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「トム・クルーズ-永遠の若さを追求して-」 [TV]

https://www.nhk.jp/p/wdoc/ts/88Z7X45XZY/episode/te/8VNN5M52VJ/

「トム・クルーズ-永遠の若さを追求して-」
“不可能に挑み続ける俳優”トム・クルーズ。挑戦し続けるその姿は“あくなき若さの追求”の道程だった。スーパースター、トム・クルーズの光と影に迫る。
“不可能に挑み続ける俳優”トム・クルーズ。来年公開予定の新作『トップガン マーヴェリック』で体を張った迫真の演技が話題を集めている。体当たりの演技を支えてきたのは厳しい訓練。挑戦し続けるその姿は“あくなき若さの追求”の道程だった。スーパースター、トム・クルーズの光と影に迫る。原題:TOM CRUISE, AN ETERNAL YOUTH(フランス 2020年)

私はいつも公言しているとおり、
トム・クルーズという役者にも男にも魅力を感じない。
今や彼のライフワークとも言える、
「ミッション・インポッシブル」シリーズのことを、
「トム・クルーズのアクション・マスターベーション映画」と呼んで憚らない。
実際エスカレートする彼のスタントは、
もはやとどまるところを知らない。
怪しい宗教にはまったことで、
家庭生活も壊してしまったことも、
決して良い印象を与えていない。

で、このドキュメンタリー。
「アトロク」で「とんでもなく面白いらしい」と言うことで、
「ならば観てみよう」と。

今の彼と昔の彼。
そう、確かにそれはあった。
彼のことがそれほど好きではないが故に、
そこを深く考えたことはなかったし、
今の彼は彼自身を最高に見せるための作品選び、
プロデュース、監督とのタッグに終始して、
「役者としての力量」など考えていない。
そう私に感じさせていることも興味がない理由。
しかしこのドキュメンタリーを見て思い出した。
私は外見だけだと思っていた彼を、
「ア・フュー・グッドメン」で演技力を認め、
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」で違和感を覚えながらも、
彼の演技に対するチャレンジ精神を認め、
「マグノリア」で彼の確かな存在感を感じていたのだ。
そう、あの時の彼は今はいない。

ドキュメンタリーは彼の生い立ちから、
今に至るまでの精神性の変遷を辿る。
なぜ彼がサイエントロジーにそれほどまでにのめり込むのか、
ハリウッドでの立場を危うくしてまでも、
彼の精神性は特殊な方向に流れていったのか、
それと同時にアカデミー賞にノミネートされるような、
演技力を求められる役柄を演じないのか。

私が今彼に対して思っていること、
俳優として認めていたにもかかわらず、
なぜ今彼が永遠の若さを追求する役柄に走ったのか、
このドキュメンタリーを見ることで納得できた。
と同時に彼に対する気持ちが、
ほんの少しだが憐憫の情に傾いた。

ともすれば「Mr.・アメリカ」とも言えるようなトム・クルーズ。
その彼を決して愛せない私。
その一方でイギリス、アイルランドを代表するダニエル・デイ=ルイス。
彼を一目見た時から彼から目を離せなくなった私。
おなじポール・トーマス・アンダーソンの映画に出ながら、
同じようにその演技力と存在感を示しながら、
光と陰のようにその存在を分けた二人。
この二人の存在こそが象徴的にトム・クルーズの今を語るように思えた。

彼はあの笑顔と白い歯が表現する、
爽やかなヒーローでもなければ、
一点の曇りもない存在でもない。
彼がなぜ今「永遠の若さを追求」しなければならないのか、
その位置に彼が行かざるを得なかったのはなぜか、
此奴は確かにとんでもないドキュメンタリーだった。

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