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「オッペンハイマー」に関するちょっとした情報とこぼれ話と主観。 [雑感]


原爆の父」として知られる物理学者ロバート・オッペンハイマーを描いた伝記的映画が遂に日本でも公開された。本作は彼を理論家ながら核分裂及び核融合を幻視する男として映し出す。
軍の要請から原子爆弾の研究に従事するが、日本への原爆投下後、その甚大なる被害報告を知り、深い苦悩に陥ってしまうオッペンハイマーの姿が我々に投げかけるものとは? 幾つもの時間軸が錯綜し、人間関係も一筋縄ではいかず、不安を搔き立てるような描写と音響効果と相まって、物語はさらに複雑さを極めていく。
映画批評家であり、被爆二世でもある切通理作は本作をどのように観たのか――?



2回観て、
自分なりに解釈して理解したつもり。
もちろん100%ではないのは百も承知。
ただ余りにも人間として歪んでいて、
見れば見るほど、
読めば読むほど、
コイツは実は全く理論だけの学者で、
実はマンハッタン計画をまとめただけに過ぎなくて、
かつその暴走に気付いたときからの後悔と異常な逡巡、
「なんでこんな人が?」と言う疑問で一杯になる。
そうなると答えが欲しくなるのが人間の常。

で、思わずYouTubeで観てしまった。

そもそも核に対するアメリカ人の考え方、
アメリカの映画人の捉え方、
その甘さと軽さがずっと気に入らなかった。
何かと言えば核を持ち出す。
何しろゴジラの時でさえ核を持ち出した。
根本の設定わかっているの?
あんたらがやった水爆実験が甦らせたの。
そしてあんたら被曝を簡単に考えすぎ。
この不満が大きくてずっと根に持っている。

だからある意味、
マンハッタン計画に関わった人たち、
そしてドイツが降伏したら日本に投下すると決めた人たち、
その人たちの巻買えや立場、
どうしてそうなったのかと言うことを知るのは、
とても意味のあることだと思っていたし、
それでもなお核を扱うことを軽く考えられる理由、
それを本当の意味で知りたいと思っていた。

この二つの動画が完璧なわけではないが、
多少なりとも理解の助けになるし、
ノーランが何を描きたかったのか、
何を描き足りなかったのか、
なぜ説明も字幕もなしに進むのか、
ほんの少しでも補助線が引ければ。

被爆国の人間だからこそ、
被曝二世だからこそ語れること、感じること。
それは日本人にしか言えないこと。
やはりそこは他人事ではなくとらえた方が良いし、
知っておくべきことであろうと思う。


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ちなみに話中に登場する「ひろしま」とはこれ。
私は数年前NHKで放送したときに観たが、
実際に被曝した広島市民がエキストラとして登場し、
感じたことを再現しようという凄まじい映画である。



本当にオッペンハイマーって、
英雄でもなくて、
学者としても理論ばかりの実績なし、
それでいて同僚の妻には手を出すし、
人の心の機微には気付かないし、
どう考えても人格も社会的にも破綻している。
それを上手に使って、
彼の能力を利用したのが軍。
知れば知るほどおかしな人物だ。
これから映画を観る人には言っておきたい。
物語を把握することも大事だが、
オッペンハイマーの一挙手一投足、
言葉の全てを注意深く観察してほしい。
彼の異常さに気がつくはずだ。

そんな人間がなぜ?

彼の功績など吹き飛ぶはずだから。

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2022年映画総括。 [雑感]

順位をつけることはしたくないので、
個人的な思いがあるものだけをピックアップ。 
 
まずは年間最低映画は、
文句なく「大怪獣のあとしまつ」。
これは世間のみなさまも異論はないところかと。
何がダメかはご自身の目で確認をw。

理屈抜きに大好きな映画は、
「ベルファスト」
「カモン カモン」
「サバカンSABAKAN」。
この3本は観る人によっては心に残るし、
人によっては平板でつまらない映画だと思う。
小さな事件と日常が描かれたこの3本は、
愛おしくてとても大事な映画になった。

お次は「これだけはとりあえず観ておけ」。
「THE FIRST SLAM DUNK」
「マイスモールランド」
「さかなのこ」
全く趣が違う3本だけど、
自分の中の世界が広がって何かが覚醒する。
知らなかったこと、知り得なかったこと、
全く想像もしなかった世界がそこに広がる。

次は「ハラハラドキドキ、見終わったら疲れている」w。
「キングメーカー 大統領を作った男」
「モガディシュ 脱出までの14日間」
「RRR」
奇しくもどれも欧米の映画ではない。
そしてどれも政治的な問題が絡んでくる。
「RRR」は3時間あっと言う間で面白いのだけど、
ティピカルに描かれた植民地支配の問題は、
ただ面白いからと看過できる描き方ではないので、
「最高」とは言い難いのが残念。

最後は「心が震える切なさと哀しさ」。
「スパイダーマン:ノーウェイ・ホーム」
「ザリガニの鳴くところ」
「アフター・ヤン」
所謂「エモい」という鑑賞後の感情が停まらなかった。
「スパイダーマン:ノーウェイ・ホーム」はわかりやすいし、
ここに入れるべきではない大作なのだろうが、
ピーターの身に起こる切ないラストは、
ヒーローにあり得ない哀しさに満ち満ちている。

参考までにドキュメンタリーはどれも観て欲しいので、
とりあえず作品を挙げておく。
「名付けようのない踊り」
「アメリカン・ユートピア」(デヴィット・バーンとスパイク・リーの対談つき)
「リトル・ガール」
「チェチェンへようこそ」
「教育と愛国」
「スープとイデオロギー」
「荒野に希望の灯をともす」
「アザー・ミュージック」
過去と今を繋ぐ記録や記憶、
これから先我々は何を考えてどう生きるべきか、
そのヒントが多く含まれている。

2023年は少しペースを落とすつもりだけど、
もうすでに1月だけで7本観たい作品が詰まっているw。
困った、嬉しい悲鳴だw。

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2022年映画鑑賞記録。 [雑感]

1.1/8  レイジング・ファイア TOHOシネマズ川崎
2.1/9  スパイダーマン:ノーウェイ・ホーム 109シネマズ湘南
3.1/15  ハウス・オブ・グッチ 109シネマズ湘南
4.1/16  クライ・マッチョ 109シネマズ湘南
5.1/23  クライ・マッチョ おかわり 109シネマズ湘南
6.1/29  フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス、イブニング・サン別冊 109シネマズ湘南
7.1/30  名付けようのない踊り 横浜ブルク13
8.2/5  大怪獣のあとしまつ 109シネマズ湘南
9.2/12  ウエスト・サイド・ストーリー 109シネマズ湘南
10.2/13  ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリディ 109シネマズ湘南
11.2/17  コーダ あいのうた TOHOシネマズ海老名
12.2/20  オペレーション・ミンスミート 横浜ブルク13
13.2/23  香川1区 シネコヤ
14.3/6  アメリカン・ユートピア特別対談上映つき TOHOシネマズ日比谷
15.3/8  ザ・ビートGetBack:ルーフトップ・コンサート 109シネマズ湘南
16.3/13  THE BATMANーザ・バットマンー 109シネマズ湘南
17.3/25  リトル・ガール シネコヤ
18.3/26  ベルファスト TOHOシネマズ海老名
19.3/27  ナイトメア・アリー 109シネマズ湘南
20.4/2  モービウス 109シネマズ湘南
21.4/17  チェチェンへようこそ シネコヤ
22.4/22  カモン カモン 109シネマズ湘南
23.4/23  かぐやびより シネコヤ
24.4/21  ベルイマン島にて KinoCinemaみなとみらい
25.4/29  ツユクサ TOHOシネマズ横浜
26.5/4  ドクター・ストレンジ/マルチバース/オブ/マッドネス(IMAX3D) 109シネマズ湘南
27.5/7  ドクター・ストレンジ/マルチバース/オブ/マッドネス(字幕2D) 109シネマズ湘南
28.5/14  シン・ウルトラマン 109シネマズ湘南
29.5/23  シン・ウルトラマン おかわり 109シネマズ湘南
30.5/29  犬王 109シネマズ湘南
31.6/5  ベルファスト おかわり シネコヤ
32.6/5  カモン カモン おかわり シネコヤ
33.6/12  教育と愛国  あつぎのえいがかんkiki
34.6/24  ベイビー・ブローカー 109シネマズ湘南
35.6/25  マイスモールランド シネコヤ
36.7/2  エルヴィス 109シネマズ湘南
37.7/3  ベイビー・ブローカー おかわり TOHOシネマズ海老名
38.7/9  ソー:ラブ&サンダー 109シネマズ湘南
39.7/17  ブレード・ランナー ファイナル・カット版 午前十時の映画祭 TOHOシネマズ海老名
40.7/18  スープとイデオロギー シネマ・ジャック&ベティ
41.7/24  FLEE  フリー シネコヤ
42.730  ジュラシック・ワールド 新たなる支配者 109シネマズ湘南
43.8/11  戦争と女の顔 シネマ・ジャック&ベティ
44.8/15  荒野に希望の灯をともす シネマ・ジャック&ベティ
45.8/20  サバカン SABAKAN TOHOシネマズ海老名
46.8/21  ロッキーvs.ドラゴ:ROCKEYⅣ 横浜ブルク13
47.8/27  NOPE/ノープ 109シネマズ湘南
48.8/28  モガディシュ 脱出までの14日間 シネマ・ジャック&ベティ
49.9/3  ブレット・トレイン 109シネマズ湘南
50.9/4  キングメーカー 大統領を作った男 シネマ・ジャック&ベティ
51.9/8  さかなのこ 109シネマズ湘南
52.9/10  人質 韓国トップスター誘拐事件 横浜ブルク13
53.9/11  グッバイ・クルエル・ワールド 109シネマズ湘南
54.9/17  川っぺりムコリッタ 109シネマズ湘南
55.9/18  ヘルドッグス 109シネマズ湘南
56.9/23  LAMB/ラム  109シネマズグランベリーパーク
57.9/29  三姉妹 シネコヤ
58.9/29  花様年華 シネコヤ
59.10/15  スペンサー ダイアナの決意 109シネマズ湘南
60.10/16  恋する惑星 シネコヤ
61.10/16  欲望の翼 シネコヤ
62.10/23  プラン75 シネコヤ
63. 10/23  映画はアリスから始まった シネコヤ
64.10/29  アムステルダム 109シネマズ湘南
65.11/5  アザー・ミュージック シネコヤ
66.11/6  RRR 109シネマズ湘南
67.11/12  ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー 109シネマズ湘南
68.11/13  ドント・ウォーリー・ダーリン 109シネマズ湘南
69.11/19  ザリガニの鳴くところ TOHOシネマズ海老名
70.11/20  ザ・メニュー 109シネマズ湘南
71.11/27  ザリガニの鳴くところ おかわり 109シネマズ湘南
72.12/10  MEN 同じ顔の男たち TOHOシネマズ海老名
73.12/17  Dr.コトー診療所 109シネマズ湘南
74.12/18  空の大怪獣ラドン 午前十時の映画祭 TOHOシネマズ海老名
75.12/29  アフター・ヤン シネコヤ
76.12/30  THE FIRST SLAM DUNK 109シネマズ湘南

総括と良かったものについてはまた別記事で。
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映画にあたる。 [雑感]

「面白い、最高」ってあたりじゃなくて。
「食あたり」のあたりです。

「PLAN75」を観た後、
ものすごい眠気に抗いきれず、
「映画はアリスから始まった」を半分くらいしか観られず。
そのあとも何かもやもやとして気分がよくなくて、
普通に歩けるし会話もできるけれど、
とにかく眠くて眠くて、
19:30には横になってしまった。

この感覚、
かなり昔だけど感じたことがある。
この具合の悪さと眠気、
表現を変えると「脳が閉じようとしている」感じ。
すべての情報をシャットダウンして、
自分の中に閉じこもってエネルギーを温存しようとする感じ。
以前この感覚を覚えたのは、
トム・クルーズ主演の「宇宙戦争」を見たとき。
この時はまだうつ病も今よりひどくて、
仕事もしていなかった頃なので、
「そういうこともある」というくらいに思っていたけれど、
今回「PLAN75」で同じ感覚を覚えたことで思い当たった。

「これは映画にあたったんだ」

つまり自分の中で消化しきれなかったり、
憂鬱になるようなストーリーや表現、
心を引っかかれるような嫌な感覚、
そんな時に自分の精神が守りに入って閉じる。
どうしようもない疲労感と倦怠感に襲われる。
「宇宙戦争」と「PLAN75」に何の共通点が?
そう思われるのは不思議もないのだけれど、
自分のその時の気分にはそぐわないし、
とにかく生理的に受け入れられない状況になった。

「PLAN75」は目の前の問題すぎて、
どうやっても自分の中で理解もできず、
希望も何も持てないどん詰まりの状況に気分が悪くなった。
もともと見ようかどうしようか迷っていた。
今抗うつ剤の切り替えをしていることもあって、
心身ともに波があるのでどうしようか迷った。
ただ問題作であることは確かだし、
当日の天気が晴れていて気持ちが良かったこともあって、
ついつい予約の時間に向かってしまった。
「宇宙戦争」はもともと別に見たかったわけじゃない。
何度でもいうけれどトム・クルーズのファンじゃないし。
ただオーソン・ウェルズのラジオ放送の影響もあって、
「宇宙戦争」を映像化するからには、
それなりの「何か」があるのだろうと思った。
かなり前のことで忘れてしまったのと、
自分には合わなかったので記憶を封印したのもあって、
多くのことは覚えていないのだが、
とても受け入れがたい陰鬱さと妙な絶望感にあてられた。
長年映画を見ているし、
基本的に自分が選んだ映画を見ているので、
よほどのことがない限りそんなことは起らないのだが、
この2本に関しては完全にあたってしまった。

実は自分でもよくわからない。 
この2本にどういう共通点があるのか。
ただ心身の状態としては、
おそらく同じくらいのレベルだったかもしれない。
むしろ「宇宙戦争」の頃よりも年齢を重ねた分だけ、
「PLAN75」で受ける衝撃は大きかったのかもしれない。

 
やはり「楽しみ~♪」と思って見に行く映画じゃないと、
こういうことも起こるんだなぁと実感。
少しでも迷ったらやめるという勇気も必要。
好きな映画であたったら目も当てられない。
だからと言って「もう映画は見ない!」とは言わないけれど。

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本が読めない。 [雑感]

たまっております。
読むべき本が。
読みたい本が。

されど全然読めません。
「面白くないから読めないのか?」
そう思って本を変えてみますが同じです。

ここ1ヶ月ばかり、
休日の午後の読書タイムは昼寝タイムに。
「読もう」と思って読み始めても、
目を開けているのがつらくて、
いつの間にか眠っております。
ここ半月ばかりは、
寒さも手伝って、
平日夜は早々に布団の中に。
観たいTVがないと本を読むはずが、
けっきょくいつの間にか眠っております。
読書欲が睡眠欲に勝てないのです。
これは睡眠不足と疲労でしょうか?
それとも病的な過眠でしょうか?
ちなみに朝は5:30には目覚めております。
遅くとも7:15には会社にいます。

三浦しをんの爆裂妄想エッセイでさえ、
眠気に勝てないとは、
抑うつ状態を思い出させてちょっと怖いです。

でも23日からしばらく寝たいだけ寝て、
「明石家サンタ」を観て爆笑したら、
共あたりから、
少しだけ復活してきました。
調子が良いときは、
1日1冊も軽いので、
早く調子を取り戻して本を読みたいです。
本を読めないと不安と欲求不満でおかしくなりそうです。

活字中毒もとい、
活字依存症になっております。
禁断症状と眠気の狭間で悶絶しております。
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「10月突然大豆のごとく」 [雑感]

東京公演は終わったけれど、
名古屋公演はこれからなので、
内容には触れません。
でもラバーガールが良い味出していた~(笑)。

もともと大竹まことが好きで(以下敬称略)、
ラジオから始まって今回のライブに行き着いたのだけど、
しみじみ今回のライブを観て感じたのは、
「観る度にきたろうを好きになる。」ということ。
今回は大竹まことの体調がすぐれなかったこともあって、
相当にきたろうにかかる負担が大きかった様子。
出番も多かったし、
それだけにきたろうの持ち味を生かした、
飄々とした不可思議な雰囲気のコントが良かった。
前はそれほど意識したことはなかったけれど、
「南極料理人」で、
「あはは、西村君、ラーメンだよ。」と言ったときの笑顔、
あれでノックアウトされちゃったんだと思う。

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紳士交友録で聴く話も含めて、
ものすごく無邪気に楽しそうに物事を愉しんでいる様は、
人柄だな~と本当に思う。
それと、
良い意味で何をやっても「きたろう」っていうのはスゴイ。
役柄になりきっていないのではなくて、
役柄をきたろうに引き寄せちゃうんだもの。
役にきたろうが憑依しちゃう。
生瀬勝久なんかもそうなんだけど、
「役者」としての存在感が先なんだな~。
きたろうの場合、
生瀬勝久より本人のアクはないけれど、
それでも「何をやってもきたろう」なんだから。
だから映画として観ていて、
役柄を通して役者に惚れるのではなくて、
どんな役柄でもコントでも、
そこにいる「きたろう」に惚れ込んじゃう。

逆に斉木しげるって、
コントだと独特の味わいと存在感があるのに、
ドラマとかになると巧く溶け込んじゃう。
けっこういろんなドラマにちょいちょい出ているのに、
逆に存在感を感じさせない。
でも一種独特の不気味さはあったりして。

大竹まこと自身が言っているけど、
本当に演技は彼が一番ダメだと思う。
コントでは良いけれど、
俳優としてはちょっと。
もっともだからこそ別の生きる道を見つけたんだろうけど。

そういう意味で、
この3人は良いバランスなんだなぁと思う。
お互いの領分を侵さないというか、
それぞれの存在価値と存在感がハッキリしている。
とはいえ、
それぞれが還暦を超えているわけで、
いつまでこのコントライブが続くのか。
今年も力業は相当につらそうだったし(笑)。
今年は私も体調が今ひとつだったけど、
来年は是非絶好調で観たいので、
まだまだ頑張って欲しいんですけどね。
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「本」というもの [雑感]

最近つくづく思うのである。
「本」というのは恐ろしいものであると。
何しろ一冊を読み終わったら、
「ハイ、それで本とはお別れ」とは行かぬのである。
一冊読むと、
そこに登場する「何か」にこころ惹かれ、
それにまつわる本や直接的な本に手を伸ばしてしまう。
そこで気に入った作家などいようものならさぁ大変、
リアル書店のブックオクからイーブックオフにBOOK OFFオンライン、
それでダメならあきらめて楽天ブックスにAmazon、
あらゆる手段を駆使してその作家を読み尽くそうとしてしまう。
(これが私を東野圭吾から遠ざけている原因だと思う。
 今更全部読めるほどの出版量ではないのだ。)

「本」に至る興味は「本」だけからとは限らない。
TVやラジオ(最近は専らラジオだが)、
映画に登場する俳優やらエピソードからまた手が伸びる。
暮らしの中からも興味を引くものがある。
土楽の土鍋を買えば料理本、
飯島奈美さんの料理が好きだから、
料理本のみならず関連本まで手が伸びる。
禁煙講座に出席すれば、
ドラスティックに禁煙方法を変える脳の作り方に興味を持ち、
うつ病に罹患すれば、
その苦しさから逃れる術を模索するために、
必死に「本」を読んで病気と対峙しようとする。

正直言って、
興味を引かれたもの全てについて「本」を読んでいたら、
たぶん仕事などできないだろうし、
死ぬまで本を読み続けても時間が足りないだろう。
今は数冊の本と併行して、
「ぼく、牧水!」などという対談本を読んでいる。

ぼく、牧水!  歌人に学ぶ「まろび」の美学 (角川oneテーマ21 A 122)

ぼく、牧水! 歌人に学ぶ「まろび」の美学 (角川oneテーマ21 A 122)

  • 作者: 伊藤 一彦
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/09/10
  • メディア: 新書


別に歌人として牧水が好きな訳じゃない。
理由は・・・まぁ語らずともおわかりだろう。
でも今まで教科書でしか知らなかった牧水が、
非常に人間くさくて面白い人物に思えてきたから大変である。
「牧水を読んでみたい。」
そう思ったときにこの文章を考えついた。

「本」を読む場合、
ビジネスに関するものならスキルやハウツーを求めるのだろうし、
その「本」を読んで欲しいものが得られたならそれで終わるかも知れない。
けれどその中の一文でも疑問を感じたり興味を引かれて、
「もっと知りたい」「疑問を解決したい」
そう思ってしまったら「本」の持つ連鎖に取り込まれてしまう。
小説なら「面白い作家だ」と思ったら、
その作家の全作品を読みたくなる人もいるだろう(私だ)。
新書で語られる世界に魅せられたら、
或いはその事実に興味を持ったら、
そこから更に他の「本」に手を出すきっかけになってしまうだろう。
「出版不況」とは言うけれど、
この「興味の連鎖」がある限り「本」というものはなくならないのではないだろうか。

「今は大抵のことはNETで調べられるし、
 情報もほとんどのことが入手できるんだから、
 わざわざ本を買うことも読むことも必要ないよ。」

そんな声が聞こえてくる気がする。
確かに私も毎日検索をして調べ物をしている類の人間だ。
けれどそれでは足りないのである。
NETでの情報はとっかかりに過ぎない。
「もっと知りたい」「もっと読みたい」と思ったら、
けっきょく「本」という媒体に手を伸ばさざるを得ないのである。

ではなぜ私がこんな活字中毒になったのかと言えば、
これこそ「三つ子の魂百まで。」なのである。
寝付くまで本を読んでもらう子供というのは当たり前の風景である。
わが家は母の妹たち(叔母)が同居していたので、
寝る前に読んでくれる人には不自由しなかった。
だけど彼女たちは昼間仕事をしている。
母だってそれほど閑ではない。
かくしてどうしても本を読みたいが、
読んでくれる人がいない状況があったがために、
私は字を覚えて自分で本を読むことにしたのである。
(本人は覚えていないがどうやらそうらしい)
それが3歳前後のことであり、
本人の記憶によれば3歳半の時には自分で読んでいたので、
まさしく「三つ子の魂百まで。」なのだ。


今となっては、
問題は読む時間と体力である。
今年の酷暑で疲労困憊な私ではあるが、
先月までは眠気を押して読書を続けていた。
しかしながら、
ある意味ヒステリー状態(イライラが止められない、暴言を吐く)が起こるようになり、
主治医に相談したところ、
「寝るのが一番」という答えを得てしまった。
その話を週に一度お世話になる整骨医にしたら、
「そうですよ。一度2~3日寝ることに集中するとスッキリしますよ。」
あちこちから「寝ること」を勧められてしまった。
おまけにストレス解消に、
少々酒を嗜んでみることにしたものだから、
ここ1週間ほど睡眠が最優先で読書がはかどらない。
読みたい本と読まなければならない本が山積みなので、
「読めない」状況がストレスにもなるのだが。
だからといって、
休日に終日引きこもって読めばいいかと言えば、
それよりも眠気が勝つし、
なんだかんだと用事があってそうも行かないのだ。


「依存症」といわれる病気があるが、
私は完全に「活字依存症」かも知れない。
薬物、アルコール、ニコチンなどの依存症と違って、
限度さえ超えなければ健康被害もないし、
他人にひどく迷惑をかけるものでもないので、
この依存症は治療する必要があるのかは不明である。
何かまずいことがあるとすれば、
書籍代と読めないとつらい気持ちがあることくらいだろう。
もっとも「読めないとつらい」というのは禁断症状だから、
やはり治療が必要なのかも知れないが。

それでも「本」というのは良いものだと思うのである。
一冊の本からまた広がる世界がたまらない。
(それに伴って金も貯まらない)
私はバカだから知識も知恵もないが、
本を読むことで疑似体験をしたり、
何か新しいことを得た気分になれる。
これだから「本」はやめられない。



もっとも読んだからと言って、
それが血となり肉となっているかと言えば、
それはもう甚だしく疑問だとしか言いようがないのが現実である。
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ツボに入る曲 [雑感]

誰でもひとつやふたつ、
いろいろなツボに入る曲というものがあると思う。
そのツボは喜怒哀楽いろいろなところがある。


私にとって全てを超越してツボに入る曲は、
映画「砂の器」のピアノ協奏曲「宿命」だ。
この曲を脳内再生すると自然と号泣してしまう。
曲と共に親子の放浪の旅と四季の風景が脳内再生され、
まるでパブロフの犬の条件反射のように、
涙がボロボロとこぼれ落ちて最後は号泣になる。


これはうつ病とは何の関係もない。
映画がとてつもなく素晴らしかったからだと思う。
最初にこの映画を観たのはTVだった。
その頃はまだビデオデッキもレンタルビデオも今のように普及しておらず、
過去公開された作品を観るには名画座を探すしかなかった。
そして当時よく通った三軒茶屋東映にかかったのを逃さなかった。
小さな場末の名画座で平日は10人もいれば良い方。
そこで私は一生号泣できる映画と音楽をインプットされてしまった。
この曲の発表会と同時進行で解き明かされる過去と動機。
主人公が自分の上昇志向と過去との訣別に書いた曲「宿命」。
私はこの作品のビデオもDVDを所有していない。
とてもじゃないが所有することなど考えられない。
パッケージを観ただけで絶対に脳内再生が始まってしまうに決まっている。
TSUTAYAでも野村芳太郎の場所は避けるようにしているのだ。


最近は竹内まりやの「返信」。
映画「出口のない海」の主題歌で知っている人も多いと思う。
この歌の歌詞自体は、
「海の特攻隊 回天」で若くして散った恋人のことを歌っているのだが、
私のツボに入ってしまうのが、
「夢なかば燃え尽きた あなたのぶんまで
 生きてゆく約束を 守るから見ていてね


 託された幸せを つかむことがもし
 あなたの願いなら それを探してみるわ」
多分昔なら54歳で死んだ祖母も、
47歳で死んだ母もそれほど「若くして」とは言われなかったと思う。
昔はそれこそ「人生50年」だったのだから。
でも今はやはり「お若くして亡くなられたのね」といわれてしまう。
いや、本当に若かったと思う。
どちらも「夢なかば」だったと思う。
だからこそ私には二人から「託された幸せをつかむこと」を願われている気がする。
今は毎日ただ日々を何とか平穏に過ごす術を身につけるのみだが、
近いうちに幸せを感じられる日が来るのかも知れない。
その幸せが何なのかはわからないが、
何かがきっとあるのだろう。


いかんなぁ、年を取ると涙もろくなって。
そしてTSUTAYAから半額クーポンが届くと、
またiPodの空き容量が少なくなっていくのである。



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突き詰めた結果 [雑感]

今日の「太田光の私が総理大臣になったら・・・秘書田中。」を見た人もいるだろう。
今日のマニフェストはふかわりょうからの提案。
全ての商品に環境税を導入します
環境を保護するための資金として、
全ての商品に1%の環境税を課税して徴収すると言う趣旨。


他人と深く関わらずに生きるには

他人と深く関わらずに生きるには

  • 作者: 池田 清彦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 文庫


相変わらず池田先生の話は誤解されかねない率直さでしたねぇ。


太田光総理が池田先生の発言を受けて、
「先生は生物のことを真面目に考えて考えて行きついたところがそこだったんだよ。」
太田光もある意味「行きついた人」なのだと思う。


彼は高校時代一人の友人もいなくて、
大学に入学してから今の人生が決まった出会いがあった。
彼もまた考えて考えて行きついたところが今なのだろう。


「狂い」のすすめ

「狂い」のすすめ

  • 作者: ひろ さちや
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 新書


 


この本でも池田先生の著書でも言っていることは結局、
世の中の流れに器用に沿って行かれないなら、
表面だけでも合わせることをして、
心の底では「浅はかなヤツ」とバカにしながら生きればいい。
こころを込めずに働いて、
ただ生きるために働いて、
残りの時間をうまく自分のために楽しんで使えばいい。
表面だけでも合わせることができないのなら、
国にも誰にも頼らず自給自足して、
病は医者にも頼らず自分で治すか諦めるか。


考えてみれば、
人間は自らの浅はかさで地球温暖化を招き、
森林伐採を勝手に行って、
経済成長することによって地球が徐々に砂漠化しているのだ。
自らした選択であり、自然から報復されても仕方ないのだ。
その自然を元に戻そうとするのは傲慢な思い上がりのような気がしてきた。
常に地球も人間も変化していくものなのだから、
化石燃料が枯渇しようが、
国土が沈没しようが、
それは自然の成り行きであり当然の結果と言うことな気がするのだ。


明日北朝鮮から核ミサイルが飛ぶかも知れない。
もっともっと世界中の紛争地域が増えるかも知れない。
そんな時に環境税なんて考えられるのか?
環境税導入後に自衛隊が国防隊状態になったら、
その税金が戦闘機や爆弾に化けない可能性がないと言えるのか。


人間はネットワークの中で生きているけれど、
所詮自分一人、自分の家族が生きるだけで精一杯。
悪いけれど今の私にはそこまでえらそうなマニフェストを指示する気はない。
きれいごとしか知らない恵まれた人間の考えそうなことにしか思えない。
貧乏人、キチガイの戯れ言と思って頂いてかまわないし。



 


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マジすげーっ! [雑感]

精神的なうつうつ生活は何とか脱却した模様で、
多少考え込むことや悩むことはあっても、
いわゆる「うつ状態」や「うつ病の精神症状」は出てきません。


昨夜キッチンシンク上の蛍光灯が点滅を始めました。
昨日もちょっと散歩ついでに電器屋のぞいたのに、
なんでその時には発覚しないの?
おかげで今日も電器屋に行きました。
なんだか先週から毎日電器屋に行っている気がするぞ。


さて。
何が「マジすげーっ!」かというと、
山田スイッチ
ちょっとした自分の表現力の問題で、
少々自己嫌悪があったわけですよ<難しい問題
と言っても、うつ病じゃない人でも落ち込む程度。
大丈夫ですよ~。
自責、自虐、自殺念慮はどこかに行ってしまっているので。
おっと脱線。
で、ですね、
そんなところで山田スイッチのblogが更新されたのですよ。
最悪の敵は自分自身


以下引用(本当は全部読んで欲しい)
良く生きようなんて気持ちは捨てることなんですね。


好かれようとする努力をしている限り、
私は卑屈になって禍々しくなる。


中略


もっと、自分の中の悪を正直に認めて、
もっと、自分がよいことをしているなんて微塵たりとも思わないで、
自分の悪を振りまくときには、「ガハハハハ!」と
豪快に笑って人をひどい目に陥れればいいんですよ!


って、これだけだとひどい誤解を受けそうだけど、
まぁ要するに「いい人ぶる」なんておこがましい。
だって人が人を絶対に傷付けないで生きることなんて不可能だもの。
そもそも食べて生きること自体動物も植物も殺傷しているじゃない。
ライオンが草原でインパラとか喰っているのを見て、
「なんて残酷なの?ライオンなんて絶滅すればいい」って思ったヤツいる?
「私はベジタリアンなので」とか言っているヤツ、
野菜は「モ~」とか鳴かないし積極的に動かないだけで、
いのちを奪っていることに違いはないのよね。
自分が傷付いている時は相手も傷付けている。
けっきょく人間って生きるためには悪いことしているんだもの。


でね、本当に「マジすげーっ!」って思ったのは、
私が何かについて考えている時、
必ずと言っていいほどその答えとかヒントに山田スイッチが絡んでくること。
田口ランディさんを知ったきっかけも、
佐藤初女さんを知ったきっかけも、
青森のただの自営業者ケンさんを知ったきっかけも、
全部全部山田スイッチなのよね。
うつうつしていた時に、
「ブラジルでサンマ焼いてみそ汁とコーヒーを出す店をやりたいってどういう人?」
「ミステリーハンターになるつもりで上京する自体すごい」
「上京するのに板前として入社しちゃうのもすごい」
「板前修業して、原稿運びして、お笑いコンビ組むって・・・」
もう自分には絶対にないハンパない発想と行動力。
だけどそれがうつうつ生活に気持ち良かった。
自分がどうなるのか、どうしたいのかもわからない時に、
ガンガン本能の赴くままに行動しているとしか思えない女がいる。
そんなこと自体が信じられなくて面白くて救われた。
それからも何かのきっかけが山田スイッチから降ってきた。
うん、そう言う表現しかない。
突然に降ってくるとしか言いようがない。


精神の大波が来ていた時に、
吐き出そうとして吐き出した感情の塊の矛先が豆腐で、
頭をぶつけようが五寸釘を打ち込もうが全然ダメで、
ああ、もうどうしたらいいのさって言う時の田口ランディ。
一時的殆ど拒食症みたいな状態から、
少しずつ食べられるようになってきた時の初女さん。
降ってくるんだよなぁ。
それはもうほとんど「天の啓示」に近いんだよね。


ブラジルでサンマを売ることが中途半端に終わった結果、
彼女は今度はスペインでサンマを売ることを思いつく(笑)。
そしてケンさん(旦那)にそのことを話し、
ゲームばっかりして引き籠もっているケンさんに外へ出なきゃダメと言ったところで、
ケンさんの逆襲にあう。
「お前の言っていることは、ライオンに草を食えと言っているのと同じだ。」
つまり根っからのインドア派のケンさんを旅行に引きずり回すのは、
百獣の王であり肉食動物のトップヒエラルヒーに属するライオンに、
「草だけ食え」と言っているくらい無茶な話だと言うこと。
そこでまた私は考えていたことの答えがでた。
「あ~、もともと成り行き任せな人間だった私が、
 まじめになろうとしたからうつ病になったんだ。
 草を食わされたライオンだったんだ~って。」


もともとライオンは自分が肉食だからインパラ食っている訳じゃないもんね。
(別にインパラばっかり食っている訳じゃないけど)
産まれながらにして肉食獣なだけだもんね。
インパラに対して食うたびに「ゴメン」って思っていないはずだし。
(そんな哲学的なライオンがいたら面白いとは思うけれど)
腹くくって、良い人ぶらず、まじめぶらず、良いことなんて考えなきゃ良いんだ。
自分が自分を縛るから苦しくてつらくてもがいて、
ますますロープが締め上げられてくるだけなんだ。
SMの縛りってそう言うものだって聞いた覚えがある(笑)。
悪いけど私はMじゃないのでそういうのキライ。
どちらかというS(爆)。




 


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