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「ゾディアック」 [WOWOW]



ゾディアック(字幕版)

ゾディアック(字幕版)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2014/02/20
  • メディア: Prime Video


乗る連続殺人犯と、その事件の解決に挑む者たち。「殺人」と「真実の究明」という全く逆の立場にいる人間たちが、謎が謎を呼ぶ事件を巡り、次第にその運命を狂わされていく...。

昔はこの手のストーリーが好きで、
本でも映画でも何でも来いだったのだけど、
サイコホラー、サイコスリラーの粗製濫造で、
すっかり遠のいてしまっていた。
この作品はマーク・ラファロが出演しているのは知っていたが、
題材が題材なので、
今までずっと避け続けていた。
観たのはほんの気まぐれ。

見始めてすぐに後悔。
ロバート・ダウニー・ジュニアが出演しているとは、
全く知らなかったわ。 
それも如何にも彼らしい、
自信家で仕事に誇りも持っているのに、
人生を狂わされて身を持ち崩す。
って言うか、
よくあんな役を引き受けたものだ。
あれじゃリハビリ前の彼を想起させすぎる。
一方のジェイク・ギレンホール。 
彼もまた当時の線の細さと繊細さ全開で、
マンガ家なのに事件にのめり込んで、
自分なりの推理や調査でボロボロになって行く。
マーク・ラファロは担当刑事、
もちろん最初はのめり込むけれど、
そこはやっぱりプロだし、
組織として調査を打ち切ったり配置転換があったり、
否応なく距離を置かざるを得ないことが若干の幸い。
ハルクもそうだけど、
生真面目でどちらかと言えばお堅い印象、
それがマーク・ラファロだったので、
「哀れなるものたち」でのコミカルな演技が新鮮だったくらい。

常につきまとう薄気味の悪さ、
妙な感覚、
しっくりこない奇妙な違和感。
それはとりもなおさず、
デヴィッド・フィンチャーの映画ならでは。
このゾクゾクが何よりの魅力だし、
ゾディアックに取り憑かれた人間が、
やがて自滅や生活のバランスを崩していくのを、
いやらしいくらいにじっくり見せていく。

結果的に今もゾディアックは不明。
未解決事件のまま。
ゾディアックに殺された人間の他に、
その手紙によって病んでいく記者、
追い求める余りに家庭の危機を迎えるマンガ家、
捜査に関わる警官も、
何処か精神のバランスを崩していく。

思えばこんな事件と登場人物。
フィンチャーが放っておくはずがないよな。
「セブン」のラスト。
あの衝撃は一生忘れない。
あの後味の悪さと人間の脆さ。




それにしても、
ロバート・ダウニー・ジュニアのあの尊大な芝居。
やっぱり彼にはそういう役柄がよく似合う。

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