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「映画篇」 [本]


映画篇 (集英社文庫)

映画篇 (集英社文庫)

  • 作者: 金城 一紀
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/06/25
  • メディア: 文庫


内容(「BOOK」データベースより)
映画の力で導かれた記憶の中の僕は、いつでも軽やかに笑い、素直に泣き、楽しそうに手を叩いていた―。不器用で孤独な人々が映画をきっかけにつながり合い、力強い再生へと踏み出していく姿をみずみずしく描きながら、映画への愛と物語の復権を高らかに謳った傑作小説集。友情、正義、ロマンス、復讐、そして、笑いと感動。五つの物語の力が、あなたを救う。

5つの映画が題名で登場する。
「太陽がいっぱい」
「ドラゴン怒りの鉄拳」
「恋のためらい/フランキーとジョニー」
「ペイルライダー」
「愛の泉」
このほかに物語にはたくさんの映画が登場する。
表紙をめくって「ローマの休日」のイラスト入りポスターが目に入ると、
「題名にないのになぜ?」と思うだろう。
でもこの物語たちは「ローマの休日」によって繋がっているのだ。
それぞれの物語が持つテイストは全く違うのだが、
「映画を愛していること」
「映画に惹きつけられていること」
「映画に魅せられていること」
共通するその気持ちが心地良い。

それぞれの物語にそれぞれのテイストがあるので、
それに関しては好みもあるだろう。
敢えてどれがどんな・・・という紹介はしたくない。
むしろ映画好きなら(そうじゃなくても)、
読んで直にその感覚を味わってほしい。
個人的にどれが好み?と問われても、
答えるのが非常に難しい。
どの作品もテイストが違うので、
それぞれに楽しめるしどれも好きなのだ。
この作家は初めて読んだのだが、
おそらくとても相性がいいのだと思う。
誤解を恐れずに書いてしまうのであれば、
この作家は非常にビジュアルを想像しやすい文章を書く。
「映画」というファクターも存在するが、
それ以上に脳内イメージがわきやすい文章力なのだ。
それがとても読みやすくて心地良い。
久しぶりに良い作家に出会った気がする。



偶然知ったのだが、
ドラマ「SP」の原案・脚本はこの作家だった。
なるほど、
面白いのも当然とうなずける。
「SP」は設定も物語も面白かったが、
それぞれの登場人物の造形にも面白さがあった。
寡作な作家と見受けられるが、
ストーリーテラーとして、
これから注目していきたい。
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