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「コックと泥棒、その妻と愛人」 [ザ・シネマHD]




コックと泥棒、その妻と愛人 [DVD]

コックと泥棒、その妻と愛人 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
  • 発売日: 2012/05/09
  • メディア: DVD


人間のあらゆる欲が渦巻く醜くも美しい10日間の物語-。異才ピーター・グリーナウェイ監督が、独自の世界観で作り上げたシニカルな人間ドラマ。

1年くらい前から、
懐かしくて観たいなぁと思いつつ、
DVDを購入するほどでもないかと思い、
結果ザ・シネマHDで録画しておいた。
で、「世界サブカルチャー史」で取り上げられたのを契機に、
俄然観たくなりHDDから掘り起こして来た。

そもそも30年も前にこの映画を観たのは、
衣装を担当したのがゴルチエだったからで、
当時はピーター・グリーナウェイにも興味がなく、
かつ登場人物の俳優にも興味なし。
今回「世界サブカルチャー史」で観たことで、
ヘレン・ミレンとティム・ロスが出ていたことに気付く。
この大好きな二人が出ているとあっては、
そりゃもう熱に火が点いた。

30年前の私は本当に衣装にしか興味がなかったのか、
これほどまでに何も覚えていないとは。
ウエス・アンダーソンと共通するような横移動のカメラ、場面展開、
移動すると変化してその場所の色の背景や衣装になり、
客たちもギャルソンたちも優雅にゴルチエを着こなす。
その中で一番さえない本を読みながら食事をする男。
余りにも周りから浮いた存在で異質。
でもその男が泥棒の妻のハートを射止める。
夫に隠れてレストランの中で逢瀬を重ねて身体を重ねる二人。
しかしその逢瀬は夫の知るところとなり、
二人は逃げるがけっきょく居場所を突き止められ・・・。

もうこれ以上は書くことができない。
余りにショッキングなシーンと言葉が続く。
その美しさとおぞましさは自分の目で見るしかない。
横暴で粗野な夫とは正反対の、
知的な男に惹かれた妻を誰が責められようか。
そして復讐を果たすためにコックに頼み込み、
これ以上ない料理を夫に振る舞いながら、
最後に放つ極めつけの言葉と毅然とした妻の態度。

この映画の素晴らしさのかけらもわかっていなかった、
30年前の自分が恨めしい。
当時も今も審美眼などないのだと思い知らされる。

かくして自らの不甲斐なさと、
この映画の美しくもグロテスクな人間の姿に、
完全に打ちのめされたのだ。
何十年経っても色褪せない映画の美しさ、
ゴルチエの衣装も全く時代は関係ない。
この美しい世界と退廃と暴力、
麻薬のように魅了されたらもう離れられない。




余談。
「コックと泥棒、その妻と愛人」
「羊たちの沈黙」
「ハンニバル」
「タイタス」
ここに共通するもの、
意識していなかったが魅了されるらしい。


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