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「The Crossing/ザ・クロッシング Part I&II 」 [映画]


The Crossing/ザ・クロッシング Part I&II ブルーレイツインパック [Blu-ray]

The Crossing/ザ・クロッシング Part I&II ブルーレイツインパック [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 株式会社ツイン
  • 発売日: 2019/10/11
  • メディア: Blu-ray


内容紹介
巨匠ジョン・ウー渾身のスペクタクル超大作!!
運命が交差する──
“バイオレンスの詩人"ジョン・ウー節が大炸裂の「Part I」、「東洋のタイタニック号沈没事故」を描く衝撃の完結編「Part II」の壮大な2部作!
【ストーリー】
将校レイは令嬢ユンフェンと結ばれるが、戦争の危機が迫る。日本統治下の台湾で医学を学ぶザークンは軍医として召集され、初恋相手の雅子と引き離されてしまう。上海で消息不明の恋人を探す看護師ユイは、兵士ターチンと夫婦を装う。
中国内戦が激化し、上海から台湾への脱出者が大型客船「太平輪」に殺到。千人もの乗客とともに、3組の男女の運命が交差する―。

ジョン・ウーの作品と聴いて、
余り前知識もなく突入。
中共と国民党の戦争は相変わらず、
ジョン・ウーらしい迫力とリアルさで、
本当に日本人も中国人もやっていることは一緒。
余りにも虚しくてつらくなる戦争描写。
その一方で描かれるロマンスは、
少々古典的で外連味がたっぷり。
舞踏会やダンスシーンにロマンティックな会話は、
「風と共に去りぬ」「戦争と平和」などの、
壮大な歴史ラブストーリーを想起させる。
ジョン・ウーは明らかにハリウッド対策に負けない、
歴史スペクタクルラブロマンスを作り上げたかったのだ。

それが成功しなかったのは、
今のご時世では仕方のないことだ。
この長い物語は現代的に受け入れられない。
韓国映画のスピーディーで息もつかせぬ演出や、
観るものの痛覚を刺激するアクションの数々は、
もはやジョン・ウーの比ではない。
そしてある意味冗長とも言えるラブロマンス。
東洋のタイタニック号事件である太平輪凛没事故もまた、
もはや思い入れが強すぎて観るものが醒めてしまう。

御大ジョン・ウーも70歳を超えて、
自分の身体に流れる血の歴史や、
壮大なスケールの歴史ラブストーリーを作りたかったのだろう。

思い入れは理解できるが、
残念ながら今の時代にヒットは難しい。
ただ映画としては趣深く、
個人的には嫌いではない。
むしろこの時代をこうした形で描くことは、
好きなジャンルに入るので思い入れはある。
ただ残念ながら万人向けではない。
映画館に4時間半座り続けることは、
この映画では苦痛な人の方が多いだろう。
古典的歴史ラブストーリーに拘りすぎて、
刺激が足りないしエンタテインメントが足りない。

ジョン・ウーが本懐を遂げられたなら、
それでもこの映画を否定するものではない。
監督には商業的な成功はさておいて、
「どうしても作りたい映画」が存在することも事実だから。
ヒットもしないし評価もされない。
それでも良い映画はあるものだ。
私にはこの映画を頭から否定することができない。
このジョン・ウーによるヒロイズムが嫌いではないのだ。

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