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「ミツバチのささやき」 [ザ・シネマHD]



スペインのとある小さな村に「フランケンシュタイン」の巡回映画がやってくる。
6歳の少女アナは、姉から怪物は村外れの一軒家に隠れていると聞き、それを信じ込む。
そんなある日、アナがその家を訪れた時、そこで一人のスペイン内戦で傷ついた負傷兵と出合い…。

何十年かぶりに観たけれど、
やはりこの作品の後、
監督のもの作りが停滞した理由がよくわかる。
設定や配役も含めて、
これ以上ないほどに素晴らしい。
フランケンシュタインの物語に魅入られて、
少女アナの世界が作られていく。
美しく純粋無垢な瞳、
平和な美しい風景の村。
だけどそこでも内戦の影響は避けられず。

すっかり「瞳をとじて」を観る気になっているので、
遙か昔の記憶を引っ張り出すよりも、
録画してあったものを引っ張り出した。

しかし、残念ながら「エル・スール」がない。
これは中古でとりあえず手配済み。


アナという子役、
この子を採用したこと、
発見したこと、
とにかくそれが全てと言っても良い。
だからこそ監督はその呪縛から解き放たれなかった。
その結論が「瞳をとじて」だとしたら、
我々にはそれを見届ける義務があるはずだ。

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「ザ・フォック」4Kレストア版 [ザ・シネマHD]




『ザ・フォッグ』4Kレストア版[Blu-ray]

『ザ・フォッグ』4Kレストア版[Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: Happinet
  • 発売日: 2022/07/06
  • メディア: Blu-ray


●ストーリー
港町アントニオ・ベイの誕生100年祭を迎える午前零時、灯台に拠点を置くラジオ局のスティービーが町の誕生日を告げた。それと同時に町は濃い霧に包まれ、続々と怪奇現象が起こる。100年前の怨みを晴らすために霧と共に現れた亡霊たちは、次々と住民を惨殺していく……。

昔確実に見て、
それはもう恐ろしくて恐ろしくて、
なんという映画を撮る監督だろうと、
恐れおののいた記憶がある、
VHSで見たのか、
劇場で観たのか、
その記憶も曖昧なのだが、
なんとなくだけれど三番館辺りの、
ホラー3本立てだったような記憶がある。

映像は4Kレストアで鮮明になっても、
どうしても音声はクリアにならない。
こればかりは仕方がないのだが、
やはり昔のフィルム上映館で、
場末の3番館であっても、
その迫力と恐怖感は圧倒的だったと思う。
今家で観ると、
むしろ鮮明に見えない恐ろしさと、
劇場での音声の凄さは比較にならないと思う。
迫り来る霧と幽霊たちの恐怖は、
昔の方が強烈だった。



それにしても、
これって八つ墓村なんだよな。 


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「シング・ストリート 未来へのうた」 [ザ・シネマHD]




シング・ストリート 未来へのうた [Blu-ray]

シング・ストリート 未来へのうた [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ギャガ
  • 発売日: 2017/12/22
  • メディア: Blu-ray


【ストーリー】
1985年、大不況のダブリン。人生14年、どん底を迎えるコナー。
父親の失業のせいで公立の荒れた学校に転校させられ、家では両親のけんかで家庭崩壊寸前。音楽狂いの兄と一緒に、隣国ロンドンのPVをテレビで見ている時だけがハッピーだ。
ある日、街で見かけたラフィナの大人びた美しさにひと目で心を撃ち抜かれたコナーは、「僕のバンドのPVに出ない?」と口走る。
慌ててバンドを組んだコナーは、無謀にもロンドンの音楽シーンを驚愕させるPVを撮ると決意、猛練習&曲作りの日々が始まったーー。

あー、いやいや。
アイルランド、ダブリン、ベルファスト。
舞台がアイルランドだとそれだけで萌え。
そこに音楽が絡むともう身悶えするほど好き。
そしてこれって1985年。
そりゃもう私が洋楽を夢中で聴いていた頃。
登場する曲とバンドがもうどんぴしゃり。
最高過ぎて悶絶。

またTVでバンドを観ては、
「格好いい」と思ったら主人交代のファッションが変わる。
自分でも覚えがあるから余計にわかるし、
余計に笑えてたまらない。
実に素朴な物語なのだけど、
スカッとするし、
苦みもありながら若さが最後は爆発。
大好き。

マジでこれは最高。
80年代ポップスが好きな人なら、
感情移入できるだろうし、
絶対に観たら良い気持ちになれる。

主人公の子、
何処かで観たことあるなぁと思ったら、
「コーダ あいのうた」の子だったのね。
アレはアレでまた最高の音楽だし。

最近とみに思うんだけど、
音楽って理屈をつけるのはそれもありだけど、
もうただただ感性だけで、
良いものは良い、好きなものは好き。
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「裁かるるジャンヌ」 [ザ・シネマHD]




裁かるるジャンヌ 2Kレストア版 カール・Th・ドライヤー Blu-ray

裁かるるジャンヌ 2Kレストア版 カール・Th・ドライヤー Blu-ray

  • 出版社/メーカー: IVC,Ltd.(VC)(D)
  • 発売日: 2019/10/25
  • メディア: Blu-ray


フランスの王位継承と領土をめぐる百年戦争においてオルレアンの地を解放に導いたジャンヌ。ダルク。
1431年、戦いの中で捕えられた彼女は、イングランドに引き渡され、異端審問を受けることになる。
司教たちの悪意に満ちた尋問に追いつめられるが、彼女は信仰心を捨てず火刑に処せられてしまう。

「一生に一度絶対に観ておけ」的なランキングに、
必ずと言って良いほどランクインする。
それじゃ録画してあるし、
長くもないから観てみようかと。

この手の偉人ものというか、
有名な歴史上の人物の場合、
もはや文化や知識や常識として、
「ここまではみんなご存知」というのがありがちで、
本作もジャンヌの異端裁判から火刑に処されるまでなので、
当然だが彼女がそこになぜ至ったかは描かれない。
異端審問の中で、
質問に対して彼女が答える言葉、
それのみが彼女がここまでに至った状況を物語る。
ジャンヌ・ダルクという女性に対して、
全くなんの知識もない人間がこれを見ることもないだろうし、
ヨーロッパにおいてはその後名誉回復されたジャンヌも含めて、
当然の常識以前の情s器なのだろう。

無声映画にパイプオルガン。
異端審問の状況は、
審問官とジャンヌの異様ならざるアップで表現される。
その一つ一つの表情の凄まじいこと。
字幕で台詞は入るがそれは最小限。
最初から絶望の中にあるジャンヌに対して、
彼女を執拗に責め立てて、
異端者として悪魔の遣いとして彼女を有罪にしたい審問官、
その圧倒的優位からの圧力の激しさ。
もはや助かる道はあり得ないと悟っている、
万に一つも救いはないであろう、
そのことをわかっているジャンヌの絶望の表情。
追い詰められて更に追い詰められて、
そして一度は命は救われても、
やはり神を裏切ることができずに、
自ら火刑になるとわかっていながら告白をする。
そしてすぐに火刑に処されるとわかったとき、
またその時に見せる最後の絶望。
流す涙の無垢な美しさ。
自ら殉教者になると決めた彼女の意志の強さ。

どこが何という表現がふさわしいのか、
何をどう言う言葉にしたら良いのか、
非常に困ってしまうのだが、
確実にこの表現と演出は、
「死ぬまでに観ておくべき1本」だ。

ますます派手なアクションやCGが当たり前になる今。
むしろこの表現と演出はエキサイトで新しい。
人間の顔のアップが持つ迫力、
その凄さを改めて噛みしめた。

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「トレマーズ」 [ザ・シネマHD]


トレマーズ [Blu-ray]

トレマーズ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
  • 発売日: 2012/04/13
  • メディア: Blu-ray


大地を引き裂く巨大生物グラボイズ、接近!もう、どこにも逃げ場はない!!

初見は「日曜洋画劇場」。
余りに面白くて、
その後レンタルビデオで見たっけ。
答辞鳴かず飛ばず状態になっていたケヴィン・ベーコンのスマッシュヒット。
B級怪物映画なれど、
バディものであり、ユーモアもたっぷり、
非常にスピーディーに展開されるので一気に見られて、
おまけにめちゃくちゃ面白い。
今回シリーズ一挙放送ということで、
ケヴィン・ベーコンはこの1作目だけだけど、
閑なときにお気楽に見ようと。

いやー、やっぱり最高。
明るく乾いた風景の中で、
得体の知れない気味悪い巨大生物が大活躍。

若いケヴィン・ベーコンも堪能できるし。
これはこれで好きだw。 

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「時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース」 [ザ・シネマHD]


時の翼にのって ファラウェイ・ソー・クロース! デジタル・リマスター [DVD]

時の翼にのって ファラウェイ・ソー・クロース! デジタル・リマスター [DVD]

  • 出版社/メーカー: IMAGICA
  • 発売日: 2006/04/28
  • メディア: DVD




時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!<デラックス版> [DVD]

時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!<デラックス版> [DVD]

  • 出版社/メーカー: エスピーオー
  • 発売日: 2004/06/04
  • メディア: DVD


天使カシエルは友人のダミエルが人間になって下界に下った後、ひとりで毎日ぼんやりと東西統一後のベルリンの街を見下ろしていた。やがてカシエルは、自分もダミエルと同じように人間になりたいと思い始める。
そんなある日、カシエルはアパートのバルコニーから誤って転落した少女を助けたことで、望みがかない人間になった。
しかし、カシエルはやがて人間界の様々な悪徳を知り、苦悩するようになる。そして、堕天使エミットに誘惑され、商社社長のヤクザまがいの悪行に手を染めるようになってしまう。
カシエルは社長が裏では悪名高き武器商人であると知り、彼とエミットの企みを阻止しようと、ルー・リードやピーター・フォークの協力を仰ぐのだが、阻止することができなかったばかりか、エミットが予言した通り、最期の時が近づいてくる…。

世界サブカルチャー史 欲望の系譜の90年代を観ていたとき、
この作品の存在を知った。
「ベルリン・天使の詩」は昔観たのだが、
そのあとの物語があることを知らなかった。
しかし世界サブカルチャー史で照会されていたのは、
東西ドイツ統一後の世界は、
決して明るく楽しいものではなかったと言うこと。
「ベルリン・天使の詩」が人間になったことで、
天使では得られなかった悦びを得た物語としたら、
「時の翼に乗って ファラウェイ・そー・クロース」は、
人間になったことで知らなくても良い悪事を知り、
知る必要もなかった絶望も知る物語だ。
まさにメインカルチャーに対するカウンターカルチャー、サブカルチャーの位置づけ。
例えそれが現実であったとしても、
人の心の声を聞き続けてきたけれど、
現実の人間は他人の心の声などどこ吹く風、
知れば知るほど下界は憧れた世界とはほど遠い。
それでも彼は生きなければならない。

元天使だった人間たちの魅力的なこと、
それは彼らが人間と共生し、
いくらかではあっても、
その欠点も欠陥も受け入れたからだ。
だから彼らは人間らしく、
それはもうたまらなくチャーミングなのだ。
そして堕天使エミットもまた人間の弱さを知っているからこそ、
堕天使であり魅力的ある。
カシエルはやがてその企みに巻き込まれて、
最後は人間になって失った翼、
その翼によって羽ばたいていく。
何とも皮肉に満ちた物語ではあるが、
その姿が象徴するものは明らかであり、
飛散ではあるが美しくもある。

確かにこの物語は哀しい。
しかし絶望だけではない。
人間にもまだ希望があることを見せてくれる。
果てしなく暴走する人間の欲望ではあるが、
まだそこから救われる心を感じさせてくれる。

ヴィム・ヴェンダースを特に好むわけではないが、
「ベルリン・天使の詩」だけがクローズアップされて、
こちらが陰に隠れてしまうのは、
それこそサブカルチャーたる由縁であり運命なのか。
しかしメインとサブは必ず表裏一体であり、
同時に存在して同時に作用反作用とするものなのだ。

だからこそこの作品を観なければならない。
人間の世界の真実を知らなければならない。

「ベルリン・天使の詩」を見た時は若かった。
きっと見えないものがいくつもあったと思う。
また近いうちにそちらも見直そう。
世界が分断されていた時代を観てみよう。

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「コックと泥棒、その妻と愛人」 [ザ・シネマHD]




コックと泥棒、その妻と愛人 [DVD]

コックと泥棒、その妻と愛人 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
  • 発売日: 2012/05/09
  • メディア: DVD


人間のあらゆる欲が渦巻く醜くも美しい10日間の物語-。異才ピーター・グリーナウェイ監督が、独自の世界観で作り上げたシニカルな人間ドラマ。

1年くらい前から、
懐かしくて観たいなぁと思いつつ、
DVDを購入するほどでもないかと思い、
結果ザ・シネマHDで録画しておいた。
で、「世界サブカルチャー史」で取り上げられたのを契機に、
俄然観たくなりHDDから掘り起こして来た。

そもそも30年も前にこの映画を観たのは、
衣装を担当したのがゴルチエだったからで、
当時はピーター・グリーナウェイにも興味がなく、
かつ登場人物の俳優にも興味なし。
今回「世界サブカルチャー史」で観たことで、
ヘレン・ミレンとティム・ロスが出ていたことに気付く。
この大好きな二人が出ているとあっては、
そりゃもう熱に火が点いた。

30年前の私は本当に衣装にしか興味がなかったのか、
これほどまでに何も覚えていないとは。
ウエス・アンダーソンと共通するような横移動のカメラ、場面展開、
移動すると変化してその場所の色の背景や衣装になり、
客たちもギャルソンたちも優雅にゴルチエを着こなす。
その中で一番さえない本を読みながら食事をする男。
余りにも周りから浮いた存在で異質。
でもその男が泥棒の妻のハートを射止める。
夫に隠れてレストランの中で逢瀬を重ねて身体を重ねる二人。
しかしその逢瀬は夫の知るところとなり、
二人は逃げるがけっきょく居場所を突き止められ・・・。

もうこれ以上は書くことができない。
余りにショッキングなシーンと言葉が続く。
その美しさとおぞましさは自分の目で見るしかない。
横暴で粗野な夫とは正反対の、
知的な男に惹かれた妻を誰が責められようか。
そして復讐を果たすためにコックに頼み込み、
これ以上ない料理を夫に振る舞いながら、
最後に放つ極めつけの言葉と毅然とした妻の態度。

この映画の素晴らしさのかけらもわかっていなかった、
30年前の自分が恨めしい。
当時も今も審美眼などないのだと思い知らされる。

かくして自らの不甲斐なさと、
この映画の美しくもグロテスクな人間の姿に、
完全に打ちのめされたのだ。
何十年経っても色褪せない映画の美しさ、
ゴルチエの衣装も全く時代は関係ない。
この美しい世界と退廃と暴力、
麻薬のように魅了されたらもう離れられない。




余談。
「コックと泥棒、その妻と愛人」
「羊たちの沈黙」
「ハンニバル」
「タイタス」
ここに共通するもの、
意識していなかったが魅了されるらしい。


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「まぼろしの市街戦」 [ザ・シネマHD]


まぼろしの市街戦≪4Kデジタル修復版≫ [Blu-ray]

まぼろしの市街戦≪4Kデジタル修復版≫ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2022/08/10
  • メディア: Blu-ray


第一次大戦末期、敗走中のドイツ軍は占拠したフランスの小さな街に大型時限爆弾を仕掛けて撤退。イギリス軍の通信兵は爆弾解除を命じられ街に潜入するも、住民が逃げ去った跡の街では精神科病院から解放された患者とサーカスの動物たちが解放の喜びに浸り、ユートピアが繰り広げられていた。通信兵は爆弾発見を諦め、最後の数時間を彼らと共に過ごそうと死を決意するが…。(C)1966 - Indivision Philippe de Broca

この映画の存在を知ったのは、
確かもう30年近く前だと思う。
是非とも観たいと思っていたが、
長い人生いろいろあってすっかり失念。
数年前から気になっていた。
CATVの契約内容を変えたことで、
やっとザ・シネマHDで観られた。

なるほど。
これは死ぬまでには観ておくべき価値がある。
何と皮肉にあふれた、
かつ生き生きとした魅力にあふれた、
自由で美しい作品なのだろう。
人間にとっての本当のユートピアとは何か、
心底考えさせられる作品だ。

この作品が一種のカルト化しているのも理解できる。
線上でありながら、
比喩的にユーモラスであり、
兵隊たちも物騒な武器を持ち、
物騒な作戦を実行しながら、
どこか間が抜けていて愛らしい。
そして精神病院から解放されて、
街中で自らの自由な精神を解放する人々、
彼らの純粋無垢で美しい魂と、
人生を楽しむその奔放さ。
そこが戦場であることなど無関係に、
彼らは束の間の自由を謳歌する。
本当の人間らしさとは何か、
本当に自由な精神とは何か、
殺し合うことの虚しさと共に、
その美しい映像と音楽と共に、
深く心に入り込んでくる不思議な映画だ。

主人公が最期に選ぶ道を、
圧倒的に私は支持する。
彼は気付いてしまったのだ。
本当の幸せに。
私もそうなれたらどれだけ幸せか。

真の心のユートピアはどこにあるのか。

それは物質や金では得られないものかも知れない。

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「ノーカントリー」 [ザ・シネマHD]




ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: パラマウント
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: Blu-ray


【ストーリー】
200万ドルを奪った男、彼を追う最凶の殺し屋、事件の謎に迫る保安官──
息づまる戦いの果てに、男たちの運命は予測もしない結末を迎える!
荒野で狩りをしていたベトナム帰還兵のモスは、偶然ギャングたちの死体と麻薬絡みの大金200万ドルを発見。
その金を奪ったモスは逃走するが、ギャングに雇われた殺し屋シガーは、邪魔者を次々と殺しながら執拗に彼の行方を追う。
事件の発覚後、保安官のベルは二人の行方を探るが、彼らの運命は予測もしない衝撃の結末を迎える……。

「世界サブカルチャー史」で見かけて、
「そういえば見ていなかったなぁ」と思って、
見ようかなといろいろ探していたら、
ちょうどザ・シネマHDで放送。
最近のこの手のちょっと古い映画は、
大体「世界サブカルチャー史」に影響されている。

ハビエル・バルデムがたまらない。
もともと好きな役者だけど、
不気味すぎて格好良すぎる。
そして酸素ボンベ最強w。
国境付近の乾いた気候と陽射しと比して、
何ともいえないハビエル・バルデムのねっとりとした存在感。
執拗に追い続ける殺し屋の不気味さが、
めちゃくちゃよく似合う。

200万ドルを偶然手に入れたことから始まる逃亡劇。

逃げるベトナム帰還兵、 
追いかける殺し屋、
更に追っ手が追加されて、
その一部始終を追いかける保安官。

果たして200万ドルは誰の手に? 

途中で金の行方はどうでも良くなって、
それぞれの男たちの生き方や、
妙なポリシーやジンクスや言葉に絡め取られて、
彼らの人間ドラマに引き込まれる。
コーエン兄弟らしい独特の世界と美学が、
築かれる死体の山でさえも美しく、
それが必然の存在であるかのように思わせる。

まぁ結末は衝撃。
文字通りの衝撃。
それがまた「え?」という感じで、
エンドロールのあと、
彼がどうするかを想像させて、
なんだか愉快になってくる。
あのラストシーンから愉快になる自分、
相当におかしいとは思うけれど。

確かに「時代」の映画だなぁと思った。
そして観客の想像力に委ねた部分の多さに、
今時の「語りすぎる」「見せすぎる」映画に対する、
本来の物語としての映画の面白さを感じた。
こう言う映画は癖になって、
何度も見返してディティールを確認したくなる。
麻薬のような映画だ。



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