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「ベルリンファイル」 [ストリーミング]


ベルリンファイル Blu-ray

ベルリンファイル Blu-ray

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2013/12/25
  • メディア: Blu-ray


★世界は裏切りで満ちている―― 陰謀の舞台は朝鮮半島から世界へ!
東西冷戦時代には世界各国のスパイが暗躍し、諜報戦を繰り広げたシンボリックな古都ベルリンを舞台に、
韓国と北朝鮮の秘密諜報員たちの熾烈な攻防と、 キム・ジョンイルから息子のキム・ジョンウンへと
権力が世襲された朝鮮半島情勢の“今"を視野に入れた内容は、このうえなく大胆にしてスリリング! !
★騙し合いのサスペンス、謀略のミステリーに濃密なエモーションを吹き込む、豪華キャストのアンサンブル!
正体不明な“ゴースト"と呼ばれる北朝鮮諜報員ジョンソン役に、実力派俳優ハ・ジョンウ。
美しくも秘密を隠し持つ妻ジョンヒ役はチョン・ジヒョン。 さらに『シュリ』のハン・ソッキュが
スパイ・ジャンルへの待望の本格復帰を果たし、韓国エージェント、ジンス役を熱演。
個性派俳優リュ・スンボムが飄々と演じる、挙動不審な怪人ミョンスの動向も見逃せない!

ハッキリ言って、 
個人的には「ミッション・インポッシブル」より遙かに面白いんですが。
あの映画はもはやトム・クルーズの、
アクションマスターベーション映画になっているし。
そして哀しいけれど、
日本には絶対に作れないスケールの作品。
情けないけど仕方ない。
国際規模のスパイものを作れる胆力もないし、
資金力も語学力も足りない現実。
何よりこんな緊迫感と対応力、
今の政府にも官僚にもないってわかっているし。

いやいや、兎にも角にも格好いいじゃないか。
何をやるにも徹底している。
アクション、銃撃戦、カーアクション、ドラマ、
どれをとっても半端なところがない。
怪しいヤツは最初から怪しいし、
やることは徹底していやらしいし、
あっちの組織こっちの組織が入り乱れて、
緊張感と猜疑心の連続。
タブーなきスパイ戦争。

韓国ノワールも良いけど、
こういう途轍もない駆け引きの連続、
アクションと銃撃戦の連続も面白い。
中国資本に乗っ取られたハリウッド、
そもそもそんな度胸のない日本、
どっちも作れなかった映画だろうね。
今案外この手の映画を作れるのは、
韓国の他にはイギリス、イタリアみたいな国だと思う。

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「哀しき獣」 [ストリーミング]


哀しき獣 ディレクターズ・エディション [Blu-ray]

哀しき獣 ディレクターズ・エディション [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • 発売日: 2012/06/02
  • メディア: Blu-ray



【ストーリー】
延辺朝鮮族自治州でタクシー運転手を営むグナムは借金の取り立てに追われ、韓国に出稼ぎに行った妻とは音信が途絶えていた。借金を返そうと賭博に手を出し逃げ場を失ったグナムに、殺人請負業者ミョンは韓国へ行ってある人間を殺したら借金を帳消しにすると持ちかける。グナムは苦悩の末に、借金を返す為、そして妻に会いたい一心で密航船に乗り黄海を渡る…。しかし、そこで彼を待ち受けていたのは、深奥なる闇だった―。

恥ずかしながら朝鮮族自治州というものを知らなかった。
中韓には大陸ならではの入り組んだ関係があり、
それは今まで観てきた韓国映画でもわかっていたけれど、
そういう場所があることは全く知らなかった。

まさしく塑言う背景があるからこそ、
この物語は成立するものであり、
中国と韓国の今現在も抱える闇の部分を、
借金から請負殺人に手を出し、
韓国に行ったきり連絡の取れない妻を探す目論見も持ち、
グナムは韓国へと密入国。
しかしそこは彼が知らなかった、
途方もなく深い漆黒の闇の世界。
請け負った殺人が思わぬ方向に転がり始めたときから、
彼は全く進む方向を見失う。

闇の世界と表の世界が複雑に絡み合い、
とんでもない関係と暴力が支配する。
「想像以上」とはまさにこのことで、
複雑に入り組んだ人間関係や利害関係、
そこに意図せず放り込まれて翻弄されるグナムは、
一途に妻を探しつつも、
これまた意図せず罪を犯し続けることとなる。
これはもはやノワールを超えてしまっている。
そして原題の「黄海」。
韓国、北朝鮮、中国に囲まれた海。
三国総てに繋がる海。
グナムは黄海に何を見たのか。
おそらく日本人には想像もつかないものなのだろう。
この作品の本質を普通の日本人はすぐには理解できないと思う。
それはもちろん私もだ。
入り組んだ民族の関係性や国の関係性。
それぞれの力関係や上下関係、
そうしたものを理解して初めてこの映画がわかる気がする。

とりあえずは圧倒的なパワーで持っていく、
そのストーリーと絵面と演技で堪能。
もう少し半島のことは勉強しなければいけない。

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「さらば愛しきアウトロー」 [WOWOW]


さらば愛しきアウトロー[Blu-ray]

さらば愛しきアウトロー[Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: Blu-ray


≪あらすじ≫
1980年代初頭、アメリカ。
ポケットに入れた拳銃をチラリと見せるだけで、微笑みながら誰ひとり傷つけず、目的を遂げる銀行強盗がいた。
彼の名は、フォレスト・タッカー(ロバート・レッドフォード)。
事件を担当するジョン・ハント刑事(ケイシー・アフレック)も、追いかければ追いかけるほどフォレストの生き方に魅了されていく。フォレストが堅気でないと感じながらも、心奪われてしまった恋人ジュエル(シシー・スペイセク)もいた。
そんな中、フォレストは“黄昏ギャング”と呼ばれる仲間と共に、金塊を狙った大仕事を計画するが——。

本作を持って俳優を引退するレッドフォード。
実際に立ち止まっている演技は往年のレッドフォードだが、
やはり立ち居振る舞いに老いは隠せない。
シシー・スペイセク、ダニー・グローヴァー、トム・ウェイツと言う手練れと共に、
銃を持ちながら一度も撃たなかった強盗を、
穏やかにスタイリッシュに描く。

ここで比較するのもおかしいのかも知れないが、
同じ犯罪者の実録を扱った「運び屋」のイーストウッドと比して、
実に二人のキャラクター、キャリア、今現在の違いがよくわかる。
二枚目として王道を歩んできたレッドフォード。
スタートは順調だったがその後不遇の時代を経て、
マカロニ・ウェスタンで評価を経て、 
政治家もやりながら自分独自の世界を作ったイーストウッド。
「運び屋」と「さらば愛しきアウトロー」の二作は、
この二人のキャリアや俳優としての性格の違いなど、
実に見事に対比がわかると思った。
そして残念ながら私はイーストウッドの方が好きだ。
映画としての素晴らしさは同等だとしても、
そのテイストの違いは一目瞭然。
格好良すぎる強盗を演じるレッドフォードはスタイリッシュだし、
役柄にもよく似合っているし実際味わいもあるし素晴らしい。
嫌いではないがきれいすぎてやりきれない。
そういう世界もあるのかとふと思う。
イーストウッドのギラギラした生命力は現実的。
レッドフォードのスタイリッシュな生き方は理想的。
実録を描いているはずなのに、
理想的すぎてきれいすぎるのだ。
そしてこれで俳優人生に幕引きをするのとも重なって、
その潔さときれいさが哀しくなる。

いろいろな場面で老いが描かれ、
人生とはこういうものなのだと訴えてくる。
もしかしたらこれがレッドフォードの実感なのかも。

切なくも愛おしい物語。
じわりじわりと時間を経て心に染み渡る。

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