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「小田嶋隆のコラムの切り口」 [本]


小田嶋隆のコラムの切り口

小田嶋隆のコラムの切り口

  • 作者: 小田嶋隆
  • 出版社/メーカー: ミシマ社
  • 発売日: 2020/03/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


内容(「BOOK」データベースより)
天才コラムニストの技がいかんなく詰まった傑作コラム集。ブログ、SNSなどの執筆の参考にも…。

ミシマ社の本が好きだ。
以前山田ズーニーのPod Castsで紹介されていて、
「この出版社の作る本は信頼できる」と感じていて、
「自分達が読みたい本」「自分達が面白い本」を考えて、
「売れる本」「平積みにされる本」ではなくて、
まずは「本」というものの価値を大事にしていると思ったから。

「上を向いてアルコール」も良かった。
なので思わずこの本も買ってしまった。

年代も書かれた雑誌もバラバラ、
だけど小田嶋さんらしいコラムが集まっていた。

中でもかなりショックを受けたコラムがあった。
それは後藤健二さんと湯川遙菜さんがISに殺された事件を扱った、
「諸刃のフェイク」というコラムだった。
「食いつきの良い映像」「美味しい映像」を垂れ流す、
日本のメディアに対するキツイ内容だった。
それも海外メディアではISが扇情的にプロパガンダとして利用する、
一連の映像を一切流さないのに対して、
日本のメディアは使い続けた。
その一方で事件に配慮するように番組や歌手の歌う曲。
総てを書いてしまっては意味がないので、
本文は是非とも読んでいただきたいのだが、
日本人の本音と建て前のようなもののエゴイズム、
そこに潜むフェイクというまやかしが浮き彫りになっている。

小田嶋さんは厳しいことばかり言うわけではなく、
時にはちょっとゆるいことも言う。
でも絶対的にこの人の言葉が好きなのは、
飾らない言葉で事象を語り、
そこに激しい感情など持ち込まないからだ。

ちょっと俯瞰で眺めながら、
ちょっと足を突っ込んでみながら、
ちょっと引いた場所から客観的に。

小田嶋さんを信用できるのはそのスタンスだからだ。


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