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「スタン・リー」 [Disney+]



アイアンマンなどコミック史に残るヒーローを数々生み出したスタン・リーが、コミック界とポップカルチャーにおいて最も影響力のある人物の一人になるまでの道のりを描いたドキュメンタリー映画。過酷な少年時代からマーベル・コミックスの急速な台頭まで、ホームビデオ、インタビューや音声録音など保管されていた素材のみを使用して彼自身の言葉でスタン・リーの人生をたどる。

MARVEL映画でおなじみ、
本編に端役ながら印象深く登場するお爺ちゃん。
彼こそがMARVELコミックを作り上げ、
数々のスーパーヒーロー、ヒロインを作り上げ、
アメリカン・コミックを単なる子どもだけのものではなく、
一つのかるちゃーに押し上げた功労者。

実に巧いなぁと思わせるのが、
過去の場面を表現するのに、
人形を使っているのだが、
それはアニメーションではなくて静止している。
しかしその場面を様々な角度で撮影することで、
多くの関係する人間の様子や感情を表現する。
答辞の写真を交えながらも、
役者ではなく人形で表現することで、
苦しく厳しい話もちょっとだけ和らぐし、
本人を知っているからこその乖離が激しくなることもない。
またその人形たちが生き生きとしているし、
その撮影の仕方も美しく見事。

MARVELスタジオが分業制で、
一人の作者が書いているわけではなく、
多くの原案者や執筆者がいることはわかっていたが、
ここまでスタン・リーが多くのものを産み出していたとは知らなかった。
彼こそがMr.MARVELなのだということがよくわかる。
もちろん中には失敗もあっただろうが、
それは大きな問題ではなく、
むしろ問題の多くは人間の軋轢にあったのも理解できる。
そしてスタン・リーがもっとも愛したであろうスパイダーマンの存在、
そこに至るまでの思い入れとみちのり。
彼が一連の「スパイダーマン」映画に登場する際、
なお一層嬉々として感じられるのも当然の話だ。
もっともその存在が人気になることで、
誰が命を吹き込んだかという問題に火が点いたのも、
またこれはこれで皮肉だが。

もし今の時代だったら、
MARVELコミックはこんな風に成長しただろうか? 
或いはスタン・リーのようにすぐれた人物が、
数々の障害を乗り越えながら、
コミックに注力してカルチャーにまでできただろうか?
考えても詮ないことだが、
時代と人間とタイミングというものがあってこそ、
こういうスゴイことが起こりうるのだと思う。

笑顔のチャーミングなスタン・リーが、
この映画の中ではまたより一層魅力的に見える。
彼こそが本当のエンターテインメントを知る男なのだ。

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