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「枯れ葉」2度目。 [映画]



何度観ても味わい深い予告編。 
何度観てもそのロマンスに心が波立つ。
何度観ても「哀愁」+「めぐり逢い」なのに、
最後のシーンで涙が頬を伝う。

理不尽に職を失い、
理不尽に追い詰められる労働者が、
自分の力で地味にでも活きる力を得るのが、
カウリスマキの映画の定番。
今回は片や理不尽+@で即日解雇、
その上再就職先の雇い主は麻薬取引でお縄、
給料日なのに給料はもらえず。
やむなく肉体労働で日々の糧を稼ぐ。
片やそれなりに仕事はできるはずなのに、
アルコール依存で職を失い続ける。
その二人が出会って、
ロマンスが動き始めたところで、
「依存症」という奴はそれを台無しにする。
依存症を克服するためには、
本人の強い意志と同時にご褒美も必要。
カウリスマキは最愛の人をご褒美にしながら、
そこで「めぐり逢い」に転んでいく。

こうやって書くと、
ベッタベタのロマンスのようではないか。
そう、確かにストーリーはベッタベタのラブストーリー。
だけどそれをそう感じさせないのは、
カウリスマキの演出と同時に、
差し込まれる卓越したセンスの映像や音楽のインサート。
二人で初めて行く映画が「デッド・ドント・ダイ」。
ジム・ジャームッシュのゾンビ映画だ。
私はこの映画には思い入れがあって、
コロナ禍で劇場が開けたとき、
いの一番に観に行った映画だったのだ。
カウリスマキの映画の途中でアダム・ドライバーにビル・マーレイが、
突如ゾンビと一緒に登場するのはさすがに笑う。
そしてカラオケパブで歌う人たち、
ヤル気があるのかないのかわからない女性グループ、
で、ラストシーンでの「枯れ葉」、
まさしく今のカウリスマキらしくて最高だ。

過去の作品では、
様々な要素や風景などに、
東欧の気配と雰囲気を感じさせたフィンランドも、
EUの加盟国となり通貨はユーロ、
今やNATOの一員でさえある。
それがカウリスマキの創作活動に影響を及ぼしたのか、
それはわからないが、
少なくとも常に東欧とロシアの脅威にさらされてきたフィンランドには、
大きな出来事がここ何年か続いていることは確かだ。

だからこそ「人はいつでもやり直せる」、
「人は変わり続けることができる」というメッセージは強烈だ。
そしてそれと同時に世界も動き続けるのだ。



今回嬉しいことがあった。
シネコヤは飲んだりたべたりしながら、
映画をゆったりと楽しめる。
もちろんシネコンでもそれは同じだが、
食べられるものがスープセットやケーキセット、
フレンチトーストのアイスクリームのせだったりする。
飲み物は珈琲、紅茶はもちろんだけど、
店内で作ってくれるソーダ類やココアなどもある。
今日は映画上映時にハニーライムソーダ(自分の定番)を頼んだ。
そうしたらサーブしてくれるときに、
わざわざチラシを持ってきてくれて、
「○○様、こちらの映画はご存知ですか?」
昨日ちょうど町山さんの背景をたっぷり含んだ解説を見たばかり。
「とても良い映画だったので是非どうぞ」
いつも受付で対応してくれる可愛い女の子が、
そう言ってくれたのが嬉しかった。
22席のミニシアター。
個人名で呼ばれるって常連と認められたようで嬉しかった。

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