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「ミナリ」 [映画]


『ムーンライト』や『レディ・バード』など作家性の強い作品で今やオスカーの常連となったA24と、
『それでも夜が明ける』でエンターテイメントの定義を変えたブラッド・ピットのPLAN Bがタッグを組んだ
【ストーリー】
1980年代、農業で成功することを夢みる韓国系移民のジェイコブは、アメリカはアーカンソー州の高原に、家族と共に引っ越してきた。荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを見た妻のモニカは、いつまでも心は少年の夫の冒険に危険な匂いを感じるが、しっかり者の長女アンと心臓に病を持つが好奇心旺盛な弟のデビッドは、新しい土地に希望を見つけていく。まもなく毒舌で破天荒な祖母も加わり、デビッドと一風変わった絆を結ぶ。だが、水が干上がり、作物は売れず、追い詰められた一家に、思いもしない事態が立ち上がる──。

やっぱり韓国人が出る映画は、
子役と婆さんがものを言う!
毎度のことながら、
韓国人の子役の表情の豊かさと演技力にはやられる。
そして韓国からやってくる婆さん。
ユン・ヨジョンは「藁をもつかむ獣たち」でも最高だったけど、
今回もどこまでも自由な婆さんが最高だった。
病んでからも家族の役に立とうと、
韓国映画に登場する母親の典型のように、
一生懸命頑張って頑張った挙げ句・・・。

この映画を「北の国から」と同じだと評した町山さん、
仰ることは非常に良くわかった。
広大な土地、父親の理想と振り回される家族、
三歩進んで二歩下がるの繰り返し。
親子で困っていたところにやってくるのは、
こちらは婆さん、あちらはオバさん。
実によく似た物語と構成なのだが、
あの時代のああいうストーリーを描くと、
必然的にこうなるのかも知れない。
起こる出来事までもが似ている。

ミナリ(芹)は野草としても生命力が強く、
水辺であれば繁殖する。
そして葉っぱから根っこまで食べられるし、
いろいろな料理に使える生命力にあふれた万能選手。
その種を韓国から持ってくる婆さん。
(それってやって良いことなのか疑問には思ったが)
その婆さんの生命力と逞しさよろしく、
ミナリは見事に繁殖していく。
父親が必死に手をかけて水をやり、
丹精込めて作った作物とは対照的に。
頑張っても頑張っても報われない現状に業を煮やし、
別居することまで考えた妻とも違う強さで。

自然の中で生きること、
作物を作ってそれを生業とすること、
それが誰のためなのか、
なんのためなのか、
とっかかりは間違えていたにしても、
最後にミナリが見せてくれる生命力は、
本当の意味での「土と生きること」教えてくれた。

お涙ちょうだいでもなければ、
最後に大きな勘当があるでもない。
でもこれが現実。
こう言う物語を描かせると、
資本はともかく韓国人の姿以上に、
胸をつかまれる映画はなかなかない。

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