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「裁かるるジャンヌ」 [ザ・シネマHD]




裁かるるジャンヌ 2Kレストア版 カール・Th・ドライヤー Blu-ray

裁かるるジャンヌ 2Kレストア版 カール・Th・ドライヤー Blu-ray

  • 出版社/メーカー: IVC,Ltd.(VC)(D)
  • 発売日: 2019/10/25
  • メディア: Blu-ray


フランスの王位継承と領土をめぐる百年戦争においてオルレアンの地を解放に導いたジャンヌ。ダルク。
1431年、戦いの中で捕えられた彼女は、イングランドに引き渡され、異端審問を受けることになる。
司教たちの悪意に満ちた尋問に追いつめられるが、彼女は信仰心を捨てず火刑に処せられてしまう。

「一生に一度絶対に観ておけ」的なランキングに、
必ずと言って良いほどランクインする。
それじゃ録画してあるし、
長くもないから観てみようかと。

この手の偉人ものというか、
有名な歴史上の人物の場合、
もはや文化や知識や常識として、
「ここまではみんなご存知」というのがありがちで、
本作もジャンヌの異端裁判から火刑に処されるまでなので、
当然だが彼女がそこになぜ至ったかは描かれない。
異端審問の中で、
質問に対して彼女が答える言葉、
それのみが彼女がここまでに至った状況を物語る。
ジャンヌ・ダルクという女性に対して、
全くなんの知識もない人間がこれを見ることもないだろうし、
ヨーロッパにおいてはその後名誉回復されたジャンヌも含めて、
当然の常識以前の情s器なのだろう。

無声映画にパイプオルガン。
異端審問の状況は、
審問官とジャンヌの異様ならざるアップで表現される。
その一つ一つの表情の凄まじいこと。
字幕で台詞は入るがそれは最小限。
最初から絶望の中にあるジャンヌに対して、
彼女を執拗に責め立てて、
異端者として悪魔の遣いとして彼女を有罪にしたい審問官、
その圧倒的優位からの圧力の激しさ。
もはや助かる道はあり得ないと悟っている、
万に一つも救いはないであろう、
そのことをわかっているジャンヌの絶望の表情。
追い詰められて更に追い詰められて、
そして一度は命は救われても、
やはり神を裏切ることができずに、
自ら火刑になるとわかっていながら告白をする。
そしてすぐに火刑に処されるとわかったとき、
またその時に見せる最後の絶望。
流す涙の無垢な美しさ。
自ら殉教者になると決めた彼女の意志の強さ。

どこが何という表現がふさわしいのか、
何をどう言う言葉にしたら良いのか、
非常に困ってしまうのだが、
確実にこの表現と演出は、
「死ぬまでに観ておくべき1本」だ。

ますます派手なアクションやCGが当たり前になる今。
むしろこの表現と演出はエキサイトで新しい。
人間の顔のアップが持つ迫力、
その凄さを改めて噛みしめた。

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