかしながら朝鮮族自治州というものを知らなかった。
中韓には大陸ならではの入り組んだ関係があり、
それは今まで観てきた韓国映画でもわかっていたけれど、
そういう場所があることは全く知らなかった。

まさしく塑言う背景があるからこそ、
この物語は成立するものであり、
中国と韓国の今現在も抱える闇の部分を、
借金から請負殺人に手を出し、
韓国に行ったきり連絡の取れない妻を探す目論見も持ち、
グナムは韓国へと密入国。
しかしそこは彼が知らなかった、
途方もなく深い漆黒の闇の世界。
請け負った殺人が思わぬ方向に転がり始めたときから、
彼は全く進む方向を見失う。

闇の世界と表の世界が複雑に絡み合い、
とんでもない関係と暴力が支配する。
「想像以上」とはまさにこのことで、
複雑に入り組んだ人間関係や利害関係、
そこに意図せず放り込まれて翻弄されるグナムは、
一途に妻を探しつつも、
これまた意図せず罪を犯し続けることとなる。
これはもはやノワールを超えてしまっている。
そして原題の「黄海」。
韓国、北朝鮮、中国に囲まれた海。
三国総てに繋がる海。
グナムは黄海に何を見たのか。
おそらく日本人には想像もつかないものなのだろう。
この作品の本質を普通の日本人はすぐには理解できないと思う。
それはもちろん私もだ。
入り組んだ民族の関係性や国の関係性。
それぞれの力関係や上下関係、
そうしたものを理解して初めてこの映画がわかる気がする。

とりあえずは圧倒的なパワーで持っていく、
そのストーリーと絵面と演技で堪能。
もう少し半島のことは勉強しなければいけない。

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「さらば愛しきアウトロー」 [WOWOW]


さらば愛しきアウトロー[Blu-ray]

さらば愛しきアウトロー[Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: Blu-ray


≪あらすじ≫
1980年代初頭、アメリカ。
ポケットに入れた拳銃をチラリと見せるだけで、微笑みながら誰ひとり傷つけず、目的を遂げる銀行強盗がいた。
彼の名は、フォレスト・タッカー(ロバート・レッドフォード)。
事件を担当するジョン・ハント刑事(ケイシー・アフレック)も、追いかければ追いかけるほどフォレストの生き方に魅了されていく。フォレストが堅気でないと感じながらも、心奪われてしまった恋人ジュエル(シシー・スペイセク)もいた。
そんな中、フォレストは“黄昏ギャング”と呼ばれる仲間と共に、金塊を狙った大仕事を計画するが——。

本作を持って俳優を引退するレッドフォード。
実際に立ち止まっている演技は往年のレッドフォードだが、
やはり立ち居振る舞いに老いは隠せない。
シシー・スペイセク、ダニー・グローヴァー、トム・ウェイツと言う手練れと共に、
銃を持ちながら一度も撃たなかった強盗を、
穏やかにスタイリッシュに描く。

ここで比較するのもおかしいのかも知れないが、
同じ犯罪者の実録を扱った「運び屋」のイーストウッドと比して、
実に二人のキャラクター、キャリア、今現在の違いがよくわかる。
二枚目として王道を歩んできたレッドフォード。
スタートは順調だったがその後不遇の時代を経て、
マカロニ・ウェスタンで評価を経て、 
政治家もやりながら自分独自の世界を作ったイーストウッド。
「運び屋」と「さらば愛しきアウトロー」の二作は、
この二人のキャリアや俳優としての性格の違いなど、
実に見事に対比がわかると思った。
そして残念ながら私はイーストウッドの方が好きだ。
映画としての素晴らしさは同等だとしても、
そのテイストの違いは一目瞭然。
格好良すぎる強盗を演じるレッドフォードはスタイリッシュだし、
役柄にもよく似合っているし実際味わいもあるし素晴らしい。
嫌いではないがきれいすぎてやりきれない。
そういう世界もあるのかとふと思う。
イーストウッドのギラギラした生命力は現実的。
レッドフォードのスタイリッシュな生き方は理想的。
実録を描いているはずなのに、
理想的すぎてきれいすぎるのだ。
そしてこれで俳優人生に幕引きをするのとも重なって、
その潔さときれいさが哀しくなる。

いろいろな場面で老いが描かれ、
人生とはこういうものなのだと訴えてくる。
もしかしたらこれがレッドフォードの実感なのかも。

切なくも愛おしい物語。
じわりじわりと時間を経て心に染み渡る。

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「暗殺」 [ストリーミング]


暗殺 [Blu-ray]

暗殺 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2016/11/02
  • メディア: Blu-ray


<ストーリー>
1933年、韓国臨時政府は日本からの独立をめざすため、日本政府要人と日本側に取り入る実業家カン・イングク(イ・ギョンヨン)の暗殺を計画。
独立軍最高のスナイパー、アン・オギュン(チョン・ジヒョン)をはじめとする精鋭3名が警務隊長ヨム・ソクチン(イ・ジョンジェ)によって召集される。
だが秘かに日本政府の密偵となっていたヨム隊長は仲間を裏切り、殺し屋ハワイ・ピストル(ハ・ジョンウ)に暗殺団3名の殺害を依頼していた。
暗殺実行のため、上海から京城(現・ソウル)へと送り込まれた彼らの運命は…。

朝鮮の抗日運動を扱った作品は、 
なぜか西部劇の匂いがする。
派手なドンパチはもちろんなのだが、
複雑に入り組んだ情や裏切りが西部劇を思わせる。
韓国映画界はハリウッドに人材を送り込んで、
そこで徹底的に学ばせたというのだが、
マカロニウェスタンは元はと言えばハリウッドとは無縁。
どういう系譜でこんなテイストになっているのか、
私の思い込みだけかも知れないのだが。

これだけの群像劇で、
一人ひとりのキャラクターにブレがない。
そして誰もが善悪や立場の違いこそあれ、
それぞれがヒーローでヒロイン。
つくづく感じるのだが、
韓国映画の最大の強海は脚本の良さだ。
俳優の力も演出も確りしているが、
ベースになる脚本の力強さが絶対的にものを言っている。
だから長尺物でも飽きないし、
多くの登場人物がいても印象がそれぞれに強い。

本作も抗日運動の中、
密偵となるものもいれば、
徹底して抗日独立運動に命をかけるものもいる。
舞台が抗日運動の映画の場合、
満州、中国も絡んでくるので非常に複雑だ。
だから余計に面白いし脚本の質が問われる。
戦中から戦後まで実に見事に描ききった本作は、
誰に思い入れを覚えるかで印象も変わる。
私は徹底的にハ・ジョンウに惚れたw。
立場も生き方も心意気も惚れた。
イ・ジョンジェの不貞不貞しさも見事。

本当に日本映画もハリウッドも、
韓国映画界の力には負けていると思う。
COVID-19対策でも同じような結果になっているのは、
単なる偶然なのか。
「国」というのはこういうものなのかと思う。

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「悪人伝」 [映画]


韓国映画としては、日本でも大ヒットを記録した『新感染 ファイナル・エクスプレス』『悪女/AKUJO』などに続き、カンヌ国際映画祭ミッドナイト・スクリーニング部⾨の正式上映作品に選ばれた本作。現地で上映されるやいなや観客たちを熱狂の渦に巻き込み、その勢いのまま本国で劇場公開されると興⾏収⼊ランキング初登場NO.1を記録。最終的には観客動員数300万⼈を超え、近年の韓国映画界にあってヴァイオレンス・アクション映画としては異例の⼤ヒット、更にはシルヴェスター・スタローン制作によるハリウッド・リメイクまでも決定した。主演を務めるのは『新感染〜』で一躍トップスターに上り詰めた韓国を代表する怪優マ・ドンソク。隆々たる体躯からにじみ出る説得力のある演技と破壊力抜群のアクションで観客を魅了し、マーベル・シネマティック・ユニバース『エターナルズ(原題)』で世界進出を決めた“漢”の圧倒的代表作が遂に日本上陸!!

と言うことで、
スクリーンで初マブリー。

いやぁ、面白い。
とにかく最高に面白い。
いろんな意味であれこれ語れないのがつらいけど、
どいつもこいつも腹に一物あって、
そこに連続凶悪殺人鬼が絡んできて、
とんでもなく面白い展開になっていく。
「観てくれ!」としか説明できないw。

で、ここまで韓国映画をいろいろ観てきて、
「面白い映画」がぶっ飛んで飛び抜けて面白い、
日本映画ともハリウッド映画とも違って面白いのは、
演出や俳優の力もあるけれど、
兎にも角にも脚本の力が大きいと思うのだ。
TVドラマは外連味の面白さなのだけど、
映画の方はぶっ飛んでしまっていると言うべきか、
「ここまでやるか」のやり方にリアルさと、
独特の「それはいくら何でも」が共存していて、
その割合というかやり方が絶妙。
「徹底」という言葉がふさわしいと思うのだが、
何をやるにもとことんまで突き詰めている感じがする。
そのあたりが日本映画の弱さだったり、
資金力が弱くなったハリウッドの弱さだったりするので、
今韓国映画界は世界最強なのかも知れない。

それにしてもマ・ドンソクの張り手最強w。
ものすごい数を堪能できるので、
公開劇場数は少ないけれど、
是非とも劇場でその迫力を味わって欲しい。


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「レディ・バード」 [WOWOW]


レディ・バード [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

レディ・バード [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • 発売日: 2019/07/03
  • メディア: Blu-ray


【ストーリー】
2002年、カリフォルニア州サクラメント。
閉塞感溢れる片田舎のカトリック系高校から、大都会ニューヨークへの大学進学を夢見るクリスティン。
自称“レディ・バード"。
高校生活最後の1年、友達や彼氏や家族について、そして自分の将来について、
悩める17歳の少女の揺れ動く心情を瑞々しくユーモアたっぷりに描いていく。

以前から興味はあったし、
録画もしてあったのだけれど、
ついつい後回しにしていた映画。
「ストーリー・オブ・マイライフ 私の若草物語」を観て、
「あ、そうだ」と思い出した。

主演のシアーシャ・ローナンは確実な演技力と表現力で、
自立したい女子高生をみずみずしく演じる。
ストーリーそのものは目新しくないけれど、
目の付け所が現代的であり、
かつ非常に女性的なところは監督の力によるところだろう。
おそらくは男性には理解されにくい。
なぜこの歳の女の子がこんなにも不安定で、
自立を巡って母親と対立しなければならないのか、
或いは女同士であるが故に対立するのか、
その感覚がわからないような気がする。
全体のテイストが何ともいえないセンスにあふれていて、
ちょっとしたひと言が鍵になって関係性が変わったり、
違う一歩に変わっていく。

これは「ブルックリン」も観ないとだめだなぁ。
なんかこの監督と主演のはまりそう。
今更だけどw。

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「デッドフォール」 [映画]


デッドフォール [Blu-ray]

デッドフォール [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2010/04/21
  • メディア: Blu-ray


内容紹介
S.スタローン & K.ラッセルが魅せる男同士の絆!
陰謀を打ち破く刑事アクションが炸裂!!
シカゴ市警の敏腕刑事ニコ・トスカニーニ。
麻薬取引の現場に張り込んだ彼は、壮絶な銃撃戦の末、全員を逮捕する。
が、何者かの圧力により犯人たちはすぐに釈放され、ニコは捜査から外されてしまう。
納得できない彼は独自に捜査を始め、元CIA特殊工作員の能力と合気道の技を駆使し、法を逃れた悪を追いつめていく。
セガールの衝撃的な映画デビュー作として知られる本作品は、ニコの妻役でシャロン・ストーンも出演している。

この当時は若気の至りで、
スライに何の魅力も感じなくて、
今になってスライの才能に気付いて、
たまに放送される懐かし映画を楽しんだりして。

この話は「タンゴ&キャッシュ」として記憶していて、
「あ、これがそうか」って思い当たる。
いずれにしてもスタローン全盛期、
カート・ラッセルがまた威勢良くて格好いい。
良くも悪くも80年代全開のノリノリ展開。
でもこれが当時は面白かった。
今観ても充分面白いんだけど。

クライマックスのシーンで、
「ひどい運転だ、誰にならった?」
「スティービー・ワンダー!」
そういうジョークシーンがある。
スティービー・ワンダーを知らない人はいないだろうし、
笑えるシーンではあるが、
今の時代には「差別的」と言われかねない。
ちょっとそんなことを考えて、
時代がいろいろとセンシティブに変わっていることを考える。

だからと言っちゃなんだが、
この当時のセンスで映画作りはできなくなっている。
性別、人種、年齢、ジェンダー、総てにおいて、
センシティブになりすぎて制約が大きい。
80年代の映画を観るとふとそのことを考える。

窮屈な時代になった思うのか、
ボーダーレスでダイバーシティな時代になったと思うのか、
何とも判断が難しいと感じる作品でもあった。


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「わかりやすさの罪」 [電子書籍]


わかりやすさの罪

わかりやすさの罪

  • 作者: 武田 砂鉄
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2020/07/07
  • メディア: Kindle版


極端な「わかりやすさ」の追求の果てに、日本人の思考、日本社会に今、何が起きているのか。損なわれたものとは。政治家の発言や「すぐにわかる!」番組、「泣ける」映画、一瞬でノウハウを伝えたがるビジネス書などを挙げながら論じる。

書店にあまり行かなくなって久しいのだが、
それでもネット書店のおすすめだけでもわかることはある。
「簡単に結論を求める」本が人気だということである。
この本でも書かれているが、
本を読まずに要点だけを抜き出した内容を提供してくれる本やサイト、
或いは物事の構造を簡略化してわかった気にさせる本やサイト。
「わかった気にさせる」と書いたのは、
そこで簡略化されたり要約された内容が、
必ずしもことの本質や著者の意図に迫っているとは限らないから。
忙しい現代においてショートカットは当たり前のことなのだろうが、
物事の本質を自分で求めない状態で結論だけ知って、
それでわかった気になることは果たしていいことなのか?

私は砂鉄さんのいい加減のしつこさとこだわりが好きである。
ともすればあっという間に忘れていく世の中で、
4か月前の出来事を掘り返す連載や、
「言い続ける」という姿勢を貫く砂鉄さんは、
「大事なことは追及し続ける」という本質を忘れない。
日本人は自分に直接関係ないと忘れる。
いや、忘れたことにするのが楽なのだろう。
「思考停止」こそ一番楽な状態だから。
その意味で本書は一石を投じるどころか、
めちゃくちゃな数の石が投じられる。
「わかりやすさ」のはらむ危うさや罪深さ、
それに慣れることによって人はどうなってしまうのか。
その問いかけに目からうろこがボロボロと落ち続けてしまった。

「わかりやすさの罪」について今ものすごく感じるのは、
現在職場で働いている女性の働く姿勢に対する疑念があったからかもしれない。
彼女はいわゆるパートである。
しかしそこそこの時間は働いているしもうすぐ1年になる。
ルーティンの単純作業、マニュアルのあるような仕事は得意だ。
しかし同僚と共に感じている物足りなさがある。
何かを質問するにしていも何をするにしても、
そこに自分の意志や思考による動機づけを感じないのだ。
わかりにくいかもしれない。
単純に言えば「答え」だけを求めていて、
その答えの方程式は理解するが方程式を導く思考は求めない。
こう表現するのがいいのかもしれない。
つまり「わかりやすい結論」に飛びついて、
ケースバイケース、臨機応変に結びつく根本の要点を求めていない。
パートだからそれでいいのかもしれない。
しかしそれは本来の「仕事」とは違う気がするのだ。
彼女にはそれが通じない。
今そこで私と同僚は悩んでいる。

そこで本書を読むことによって、
「わかりやすさの罪」がそこにあると感じ、
ならばやはりしつこく粘り強く掘り下げること、
嫌がられるくらいに嫌われるくらいに問いかけること、
それが彼女への対処法なのではないかと思った。
もっとも相手がそれを拒否すればやめるだろうし、
ちょっと突き詰めるとすぐに涙ぐむような人間なので、
そのあたりの耐性に乏しいということもわかったので、
それこそ匙加減が難しいと思う。
しかしやはり現代人はショートカットを求めすぎていると思うのだ。
だからNHKのニュースやワイドショーで切り取られた話題で、
ことの本質も枝葉末節もわかった気になってしまうのだろう。
その見本のような人間を目の当たりにして、
さらにタイミングよく本書を読んだことによって、
自分自身の意識改革をしていこうと思う。

粘着質な人間は嫌いだが、
砂鉄さんのしつこさは嫌いじゃない。
この違いは何か、
それがすべて本書に表れていると思う。

とかく過程をすっ飛ばして結論に飛びつきやすい人、
そういう人こそ本書を読むべきである。

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「続・夕陽のガンマン」 [DVD&Blu-ray]


続 夕陽のガンマン MGM90周年記念ニュー・デジタル・リマスター版 [Blu-ray]

続 夕陽のガンマン MGM90周年記念ニュー・デジタル・リマスター版 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2017/11/03
  • メディア: Blu-ray


<ストーリー>
南北戦争の混乱の中、賞金稼ぎのブロンディーは賞金がかかった悪党と手を組んで荒稼ぎをしていた。そんな折、巷で話題になっていた20万ドルを盗み隠した男の死に際に出会う。たった一人隠し場所を訊いたブロンディー。だが彼の周りには軍隊、賞金稼ぎ、賞金首の男……それぞれの男たちの欲望が、友情と裏切りの狭間で死闘を繰り広げるのだった。果たして20万ドルは本当にあるのか? 最期に手にするのはいったい誰なのか……?

エンニオ・モリコーネ追悼。
Blu-rayを買っておいて、
長さ故に今まで放置しておいたもの。
キム・ジウン監督「グッド・バッド・ウィアード」の元ネタでもある。
南北戦争を日中戦争に置き換えていたり、
いろいろと繋げていくと面白い。

とまぁそんなことは別にして、
兎にも角にもスケールがでかい。
「ヘイトフル・エイト」でタランティーノが70mmに拘ったのが良くわかる。
この味わいは70mmにしか出せないものだとTV画面からも感じる。
今の映画ならCGで簡単にできることも、
実写ならではの迫力と現実味というものがある。
掛け値なしに本物が持つ迫力だ。

ハリウッドでは役に恵まれず、
マカロニ・ウェスタンでがんばったイーストウッドだが、
セルジオ・レオーネとの仕事の影響は大きかったのだろう。
今現在彼が監督する作品は、
この時代のようなスケール感はないが本物だ。
役者としても監督としても、
彼のやり方を決めたような気がする。

今の映画館はいやがる長さだが、
これにはそれなりの理由もあるし、
それだけの価値がある。
何より話の作りが今時の映画と違う。
そしてセルジオ・レオーネとエンニオ・モリコーネの仕事の素晴らしさ。
Blu-rayの特典としてモリコーネの音楽について言及があるが、
とにかくこの人の音楽の印象は映画音楽として最高。
予算がないマカロニ・ウェスタンから始まって、
いろいろな工夫をしながらやってきたようだが、
とにかくその効果は抜群で最高で言うことなし。
「このシーンでこの音楽?」と皮肉なシーンもあり、
存分に映像と共に楽しめる。

この時代の映画を観ると、
多くの監督や俳優に与えた影響がわかる。
それだけ良い時代に良いものが作れたのだ。
50年経とうと100年経とうと、
色褪せないものは色褪せないし、
本当に良いものは何も変わらない。

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「シネマ・パラダイス[完全オリジナル版]」 [ストリーミング]


ニュー・シネマ・パラダイス[完全オリジナル版] デジタル・レストア・バージョン Blu-ray

ニュー・シネマ・パラダイス[完全オリジナル版] デジタル・レストア・バージョン Blu-ray

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2016/04/06
  • メディア: Blu-ray



巨匠エンニオ・モリコーネ逝去には、
やはりこれを一番の持ってきたかった。
そしてオリジナル版を。

最初に観た当時は知識がなくて、
シチリアのレモンにも気付かず、
イタリアの映画事情にも気付かず、
今思えば随分ともったいないことをしたなぁと思う。
でもこの映画の持つ美しさも楽しさも切なさも、
全部全部30年の月日と関係なく愛してきた。
今も愛している。
サルヴァトーレが映画や映画館を愛したように、
何度見返してもその愛は変わらない。

けれど今回違ったことがある。

消失した映画館の再開のシーンで、
私は思いがけず号泣した。
それはたった数ヶ月とはいえ、
緊急事態宣言下で映画館に行かれなかった、
映画館で映画を観られなかった、
その思いが私にあったから、
村でたった一つの娯楽である映画館、
その消失から再開を喜ぶ人たちの心が、
かつてないほどに心に染み渡って、
とんでもなく大きな波となって襲ってきたのだ。

30年の月日。
それは私の人生の半分以上。
でも本当に美しいもの良いものは何も変わらない。
今も子供たちの「パラディッソ!パラディッソ!」と叫ぶ声が聞こえ、
その映画館でさえ時の流れには勝てず廃屋となり、
時代が変わったとしても何も変わらない。

今一度映画を愛する総ての人に、
この映画と音楽の総てを感じ取って欲しい。
劇場で観る映画の特別さを身体で感じて欲しい。
あそこは間違いなく天国なのだ。

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