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「あの夜、マイアミで」 [ストリーミング]



「あの夜、マイアミで」は60年代の公民権運動や文化のうねりのさなか、各界のカリスマ的存在であるモハメド・アリ、マルコムX、サム・クック、ジム・ブラウンが自分たちの役割を熱く語り合う特別な一夜を描いている。

あくまでもこれは架空の物語。
舞台劇を基にした映画。
どの役者が誰に似ていないとか、
そんなことは些細なことでしかない。
1964年2月という特別な時期に、
黒人の中でも特別な存在である4人が、
お互いの立場を知りつつも、
自分達の役割を踏まえて本音をぶつけ合う。
そんな特別な夜の想像の会話。

BLMが世界的に盛り上がる今、
彼らが60年代前半から中盤にかけて、
どんな存在であったかを知り、
どんな役割を果たしてきたかを知る。
それだけでも充分に面白いのだが、
そこで公民権運動について、
彼らなりの言葉を戦わせる。
そしてそれから彼らが生きるべき道、
進むべき道を考えるとそれは実に興味深い。

個人的に関心を持ったのは、
これが「メイキング・オブ・モータウン」で語られる、
デトロイトから彼らが立ち上がってきた時期、
彼らは果たして公民権運動を意識していたか?
映画の中で語られるのは「如何にして白人を巻き込むか?」だった。
自分達の音楽を広く売るためには、
白人の購買力を利用しない手はないと、
彼らはデトロイトという出自も手伝ってか、
臆面もなく自分達のマーケティングを繰り広げた。
そして音楽に政治的メッセージを織り込むようになるまでには、
この映画に登場するサム・クックやマルコムXが死ぬのを待たねばならない。

今こうしてこう言う映画が作られること。
それこそがストリーミング配信も含めて、
多くのすぐれたクリエーターを生み出し、
多くの問題提起をすることに直結する。

それから4人はそれぞれの道を歩く。
ただ「蝶のように舞いハチのように刺す」のは、
カシアス・クレイだけではなかったと思った。
それぞれがそれぞれのフィールドで、
蝶のように舞ってハチのように刺して、
そしてそれぞれの運命を辿っていったのだ。

歴史の一幕は闇に隠れている。


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