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「本音を申せば」 [本]


本音を申せば (文春文庫)

本音を申せば (文春文庫)

  • 作者: 小林 信彦
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/04/10
  • メディア: 文庫


内容(「BOOK」データベースより)
2004年をあらわす漢字は“災”でした。猛暑、台風、地震、大津波…まさに驚天動地、天変地異の一年。「戦後最悪」を更新しつづける日本社会を、クロニクル(年代記)的に書きとめて、“裏現代史”としてライヴな感覚で時代のありのままの姿を観察し続ける、ご存じ「週刊文春」に好評連載中のエッセイの文庫化第7弾。

世間が驚天動地だったように、
私自身もこの年はあれやこれやといろいろなことが起こった。

記憶を掘り起こしてみれば、
暑かった!とにかく暑かった!
毎日熊谷や前橋あたりで40℃をぶっちぎっていた記憶がある。
もちろんこちらも暑かったが、
以前のように外回りの仕事ではないだけましだった。
それにしても今年も暑い。
だけど2004年の方が夜になれば少しは涼しくなった気がする。
もしかすると今年こそ記録的な猛暑、激暑の年になりそうな予感がする。

仕事は順調だった。
11月半ばまでは。
いや、仕事自体は順調だったのだ。
だけどある上司の個人的な野心が水を差した。
結局この年の年末を持って私はまた転職をした。
そして同僚たちも皆春までには退職した。
でもあの会社は今も元気でやっているらしい。
(求人情報によると、だが)

あの地震はショックだった。
その数週間前に予定してたBBQの日に台風の直撃をくらい、
急遽中止して「あの日」に変更していた。
私たちは相模川の上流にいて、
あれこれ片付けに追われていて揺れに気づかなかった。
友人を家まで送り、
ナビ(TV)の電源を入れたときに起きていることに気づいた。
「新幹線が脱線する?」
にわかには信じられなかった。
阪神大震災の時の倒れた高速道路のように、
天災というのは予想もしない被害をもたらすことを思い出した。
当時は取引先の人が小千谷市にいたので心配だった。
2ちゃんねるの呼びかけに反応して、
たくさんの携帯カイロを現地に送った。
連絡を取ることもできない以上出来ることはそれだけだった。
(後日無事な声を聞けて本当にうれしかった)


こうして読んでみると、
本当にすさまじい年だったのだなぁと思う。
2001年は確かに恐ろしいテロの年だったけれど、
どこか「対岸の火事」みたいなところがあったし、
報復行為に出る藪Jrの方が恐ろしかった。



にしても、
氏の戦争に対するこだわりはすごい。
8月の例のころになると、
必ず話題は戦争になる。
「忘れてはいけない」とはいうけれど、
もはや戦争を「知っている」世代が少なくなりつつある。
だから「忘れる」前に「知る」ことが大事なのだ。
この年の記事に登場する「久米島住民虐殺事件」は凄まじい。
今回初めて知ったの事件だが、
昨今の沖縄ブームの能天気さを思うと、
私たちが沖縄の人たちに残してきた傷跡の深さは、
一体現地の人にはどう思われているのか気になる。
「久米島住民虐殺事件」は日本の軍人が久米島の民間人を虐殺した事件なのだ。
戦争も末期になればなるほど、
軍部の意思決定命令系統は杜撰で乱れたものになり、
現場の上官の横暴が目立つようになる。
同胞が同胞を疑い殺すのだ。




あれこれ時事ネタを思い起こして楽しむのと同時に、
本当にいつもいろいろなことを考えさせられる。
クロニクル的エッセイは深い。
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