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「ラジオ報道の現場から 声を上げる、声を届ける」 [本]


ラジオ報道の現場から 声を上げる、声を届ける

ラジオ報道の現場から 声を上げる、声を届ける

  • 作者: 澤田 大樹
  • 出版社/メーカー: 亜紀書房
  • 発売日: 2021/11/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


「面白おかしくしたいから聞いているんだろ」
「いや、何が問題かと思っているかを聞きたいから、聞いているんです」
2021年2月4日。
女性蔑視発言に関する謝罪会見で森喜朗氏に迫った澤田記者の「更問い」は、世論のうねりを引き起こし、社会を動かすきっかけとなった。
特別なことをしたわけではない。
おかしいと思ったことに声を上げ、真意を確かめ、その声を放送にのせる。
人数は絶滅危惧種並み、取材予算もテレビや新聞と比べてはるかに少ない「ラジオ記者」。
マイク一本で伝えられることは限られているのか? そんなことはない。
逆境をものともせず日々取材に奔走する記者から届いた、令和の時代のラジオ論。

TBSラジオリスナーならおなじみ、
澤田大樹記者の著書である。
彼が放送に登場すると、
Twitterのタイムライン上では「俺たちの澤田大樹」「みんなの澤田大樹」 
そんな言葉が登場してくる。
顔の見えないメディアで、 
いかにTBSラジオ唯一の国会担当政治記者とはいえ、
なぜそんな言葉がSNSに踊るのか。

それは簡単である。
彼がそれだけ我々の気持ちを代弁してくれる記者であり、
それが政治、国会のみならず、
高校演劇の現場からのレポートも含めて、
常に真摯に生の現場の声を伝えてくれるからである。

ともすれば太鼓持ちのような政治記者が目立つこの時代に、
真っ向から国民の、リスナーの声をあげてくれる。
私たちは彼がそういう存在だと感じているし知っているし、
実際彼のこれまでの活動はそれが顕著だ。
だからこそ「俺たちの」「みんなの」という言葉がつく。
そしてそれをタイムラインを見つめる人たちが、
それぞれに納得しているのだと思うのだ。
これはもはや某NHKの記者などには、
逆立ちしてもできないことだろうし、
そんな思いを抱いてくれる人がいるとは思えない。

「選挙に行っても何も変わらないから」
そういう言葉で投票行動をしないことを正当化する。
そんな人たちが多くいる今の世の中。
じゃあ政治や世の中の動きに何の関心もないのかと言えば、
物価が上がって生活が苦しかったり、
コロナ禍で政府の対応に不満を抱いていたり、
それぞれに思うところはあるのである。
ただその声をあげても、
自公政権という有権者のたった25%の支持による政権に黙殺される。
「勝てば官軍負ければ賊軍」の通り、
選挙戦で勝った政府与党が、
自分たちの良いように好きなように物事を決める。
だから「何をしても無駄」という絶望感で何もしなくなる。
けれど澤田記者が森喜朗氏に放った言葉、
それが大きく事態を動かしたことを思い出してほしい。
結果的に最善の状態になったとは言えないかもしれないが、
それでも「何か」が少しでも動いたのだ。
そして動かしたのは澤田記者の言葉だが、
その後ろにはラジオリスナーの忸怩たる思いがあった。
彼は我々の代弁者なのだ。
この一件で留飲を下げた人もいるだろうが、
そこで終わらずに考えてほしいと思う。
澤田記者が世の中を動かしたのではない。
澤田記者が丁寧に集めた街の声やリスナーの声が、
彼の更問、発言につながっていったのだ。

澤田記者のそうした行動や言動の根底にあるもの、
彼の生い立ちや選んだ学問の道を知ることで、
いろいろなことが少しずつ分かってきた気がする。
それは偶然にして澤田記者が生まれたのではなく、
彼の人生というベースがあって、
世の中のニーズがあって生まれるべくして生まれたのである。
彼の一人の人間としての側面を知ると、
より一層「記者、澤田大樹」に親しみがわくし、
彼の「声をあげる、声を届ける」という行動に賛同する。

TBSラジオリスナーでなくても、
「あの質問をした人」、
かつ森喜朗から「あの言葉を引き出した人」として、
興味を持ったら読んでみてほしいと思う。
澤田記者のジェンダーに対する自然な意識や、
人に対するフラットな目線と疑問の持ち方は、
一体どこからどのように生まれてくるのか。
それを知るだけでも楽しい。




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「開局70周年記念 TBSラジオ公式読本」 [本]


開局70周年記念 TBSラジオ公式読本

開局70周年記念 TBSラジオ公式読本

  • 作者: 武田 砂鉄
  • 出版社/メーカー: リトル・モア
  • 発売日: 2021/12/02
  • メディア: 単行本


じっくり、しつこく、しかも音だけで。
「ファスト」全盛時代という逆境の中で、
TBSラジオはなぜ元気なのか?
超ロングインタビュー・豪華寄稿・対談・興味津々現場レポート・永六輔さんについて・年表・タイムテーブルまで!
多量記事で多角的に、「TBSラジオ」を物語る。
- - -
[目次より]
◎ パーソナリティ・インタビュー〈聞き手・構成=武田砂鉄〉
生島ヒロシ
森本毅郎+遠藤泰子
ジェーン・スー
赤江珠緒
荻上チキ
宇多丸
大沢悠里
爆笑問題
◎ 現場レポート「TBSラジオの番組が放送されるまで」
◎ 伊集院光、ラジオについて答えます
◎ TBSラジオ70年の歩み
◎ 「ミュージックプレゼント」毒蝮三太夫インタビュー
◎ 「永六輔さんについて」長峰由紀・外山惠理 対談
◎ 久米宏 寄稿「遊びの大学」
◎ あの人のTBSラジオ
石川顯、松下賢次、林正浩、コサキン(小堺一機・関根勤)、岸谷五朗、渡辺真理、荒川強啓、麻木久仁子、松本ともこ、小西克哉、山里亮太、ハライチ
◎ 対談 神田伯山・武田砂鉄
〈「ファスト」流行の中で、「ダラダラ」について考える。〉
◎ TBSラジオタイムテーブル
- - -
読めば、聴こえてくる。
ラジオ好き無条件必読。ラジオ入門にも最適の1冊!

毎日少しずつ1か月かけて読んだ。
あまりにも豪華なメンツに、
「一生懸命、じっくり読まないともったいない」
そう思ったからいつもより時間をかけた。
だが、しかし。
そんなことをしている間に「らじおと」の終了が発表された。
この本の企画がいつから始まり、
いつから誰にどのような形で話を聴くのか寄稿してもらうのか、
それが決まったのかはわからない。
一方で伊集院さんがいつの時点でソファーに座ったのか(TBSラジオリスナーならご存じ)、
もしくは座らないまま終了に合意形成されたのか、
それは全くわからないのだが、
ちょっとばかり読む側の受け取り方が微妙になったのは確実である。

とはいえ、
TBSラジオの偉大なる足跡は事実であり、
それに関しては何ら疑問をはさむ余地もなく、
或いはそれ自体を否定するようなことでもないので、
それはそれとして受け止めるしかない。

「著者赤江珠緒」になっているという状況もあって、
それを冗談のようにあちこちでいじっていたが、
インタビューを読んでみて、
「あ、それってある意味本当」と思った。 
砂鉄さんの質問の仕方のうまさもあって、
実に見事に赤江さんの良いところもポンコツなところも引き出している。
文字であるインタビューに対する表現としてはおかしいかもしれないが、
「華のあるインタビュー」なのである。
お昼の帯を背負っている(かどうかは少々疑問)赤江さんが、
その太陽のような魅力を存分に振りまいて、
砂鉄さんの下調べしたエピソードにも、
実に天真爛漫になんのてらいもなく受け答えする。
「ああ、この人は今TBSのお昼の顔であり太陽なんだ。」
珍プレー好プレーであっという間に殿堂入りして、
でも番組のはたくさんの大きな波が打ち寄せて、
そのたびにパートナーやリスナーやスタッフに助けられて、
まさしくこの人は「ラジオ」の顔になってのだと思った。

赤江さんが「現在」の太陽だとしたら、
永さんはTBSを照らし続けた太陽だった。
長峰アナと外山アナの対談は泣けた。
それぞれに永さんが勇退する最後までつきあった二人。
おそらく二人が語ったことは、
永さんのリスナーだった人間ならわかっていると思う。
だけどあらためて裏で何が起こっていたのか、
永さんという人が何をしようとしていたのか、
何を伝えようとしていたのか、
それを言葉として読んでいると、
その心を受け継いだ人たちの放送がしみる。
「おかしいと思ったことはおかしいと言おう」
忖度だらけの世の中で、
こんな真っ当で当たり前のことを、
言わなきゃならないのが本当はおかしいのに。

本を読みながら、
この感想を書きながら、
或いはラジオを聞きながら、
ふと気づいたことがある。
砂鉄さんのラジオでの言葉の変化だ。
もとより冷静に無駄のない言葉で、
様々な事象を語ってくれる人だ。
その中でも今振り返ると、
明らかにこの本でのインタビューによる、
パーソナリティたちの言葉に影響を受けていると思われる、
そんな言動、言葉があるなぁと思うのだ。
「公式読本」という名前の持つ重み、
70年という歴史の持つ重み、
それにこたえるようにかなりボリュームと内容の厚みを持つ一冊。
この本を編集したことで、
砂鉄さん自身にもいろいろな影響があったのだと思える。
そうなるとまた「アシタノカレッジ」が楽しみになり、
「紳士交遊録」のタイトな言葉の鋭さが突き刺さる。

いろいろな意味合いと対象に、
思うところがないわけではないが、
とりあえずこの本の素晴らしさはもろ手を挙げて賞賛に値する。
そして何よりも、
この本を編んだことで砂鉄さん自身がさらに面白い話し手になってきたと思われること。
これからのTBSがどうなるのかはわからないが、
それでも聴き続ける価値がある番組、
それは確実に残っているし、
御大たちが残した心が残っている、
或いは御大たちの心を受け継いだ話し手がいるうちは、
そこからは離れる気持ちにはなれないことは確かだ。


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「藝人春秋Diary」 [本]


藝人春秋Diary

藝人春秋Diary

  • 作者: 水道橋博士
  • 出版社/メーカー: スモール出版
  • 発売日: 2021/10/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


芸能者が書き記す
疾風怒濤の芸能界日記
『週刊文春』の連載「週刊 藝人春秋Diary」全60作を完全収録した決定版! 水道橋博士が紡ぐ、芸能界から政界までの渾身のルポルタージュ
江口寿史の連載イラスト(60枚)もすべて掲載
「虚と実。正と邪。表と裏。
自由に行き来できる笑いのワクチンパスを持つ男。
博士の芸人探求の文の魂には際限も門限もない。」
ーーー高田文夫(放送作家)
【登場する人物】西野亮廣/尾崎世界観/三又又三/竹下景子/小泉今日子/石原伸晃/那須川天心/北野武/安住紳一郎/春風亭昇太/石坂浩二/加賀まりこ/ウディ・アレン/新しい地図/BIG BANG/BTS/みうらじゅん/麻生太郎/日野皓正/やくみつる /太田光/ユーミン/安倍晋三/松本人志/萩本欽一/遠藤賢司/和田アキ子/江口寿史/吉岡里帆/村本大輔/島田洋七/荒俣宏/春風亭小朝/太川陽介/ぶっちゃあ/たけし軍団/蛭子能収/浅野忠信/野中広務/大竹まこと/ビートたけし/岡村隆史/片山さつき/大仁田厚/笑福亭鶴瓶/剛力彩芽/前野朋哉/MEGUMI/高田文夫/内田裕也/樹木希林/古舘伊知郎 ほか
カバーイラスト&本文イラスト/江口寿史

厚さ6cm。
凶器のごとき鈍器のごとき本である。
書店で持ってきてもらったのを見た瞬間、
「こりゃ持ち歩けないな」 
背中を冷たいものが伝っていった。
しかし受け取ったら意外と軽い。
良い紙(髪ではない)を使っているのであろう、
見た目に反して軽いのである。
しかしそれでも厚さは6㎝、
読むのは結構大変である。
そもそもスモール出版という出版社、
ここ自体がかなりおかしなことをやるというか、
なかなかに通好みな出版社であり、
普通に考えたら上下巻で刊行する内容を、
厚さ6㎝の一冊で刊行するとはいい度胸だ。
よし、その挑戦を受けて立つw。
もとより「藝人春秋」の面白さは過去の3冊から充分知っている。
江口画伯の挿絵も含めて堪能させていただこうじゃないか。

いやはや、
もういきなり読み始めて自分の敗北を知る。
とにかく面白すぎるのだ。
文章もうまいがそのリズムが心地いい。
水道橋博士の饒舌さと同じくらいに文章が心地いい。
そして江口寿史画伯の挿絵がまた素晴らしい。
見開きのイラストと文章でいきなりつかまれるのだから、
逃れようがなく逃れる気もない。
一人一人に対する愛情や思いが溢れ、
こちらも好きじゃなかったはずの人間まで面白くて、
ついつい情が湧いてくる。
しかし本は軽いが分厚さがページのめくりを邪魔する。
それでもページをめくる手が止まらない。

白眉はやはり師匠ビートたけしだった。

なんだかんだと事務所問題もあって、
いまやかつてのオフィス北野はない。
そのことにまつわる話だけが他とはトーンが違う。
面白おかしく扱うつもりか、
三題噺で見事につなげるのだが、
そこに漂う哀愁や積年の思いや哀惜が胸をうつ。
そしてたけし軍団ができたきっかけを語るぶっちゃあさん。
東京でぶっちゃあさんに世話になっていない芸人はいないといわれる、
伝説のあの人の話である。
それを読みながら、
「たけし軍団ってジャニーズと同じ成り立ちじゃん!」と突っ込んでいた。
で、ぶっちゃあさんがジャニーさん?
確かに陰に日向に芸人を支えているという点では同じ。
いや、だけど、なんだかしっくりこない。
腑に落ちないし、納得できない。
それがぶっちゃあさんなのだけど。

やはり自分が属している場所、
いるべき場所の話、
師匠の話は白眉である。
今までの4冊の中でもこのエピソードは格別だった。

それとクライマックスの内田裕也、樹木希林夫妻の話。
これはまたけた違いのものすごさだ。
世間からは理解できない夫婦関係であり、
どちらの言動も行動も、
らしさにあふれた内容と描写で、
さもありなんと思いつつ、
どちらも鬼籍の人であることに涙する。

連載物をまとめた書籍というのは、
「クロニクル」の役目を担うと思うのだが、
このコラムもまた同様である。
時代性を映し出す鏡であり、
その時代を記した記録でもある。
思い起こしながら考えながら、
気が付けば出版社からの挑戦に真っ向から向かい、
戦い終わって日が暮れている。

勝ったのか負けたのか、
そんなことはどうでもいい。
ただひたすらに内容がありすぎて、
その深さと何とも言えない感慨にふけるだけ。
しかし水道橋博士の観察眼と表現力には膝まづく。
これだけの内容でこの価格、
いっそ安いと思えるのだからものすごい本だ。

やはり負けたのか。
だとしても心地いい負け方である。
と言いうよりは勝っても意味はないし。
負けるが勝ちである。
万歳して腹をさらして負けを認める。
水道橋博士もすごかったが、
これをこの形にした編集者もすごい。
そしてそれを読ませるのだから、
このタッグに完敗というしかないだろう。

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「アメリカン・ユートピア」 [本]


アメリカン・ユートピア

アメリカン・ユートピア

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2021/12/11
  • メディア: 単行本


著者について
ディヴィッド・バーン(文)
NY在住のミュージシャン。トーキング・ヘッズのリーダーとして活躍後、ソロに。2018年に発表したアルバム『アメリカン・ユートピア』を基にしたミュージカルをブロードウェイで上演。これはスパイク・リーにより映画化された。
2021年、トニー賞〈作品賞〉を受賞。
マイラ・カルマン(絵)
ニューヨーク在住のイラストレーター。「NYタイムズ」や「ニューヨーカー」で人気を博し、さまざまな絵本を発表。『たいせつなきみ: 犬が教えてくれたこと』(吉田実香・訳)、『せかいでいちばんあたまのいいいぬ ピートがっこうへいく』(矢野顕子・訳)、同じくディヴィッド・バーンとのコラボ『STAY UP LATE おこしておきたい、おそくまで』(神宮 輝夫・訳)など日本でも多くの作品が翻訳されている。
ピーター・バラカン(訳)
ロンドン生まれ。1974年に来日。現在フリーのブロードキャスターとして活動、「バラカン・ビート」「ウィークエンド・サンシャイン」「ライフスタイル・ミュージアム」等を担当。『Taking Stock どうしても手放せない21世紀の愛聴盤』(駒草出版)、『ロックの英詞を読む〜世界を変える歌』(集英社インターナショナル)、『わが青春のサウンドトラック』(光文社文庫)をはじめ音楽や英語に関する著書も多い。

「アメリカン・ユートピア」のステージに下がる緞帳。
その緞帳に描かれた絵を絵本として再構築。
デヴィッド・バーンがステージで喋った言葉、
歌詞をつけて「絵本」に。

もちろん純粋にアートとして、
絵本として楽しむこともできるだろう。
でも私にはやはり映画「アメリカン・ユートピア」の一部であり、
ブロードウェイの舞台~映画~サントラ~絵本と、
メディアミックスで展開される世界の一部なのである。
だから絵本を読みながら、
脳内では舞台の音楽が再生されているし、
映像も再生されているのだ。

この映画を観ていない人にとって、
例え観ていても何も感じない人にとって、
なぜこれほどまでにこの世界に没入したくなるのか、
理解できないのは仕方ない。
もともとのめり込みやすいタイプの人なので、
私はここまでお付き合いするのが当然なのである。

この絵本の発売に合わせて、
絵本の翻訳と映画の歌詞監修をされたピーター・バラカン氏のトークショーがあった。
そのオンラインイベントにもお付き合いしたが、
話が聴けて良かったと思うし、
本当に今年はこの作品と出会えて幸せだった。

デヴィッド・バーンにもスパイク・リーにも、
演者全員にもただひたすら感謝。
それしかない・

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「みらいめがね2 苦手科目は「人生」です」 [本]


みらいめがね2 苦手科目は「人生」です

みらいめがね2 苦手科目は「人生」です

  • 出版社/メーカー: 暮しの手帖社
  • 発売日: 2021/09/14
  • メディア: 単行本


気鋭の評論家荻上チキさんと大人気絵本作家ヨシタケシンスケさんによる『暮しの手帖』好評連載の単行本化第2弾! 好きなものを集めて心を守る、相手を困惑させる自虐は禁止、
理不尽な校則の実態調査、香港の現状報告など、生きやすい社会にするための荻上さんの思いに、
ヨシタケさんがヒーロー、着ぐるみ、狸、ロボットまで登場させ、クスッと笑えるイラストで応えています。
視野を広げ、生きにくさをはじき飛ばす14話とヨシタケさんの傑作あとがきマンガを収録。

チキさんの発言で何が衝撃だったといって、
「相談は踊る」に出演した時の相談が、
「友達を作るにはどうしたらいいですか?」だったこと。
まじめで不器用なんだなぁという印象とともに、
そういう疑問を素直に口にできる純粋さ。
「ああ、この人は生きづらさを日々感じる人なんだろうなl」と思った。

それがこのエッセイでは、
すでにその時友達になりましょう宣言をしたスーさんは友人として登場し、
他にも「時間帯の友人」たちが出てくる。
40歳になる大人に言う言葉ではないが、
「チキさんも成長したのね」
偉そうにそんなことを思ってしまう。
いや、友人を数えることすらできない私が言うことではない。
でもやはり心の垣根を下げたり、
いろいろな趣味や興味を持つことで、
人との関係が広がっていくのは確かで、
友人と呼べないとしても、
人と人の関係が人を変えていくのも確か。

そんなチキさんの生活時間が変わって、
やはりいい方向に心身に影響したようで、
特に睡眠に大きな影響を与えたのは喜ばしい。
自分も完全朝型の生活に変えて久しいが、
不眠症だった過去があるから、
夜になったら自然と眠くなる生活がとてもうれしい。
チキさんの場合夜中まで仕事をしていたわけで、
そこまで緊張と興奮が続いていたとしたら、
帰宅していくら早く寝ようとしても、
おそらく副交感神経が優位になりにくかったのだろうと推測でき、
その意味で同じ時間に就寝したとしても、
睡眠の質が違ってきたのはそういう理由だと思われる。
夕方からの放送になってから、
体調不良で休むことがなくて、
それはリスナーにとっても安心感となっており、
これまた喜ばしいことなのである。

チキさんの日々の生活は、
不器用さといろんな思索にあふれていて、
その文章で表現される内容は、
日々放送で発言される内容とも呼応していて、
不器用だからこそ自ら道を広げようとして、
自分がつらいからこそ他人のつらさを軽減できるように考え、
次の世界を広げようとしていく。
「如才ない」なんて言葉とは無縁だけど、
そういうチキさんのまじめさにグッとくるw。

もちろんチキさんは完全な人間じゃない。
だからこそ愛すべき人だし、
でもものすごく有能な人だと思うし、
尊敬できる人だと思っている。
こういう微妙なアンバランスを持っている人、
なかなかいないというか、
自分の周りにはいないので余計にキニナル。
だからずっとこういう文章と内容を読みたいと思う。
ガチガチの堅い話じゃなくて、
日常のチキさんを垣間見られるからこそ、
このエッセイは素晴らしいのだ。

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「みらいめがね それでは息がつまるので」 [本]


みらいめがね それでは息がつまるので

みらいめがね それでは息がつまるので

  • 出版社/メーカー: 暮しの手帖社
  • 発売日: 2019/05/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


内容(「BOOK」データベースより)
みらいめがねは世界の見方を広げるツールです。日常と、世の中から、呪いを解いていこうじゃないか。至極の二人がお届けする、新感覚エッセイ。
荻上/チキ
1981年兵庫県生まれ。評論家。メディア論を中心に、政治経済、社会問題、文化現象まで幅広く論じる。NPO法人ストップいじめ!ナビ代表理事。ラジオ番組『荻上チキ・Session‐22』(TBSラジオ)メインパーソナリティ。同番組にて2015年度、2016年度ギャラクシー賞を受賞(DJパーソナリティ賞およびラジオ部門大賞)
ヨシタケ/シンスケ
1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなど、多岐にわたり作品を発表。『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞、『もうぬげない』(ブロンズ新社)で第9回MOE絵本屋さん大賞第1位、2017年ボローニャ・ラガッツィ賞特別賞、『このあとどうしちゃおう』(ブロンズ新社)で第51回新風賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

チキさんのことは知っているし、
大体どういうことを話す人、
どんな考え方をする人、
どういう番組をやっている人、
そういうことは知っていても、
生活サイクルの都合上「Session22」はリアルタイムで聴けなかった。
だから直接「Session」を聴くようになったのはこの1年。
この本の2巻目が出ることを知って、
初めて1巻目の存在に気づいて手に取った次第。

実際本を手にしてみて、
挿絵がヨシタケシンスケさんであることに喜んだ。
大好きな絵本作家さんだから。
チキさんのコラムの終わりに差し込まれる、
ヨシタケシンスケさんのマンガがまた楽しくて、
もちろんチキさんの文章も心地良くて、
スーっと氷の上をすべるように読み進んだ。
チキさんの幼少時からの体験から、
今に至るまでの様々なこと。
それは知っていることもあれば、
知らないこともあって、
「ああ、こういう人を形作る背景ってこういうものか」
チキさんは私が知らないタイプの人なので、
そういう話がかなり新鮮に響いた。
それに呼応する形で描かれたヨシタケさんのマンガ、
これがまたひねりが抜群で、
クスッとしながら「深いなー」と思いつつ。

文章で読むチキさんは、
思った以上に癖がなかった。
今までにもチキさんの本は手にしていたが、
コラムということもあるのだろう、
平易な文章と表現でわかりやすく、
至極フラットな感じで自分の子供時代のいじめや、
うつ病や子供の不登校のことも表現している。
なんかすごく「良い感じ」だった。

「Session22」のころと比べると、
病欠することがなくなったチキさん。
きっと朝起きて普通に夜寝る生活は、
心身ともにいい影響を及ぼしているんだろうなと思っている。
いろんなタイミングで「夜のほうが」と思うことあるけれど、
そんな時はYouTubeでやってくれるし、
このままチキさんには元気で番組をやって、
文章も書いていってほしいなぁと思ってしまう。
大きなお世話なんだけど、
なんだかそういう風に思わせるところがチキさんにはある。

すごい人なんだけど、
どこか儚げな弱さを持っていて、
それに反して芯の強さを持っている人。
でもちょっと構いたくなる。
そんなチキさんの魅力がちょっと分かった気がした。

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「コンプレックス文化論」 [本]


コンプレックス文化論 (文春文庫)

コンプレックス文化論 (文春文庫)

  • 作者: 武田 砂鉄
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2021/10/06
  • メディア: Kindle版


コンプレックスが文化を形成してきたのでは----という仮説を立て、これまで熟考されることのなかった「天パ」「背が低い」「下戸」など10のコンプレックスをとりあげ、数々の文献をひも解きながらカルチャーを考察する。劣等感を武器にして作品を生み出してきた表現者たちへのインタビューも収録。
文庫特典対談:ジェーン・スー×武田砂鉄「東京育ちコンプレックスが抱く“上京”への憧れ」
「天然パーマ」
インタビュー:ミュージシャン 有馬和樹(おとぎ話)
天然パーマという自然エネルギー/カルチャーはクルンクルンが支えてきた
「下戸」
インタビュー:ミュージシャン 澤部渡(スカート)
「お酒飲めない」から生まれるもの/今こそ、下戸の反乱を
「解雇」
インタビュー:ハイパー・メディア・フリーター 黒田勇樹
「明日から来なくていい」と言われたので /切実な表現は残酷な解雇から生まれる
「一重」
インタビュー:アイドル 朝倉みずほ(BELLRING少女ハート)
二重ファシズムの中で/一重にしかできないことを探しに
「親が金持ち」
インタビュー:いきもの&クイズ好きミステリーハンター 篠原かをり
「あいつ、親が金持ちなんだぜ」 /親が金持ちならではの表現なんてあるのか
「セーラー服」
インタビュー:イラストレーター 中村佑介
直視できなかったから /スクールガールへのコンプレックス
「遅刻」
インタビュー:デザイナー・ソラミミスト 安齋肇
遅刻はアーティストへの近道 /絶対に負けられない戦いが、遅刻にはある
「実家暮らし」
インタビュー:現代美術家 泰平
実家暮らしならではの表現活動 /朝ドラと実家暮らし
「背が低い」
インタビュー:ミュージシャン 鈴木圭介(フラワーカンパニーズ)
「背の順」で腰に手を当て続けた人たち/ジャニーズと自衛隊と韓流アイドルとチビ
「ハゲ」
インタビュー:臨床心理士 矢幡洋
ありのままの姿見せるのよ /ハゲまされている場合か

いきなり「天然パーマ」である。
意外と天然パーマの人は多いのだ。
美容師さんに言わせると毛根から髪の毛がねじれて生えてくるらしく、
それがまっすぐに生えている人のほうが少ないらしい。
程度の差はあれども多くの人は天然パーマ。
しかしそれが御しがたいレベルになるものも多く、
私もまた一定の長さを超えると手に負えない。
加齢で髪の毛が細くなるのとともに、
癖は弱まらないので一層強くなる(ように感じる)。
しかし私はこの夏天然パーマを味方につけた。
ここ25年余り同じ美容室の同じ美容師さんにカットしてもらい、
癖に合わせた長さのショートカットだった。
しかし加齢とともに減る女性ホルモンと、
毛量は相変わらず多く特に薄毛の心配もないが、
それでもやはり若い時のボリュームがなくなってきた私は、
何十年かぶりに少しだけ髪の毛を伸ばすことにした。
そしてパーマをかけてボリュームを出そうとした。
伸ばすのはけっこう苦痛である。
中途半端な長さの天然パーマはもはや拷問に近い。
しかしその時期を超えないと長さは整わない。
そんな時に出会ったのが「大豆田とわ子と三人の元夫」のかごめ。
彼女の髪型に心惹かれて美容師さんに相談した。
「カットだけでパーマはいらない」
私の髪を知り尽くした美容師さんは見事にカットと、
私の持っている天然パーマでかごめに近い髪を作り上げた。
今や天然パーマはコンプレックスではなく、
押さえつけなければならない敵でもなく、
すっかりお気に入りの髪型のために欠かせないものになった。

長々と何を書いているんだと思われるだろう。
しかし本書に登場するインタビュー相手が語る、
コンプレックへの向き合い方は、
「コンプレックス=マイナス」のベクトルばかりではなく、
それが故に注目を浴びたり、
その意外性にびっくりされたり、
世間一般に言う「コンプレックス」であるはずのものが、
はっきりとした個性として生きているのだ。
そしてそれぞれのコンプレックスに対して、
世間の評価や自身の思いなど、
深堀していく砂鉄さんの文章を読むうちに、
「ああ、コンプレックスって楽しいな、面白いな」と思っていたのだ。

そこで自分のコンプレックスを振り返って、
「天然パーマ」というものに思い当たり、
半世紀以上もコンプレックスだったはずのものが、
プラスの効果になった最近の経験に至ったのだ。

コンプレックスは本当につらいと思うものもある。
自分ではいかんともしがたいものであればあるほど、
どうにもできずに悩み苦しみ、
何とか克服したい、消し去りたいと思う。
しかし共存を決め込んでしまえば、
意外と気持ちは楽になるものだし、
それが「自分」と肯定する気持ちも芽生える。
とはいえ、それは人に決めてもらうものではない。
むしろ他人から言われれば依怙地にもなるし、
「人から言われたくない」という気持ちにもなる。
本書を読んだうえで自分の経験も合わせて、
「コンプレックスは克服するより共存するもの」
そういう結論に落ち着いた。
「遅刻」なんて言うのは努力でどうにかなりそうなものだが、
これまた実際にはどうにかなるものではないらしい。
自分にはないものなのでわからないのだが、
遅刻したくてするわけじゃないけれど、
そういう風に人間が出来上がっているわけらしい。
「解雇」もされたことはないからわからない。
でもそれも気の持ちよう、とらえ方。
やはり彼らは「共存」を選んでいるのだ。

コンプレックスが全くない人、
そんな人がいるのかはわからない。
自己肯定感の塊のような人はいるにはいる。
そういう人には無縁の存在だろうが、
大半の人類が抱えるコンプレックスは、
案外他人から見ればどうでもよかったり、
気にもされていないものでもある。
だからネガティブにとらえるよりも、
「それも自分」と思うことで楽になれるものでもある。

「コンプレックスは克服せずに共存する。」

それが本書を読んで得た教訓である。


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「「最前線の映画」を読む Vol.3 それでも映画は「格差」を描く」 [本]


「最前線の映画」を読む Vol.3 それでも映画は「格差」を描く (インターナショナル新書)

「最前線の映画」を読む Vol.3 それでも映画は「格差」を描く (インターナショナル新書)

  • 作者: 町山 智浩
  • 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
  • 発売日: 2021/10/07
  • メディア: 新書


グローバル化とコロナ禍でますます加速する「格差」と「貧困」!
マスメディアが伝えない「真実」を世界の名監督はどのように描いたか?
町山智浩が熱く語る「世界と映画」の今!
本書で採り上げる主な映画作品(順不同)
『天気の子』新海誠監督
『万引き家族』是枝裕和監督
『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督
『ジョーカー』トッド・フィリップス監督
『ノマドランド』クロエ・ジャオ監督
『アス』ジョーダン・ピール監督
『ザ・ホワイトタイガー』ラミン・バーラミ監督
『プラットフォーム』ガルダー・ガステル=ウルティア監督
『ザ・スクエア 思いやりの聖域』リューベン・オストルンド監督
『その手に触れるまで』ダルデンヌ兄弟監督
『バーニング 劇場版』イ・チャンドン監督
ほか多数。
もちろん、すべて書き下ろし!
町山氏ならではの視点で、監督たちが「世界の今」に向けて訴えたかったことを鮮やかに解明。乞うご期待!

とにかくつらかった。
読んでいる間中つらかった。
1本1本の映画を観ることだけでもつらい。
それぞれの映画を観た後のつらさややるせなさを思い出し、
まとめて語られることでその追体験をして、
正直言って気分はだいぶ落ち込んだ。
「俺たちに明日はない」
まさしくその言葉通り、
格差社会の底辺に生きる人間にとって、
生殺与奪は上級市民に委ねられていて、
自分たちは彼らの下で独楽鼠のように働くだけ。
そして上級市民たちの悪意のなさに対する嫌悪感。
確実に自分が底辺側の人間だとわかっているから、
もっと落ちる場所があることを思い知らされる。

だからこそその格差を受け止めなければならない。
なぜならその格差を撤廃するために、
是正するために動くのも声をあげるのも底辺側だから。
もちろん底辺の側の人間のほうが圧倒的に多い。
だけど一人一人がもつ発言権や声の大きさは、
圧倒的に上級国民の総計のほうが大きくなる。
だから世界は上級国民によって回されている。
弱者は福祉からも継続的な仕事からも切り離され、
うまい汁は全部強者の側に流れていく。
その流れをせき止めて逆流させるには、
弱者、底辺の側の人間の連帯が必要なのだが、
毎日の生活に疲れ果てその力さえも奪われていく。
だからこそ連帯しなければならないのに、
その余力さえ残さないほどに金銭も仕事も気力搾取されていく。
誰がその格差を作り出したのか。
それを受け止めて流れを変えなければならない。

以下引用。

 消費税が上げられる。生活が苦しくなるのに誰も戦わない。コロナでこれだけの死者が出ても政府は税金を使って全国の病院からベッドを削減する。でも誰も戦わない。どうせ勝てないさと諦めたほうが賢いとされ、それで勝ったつもりの時代。本当は踏みにじられているのに。 
 でもそれに気づいてもがく人間に居場所はない。

訳知り顔で「どうせ何もかわりゃしないよ」という。
バカにするように「偉そうにいろいろ言ったって何もできやしないよ」という。
言っている本人は本当にそう思っているのか。
本当は自分も変えたい、変わりたいと思っているけれど、
立ちはだかる壁の高さに諦観したほうが楽だと、
期待しない方が失望しないで済むと、
そう思うことで自分を慰めているのだ。
それでは弱者、底辺に生きるものはさらに堕ちるだけだ。
しかし日本人は見栄とプライドで本音を封印して、
それで自分は高等な思想を身に着けている気分になる。

町山さんもあとがきで扱っているこの作品、
「東京自転車節」をそんな人たちに観てもらいたい。
この監督は自ら非正規労働者として仕事を失い、
映画学校の奨学金の返済に追われながら、
それでも自らの足で稼ぐこと、
その様子を自ら撮影して映画にすることで、
夢をあきらめたりしていない。
監督自身の人間性もあって、
苦しくつらい部分もあるが、
生きる力をもらえる作品になっている。
多少足を延ばしてもぜひとも観てほしい。
そして自分たちにできることをもう一度考えようじゃないか。


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「きれはし」 [本]


きれはし (ele-king books)

きれはし (ele-king books)

  • 作者: ヒコロヒー
  • 出版社/メーカー: Pヴァイン
  • 発売日: 2021/08/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


国民的地元のツレ、初のエッセイ集!
独特の世界観と言語センスでブレイク中、いまやテレビにラジオはもちろん、ウェブメディアや雑誌などへの執筆でもひっぱりだこの女性芸人ヒコロヒーが初のエッセイ集を刊行!
noteに発表されたエッセイから厳選して加筆したものに書き下ろしを加え、下積み時代の情けなくも可笑しいエピソードから、急激に注目を集めるようになった最近の心情までがユーモラスかつシャープに綴られています

正直に言おう。
今年の4月にゴールデンラジオの芸人枠に起用されるまで、
全く知らなかった芸人、女性である。
最近はTVのネタ番組もバラエティもほとんど観ない。
映画とドラマ少々の生活なので、
最近の芸人はラジオに出てくれないと全くわからない。
関東の人間なので、
彼女が話している言葉が関西弁なのか愛媛弁なのかもわからず、
ちょっとネット検索で確認した見た目と芸風から、
やさぐれた雰囲気をまとった芸人、という認識。
ただ幸か不幸か、
ラジオでピンチヒッターとしてパートナーを務めたり、
オープニングトークで彼女の話を聴くたびに、
意外性と想像以上にインテリジェンスのある人で、
非常に興味がわいてきて本も読みたくなったのだ。

結論から言おう。
実に面白い。
独特の感覚と独特の言葉の選択。
更に男前なすっぱりさっぱりとしたところと、
非常に乙女なところのバランス。
山田ルイ53世に続くセンスの持ち主だと思う。
まだこれからずっと面白くなれる人だと思うので、
このままずっと「自分」として伸びていってほしい。
なんて書くと上から目線だといわれるが、
26歳も年下、娘と言ってもいい女性なのだから、
少しくらいいいじゃないかw。
こんな素敵な感性と知性を持った人が、
独特の感性で笑わせてくれるし、
おまけに乙女な側面をさらけ出すなんて素敵すぎる。

やっと稼げるようになったとき、
伊勢丹で香水を買いに行く「香水」が最高。
カツカツどころが貧乏一直線な生活から、
ちょっと生活できそうな金額をもらったとき、
自分が好きだった香水を伊勢丹に買いに行く。
何と素敵な話ではないか。
この感性がたまらない。
そして決して裕福と言える金額じゃなくても、
今までのご褒美として自分にそれを許すセンス。
とにかく文句のつけようがない。

6円しか手元になくて、
ちびまる子ちゃんをみて盛り上がって、
勢いでnoteに登録して。
その偶然の成り行きに万歳だ。
何しろこんな面白い素敵な感性の文章が読めたのだから。

ここからどんなふうに花開いていくのか、
更に楽しみなのだが、
彼女独自の道が開けて良そうなベースがある。
じっくりと見つめていきたいと思わせてくれた。

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「世界 夢の映画旅行」 [本]


世界 夢の映画旅行

世界 夢の映画旅行

  • 出版社/メーカー: パイインターナショナル
  • 発売日: 2020/06/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


あの映画に会いに行こう! いま観たい映画、行きたい場所が、あなたを待っている。
ノスタルジー漂う往年の名作から、今をときめく話題の新作まで、全55作品の映画の撮影地や舞台の風景を収録。すでに観た映画はもちろん、まだ観たことのない映画でもすぐに旅に出たくなる、旅情をそそる風景が勢ぞろい。
映画選定は、国内最大級の映画とドラマのレビューサービス“Filmarks(フィルマークス)"が担当。
【掲載映画例】アバウト・タイム~愛おしい時間について~/ アメリ/ ミッドナイト・イン・パリ/ ティファニーで朝食を/ her 世界でひとつの彼女/ はじまりのうた/ (500)日のサマー/ ローマの休日/ 君の名前で僕を呼んで/ エターナル・サンシャイン/ ラ・ラ・ランド/ 恋する惑星/ ニュー・シネマ・パラダイス/ パリ、テキサス/ ショーシャンクの空に/ レオン/ あの頃ペニー・レインと/ グランド・ブダペスト・ホテル/ ハリー・ポッターと賢者の石/ シング・ストリート 未来へのうた/ スラムドッグ$ミリオネア/ アバター/ LIFE!/ マッドマックス 怒りのデス・ロード/ ロード・オブ・ザ・リング/ 2001 年宇宙の旅/ バーフバリ 伝説誕生/ ダ・ヴィンチ・コード/ ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 他全55作品

シネコヤの翔子さん推薦。
映画の舞台となった世界の写真満載。
もう眺めるだけで夢見心地。
実際に行くことは無理だけど、
映画を観てこの写真集を眺める、
或いは写真集を眺めてから映画を観る。
もうそれだけでとても幸せな気分になれる。
この本の良いところは、
実際の映画に使われたわけじゃないけれど、
イメージがピッタリの場所を紹介しているところ。
だから「アバター」とか「天空の城ラピュタ」など、
SFやファンタジー映画も登場する。
もちろんモデルとなった土地なのだが、
その実景を背景に登場人物が動いているところを想像すると、
わくわくしてくる。

巻末には登場する映画と共に、
メディアも紹介されているのが嬉しい。
眺めているうちに観たくなってしまったら、
メディアが存在さえしていれば、
レンタルすることも購入することも可能。
もちろんストリーミングから検索するのは簡単だし。

これだけの美しい写真と、
素晴らしい映画の紹介をしてくれて、
2000円ちょっととはお買い得。
ぜひ心のちょっとした贅沢に、
日々手の届くところに置いておくことをオススメする。

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