「ちびしかくちゃん」 [マンガ]
ちびしかくちゃん 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2017/09/25
- メディア: Kindle版
国民的漫画『ちびまる子ちゃん』から飛び出した! さくらももこによるセルフパロディ漫画『ちびしかくちゃん』!! 「子供の世界にも人間関係がある」のは『まる子』と同じ、だけど本家よりも“何かと角が立つ”のが「しかくちゃん」…世知辛い世間を生き抜く、「しか子」をみんなで応援しよう! 合言葉は「がんばれ、しか子!」!!!
この世界、
今の学校という社会に当てはめると、
ちょっとゾクッとする。
セルフパロディと言うことで、
思いっきりネガティブな方向に振った話、
思考もネガティブな結論。
これを受け入れられない「ちびまる子ちゃん」ファンも多いだろうな。
個人的には、
作者が現実の社会に放ったメッセージだと思う。
「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」は遠い。
余りに総てのキャラが極端にふられているので、
受け入れにくいところもあるけれど、
これがさくらももこと言う人の、
世間と物事を見る力と考え方のような気がする。
個人的にはけっこう好きw。
2018-09-09 11:57
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「大家さんと僕」 [マンガ]
内容紹介
1階には大家のおばあさん、2階にはトホホな芸人の僕。挨拶は「ごきげんよう」、好きなタイプはマッカーサー元帥(渋い!)、牛丼もハンバーガーも食べたことがなく、僕を俳優と勘違いしている……。一緒に旅行するほど仲良くなった大家さんとの“二人暮らし”がずっと続けばいい、そう思っていた――。泣き笑い、奇跡の実話漫画。
今更ながら。
話題になっているのも賞をもらったのも知っていたけど、
なんとなーく読まなかった、
先日毎月通院している病院の待合室においてあって、
ちょっとした待ち時間に読み始めたら、
「ああ、続きが読みたいっ」と。
本当にこんな大家さんのような女性がいるんだなぁ。
とてもとても私には想像もつかない。
でも矢部さんはこの人と出会うことで世界が広がって、
ものすごくお互いに幸せだと思う。
(あえて過去形にはしたくない)
大家さんも年を取ってきて、
いろんな意味で変化はあるけれど、
何とも言えない落ち着きのようなもの、
凪のような生活が心地いい。
矢部さんにはちょうどいい人なんだと思う。
もしかしたら本当に運命だったのかも。
時は流れる。
人も年を取る。
いろいろあったことは知っている、
だからこそ今読んで良かった気がする。
日本一有名な大家さん。
あちらでもおおらかに穏やかに楽しくお過ごしください。
2018-09-05 16:54
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「ペリリュー ─楽園のゲルニカ─」 [マンガ]
第1巻の内容紹介: 昭和19年、夏。太平洋戦争末期のペリリュー島に漫画家志望の兵士、田丸はいた。そこはサンゴ礁の海に囲まれ、美しい森に覆われた楽園。そして日米合わせて5万人の兵士が殺し合う狂気の戦場。当時、東洋一と謳われた飛行場奪取を目的に襲い掛かる米軍の精鋭4万。迎え撃つは『徹底持久』を命じられた日本軍守備隊1万。祖国から遠く離れた小さな島で、彼らは何のために戦い、何を思い生きたのか――!?『戦争』の時代に生きた若者の長く忘れ去られた真実の記録!
このマンガの存在を知ったときから、
「いつか絶対に読まなければ」と思っていた。
この作者の作品は「さよならタマちゃん」で読んでいた。
可愛い絵柄とは全く似合わない、
壮絶な闘病記だったことが印象に残っていたので、
あの地獄の戦場ペリリュー島のことを描くのに、
それほど生やさしくきれいごとにするわけはないと思っていた。
思い切ったきっかけは、
戦争について天皇陛下の慰問について、
Twitterで友人と会話していたときにオススメされたから。
「ああ、この人が薦めるなら絶対だ」
こういう残すべきマンガは本として買いたかったが、
場所を取ることと値引きクーポンに負けて電子書籍で。
いや、それよりも何よりも、
早く読みたいという気持ちが強かった。
水木しげるの戦記物のように、
おどろおどろしい感じは全くしない。
それは絵柄が優しいからであり、
描かれている現実は凄まじい。
補給支援はなくなり、
島に備蓄してあった米にたどり着いたら腐っている。
糧食を得るためには見方も敵もない。
インパール作戦で、
「日本人は草食だから草を食べれば生きられる」
そんな指揮官に率いられてほぼ全滅した無謀な作戦。
その当時とは戦況は勿論違うが、
それでもやはり精神論で突き進む日本軍。
前線の兵士たちは「腹が減っては戦はできぬ」ことがわかっているのに。
最近は戦争を知っている世代が少なくなり、
当然前線にいた兵隊だった人たちはもっと減っている。
語り継ぐにも時間がなくなり、
生の声を聴く機会はどんどん減っている。
一方で街頭インタビューなどで、
20歳くらいの若者が、
「戦争になったら戦場に行きますから」と問われると、
ヘラヘラと笑いながら「行きますよ、日本人ですから。バンバン殺しますよ。」
そんな風に堪えている映像が流れる。
彼らはゲームの戦争しか知らない。
或いは映画の中のITを駆使した戦争しか知らない。
たぶん彼らはシリアで起こっていることも知らない。
シリアから逃れてきた難民のことも。
世界中の何処かで戦火があがっていることも。
自分たちはスタローンでもシュワルツェネッガーでもないことも。
日本人が知っておくべきことはたくさんある。
南方では文字通りの戦死者よりも、
病死や餓死の方が多かったこと。
ぬかるんだ泥につかり続けた結果、
足が腐って歩けなくなったこと。
沖縄では市民を盾にして軍人が逃げ隠れしたこと、
沖縄の人たちを見捨てて司令官が自決したこと、
陸軍中野学校出身者が年端もいかぬ子どもたちをスパイにしたこと、
いや、書き出したらきりがない。
軍人と死ねば恩給が出ても、
空襲で死んだり焼け出されても国はなんの補償もしないこと。
平和と繁栄が長すぎて、
戦争の現実を知らない世代が殆どになり、
日本が平和憲法を捨てさせられそうなこと。
本当にきりがないので、
とりあえず読んでくれとしか言えない。
現実はもっと生々しいのだが、
逆にちょっとソフトな絵柄でショックが和らぐので、
とっつきやすいと思うから。
時折挟まれる笑える話などが、
逆にリアルを感じさせる。
そしてより一層の虚しさも。
これが戦争。
これが前線。
これが日本のやり方。
哀しい真実を知るべし。
2018-08-18 20:47
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「町田くんの世界」 [マンガ]
第1巻の内容紹介: 物静かでメガネ。そんな外見とは裏腹に成績は中の下。アナログ人間で不器用。なのに運動神経は見た目どおりの町田くん。得意なことが何もないと本人は思っていますが周りからは愛されています。その理由とは…?
ホントにアフター6ジャンクションは罪作り。
趣味殺しからの人殺しの上に、
「読みたい」「観たい」「聴きたい」が満載で、
おかげでそんなにCDやデジタルミュージックばっかり買えないから、
Amazonミュージックアンリミテッドまで入っちゃったし。
そしてこれもオトナ買い。
読み始めたときはすごく不思議な感覚。
思いっきり見た目も地味なら、
頭の出来も地味で、
特にこれと言った特徴もないのに、
町田くんの世界はなぜか温かくて、
家族が多いからとかそんなことじゃなくて、
町田くんの視点が不思議で。
読み進めていくうちに、
なんで町田くんには当たり前の事が、
当たり前にできないのか。
実は自分にも思い当たることが多いので、
「はぁ~、そう言う感覚でいれば良いのかぁ」と、
高校生の町田くんに元気づけられて教えられる。
こうなったらもう、
一家に1人町田くん欲しいw。
一家に1人が無理なら、
親戚に1人でも良いから欲しい。
クラスに1人が無理なら、
学年に1人欲しい。
町田くんの世界がそこにあったら、
人間関係も変わっていく気がするから。
実はちょっと親戚に生臭い話があったので、
余計に町田くんの世界に没頭してしまった。
でも町田くんを作ったのは町田くんの家族だし、
その素晴らしさは折に触れて出てくるし、
最終話では本当に泣けるんだよね。
疲れたときに「町田くんの世界」を読んだら、
それだけで癒される。
町田くん自身が癒されキャラってわけでもないし、
やたらと博愛主義者とかじゃないけど、
「自然」「無意識」に心が真っ直ぐになっていく感じ、
これは唯一無二の世界。
世界は捨てたものではない。
そう思わせてくれる希有な作品。
2018-07-16 20:07
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「IPPO」 [マンガ]
内容紹介
「一足30万から」。
一条歩、職業・靴職人。12歳でフィレンツェに渡り、17歳から名門下の靴職人として働いた青年は、22歳の今年、東京にひっそりと店を構えた。その名は“IPPO"。極上を知る青年の店は、安くはない適正価格をとるが、上客、珍客、美しい客……とさまざまな客が訪れる。腕は確か、されど若造。そんな靴職人青年の手仕事ストーリー、はじまりはじまり。
「東京ポッド許可局」で紹介されていて、
猛烈に読みたくなって、
電子書籍で全部そろえるよりも中古コミックの方が安かったので、
5巻一気に大人買い。
ああ、また物が増えてしまった・・・。
基本的に私は「物を作る人」の漫画が好きだ。
職人さんが好きなのだといってもいい。
と言っても「若い職人」の物語が好きなのであって、
「今どき」と言われてしまうような、
そんな人たちのものづくりにかける心意気と技術が好きだ。
「IPPO」もフルオーダーメイドの靴職人の物語。
イタリア人の靴職人である祖父から受け継いだ、
技術と心をもって日本で開業する。
その価格、なんと1足30万円から。
もちろん欧米のブランド物を購入する人なら、
決して法外に高い価格ではないだろう。
しかし普通の既成靴を履いている人なら、
その30万で頭の先から足の先までコーディネートできるし、
或いは何パターンもコーディネートできる。
今の日本で年間30万円服飾費をかける人は、
どのくらいいるのだろうか。
単純に月に25,000円を服飾費に費やす人が。
けれど30万円以上を払う人だからこそ、
抱えている人生や事情が数多ある。
足形をとりながら、
どの形にするか相談しながら、
歩はそれぞれの人生に触れていく。
そこから推測されるもっとも似合う靴は何か、
もっとも必要とされる靴は何か、
そこまで考えてくれるのならば、
30万円は決して高い買い物ではないかも知れない。
そして歩むの靴を履いた客たちは、
靴という品物や価格以上の「何か」を心に持ち帰る。
今更職人になれるわけもなく、
だからこそ憧れるのだろうが、
これは私が一番最初についた仕事が服を売ることと関係している。
服を作るわけではない。
あくまでもリーズナブルな服を、
その店舗の顧客にあわせたレイアウトや見せ方で、
呼び込んで一番似合う望まれる商品を提供する。
この快感は事務職では得られない。
その後営業職もやったが、
顧客のニーズを満たしたときの快感は至福である。
それを一から作ることからできたなら、
それはどれほどの充足感をもたらすのか。
その想像が私がもの作りをする人たちを描く漫画を好む所以だ。
私がUNIQLOの商品を消耗品としては好みながら、
決して思い入れを持てない理由はいくつかある。
逆に無印良品の商品には愛着を感じるのにも、
同じようにいくつか理由がある。
そのものを作った人、売る人の思いが、
買う側にも伝わるものだからこそ、
人は多少高くてもなじみの店に行く。
買うのは「品物」だけではないから。
そんな思いが強烈に伝わる一作。
充実感高し。
2018-06-25 21:08
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「奇子」 [マンガ]
内容紹介
復員後、GHQの秘密工作員として働く天外仁郎。久しぶりに帰る天外家は、人間関係が汚れきっていた。呪われた出生を背負い、運命にもてあそばれる奇子。地方旧家、天外家の人々を核に、戦後史の裏面を描く問題作!
ドラマを観ていたら登場してきて、
俄然興味を持って即電子書籍で購入。
以前から読みたいとは思っていたけれど、
どうせ封建的なムラ社会の話だと思い込んでいたのが、
ドラマから「下山事件」に関係していると知って、
こりゃすごそうな話じゃないかと。
読んでみたら、
松本清張と横溝正史を掛け合わせたような、
陰々滅々とした田舎社会の血族の因習、
戦後昭和史の暗黒部分が描かれていて、
とんでもない作品。
もっと奇子自身が災厄を振りまく存在かと思えば、
途中から話が大きく展開して、
途轍もない戦後昭和の不可解な事件や、
それに絡む話が大きく展開していく。
さすが手塚治虫、
余りにも面白く一気読みしてしまった。
奇子はある意味災厄の省庁のような存在でありながら、
幽閉されて育ったが故に、
本能に忠実でありある意味とても純粋。
罪に手を染めた人間たちが、
彼女に心惹かれていくのは、
おそらくその純粋が故なのだろう。
彼女は欲にまみれた男たちの良心であり、
背負った罪を浄化してくれる存在だったのかも知れない。
久しぶりに手塚漫画を読んだが、
やはり面白いし、
その深さは天下一品である。
最近今までずっと続けて読んできた漫画に飽きている。
具体的に言えば、
「進撃の巨人」「ゴールデンカムイ」がどうでも良くなった。
これからも買おうと思うのは、
「3月のライオン」「大奥」「銀の匙」くらいだ。
今回手塚作品に久しぶりに触れて、
なんとなくその理由がわかった気がする。
電子版は場所も取らないし、
非常にリーズナブルなのでまた読んでみようと思う。
2018-04-15 18:23
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「ダーリンは70歳」~「ダーリンは72歳」 [マンガ]
内容紹介
素敵に齢をとって生きたいカップルへ!
美容整形界の第一人者で高須クリニック院長である、高須克弥氏・70歳。そしてコミック界の最終兵器、西原理恵子氏・50歳。二人合わせて120歳の熟年バカップル漫画。いくつになっても愛と人生を語り続けます!
サイバラ大好きなのに、
今まで敬遠してきた作品。
理由は簡単。
高須院長が極右思想の持ち主だから。
でも「ダーリンは72歳」が出版されたら、
その面白さを語るTwitterがバンバンTLにあがってきて、
我慢しきれずにオトナ買い。
一気読みして感想は、
「こう言う恋愛って良いな」って。
高須院長が「もうボクにはじかんがないんだよ」って殺し文句。
多分ウソじゃないと思うんだよね。
外ではものすごく元気だけど、
あれだけ自分を実験台にして、
一生のうち何度も何度も全身麻酔して、
メスを入れている身体で元気なはずがない。
でもそんな高須院長を元気にするのが、
サイバラが美味しそうに食べる姿と笑顔。
いろいろ言いたいことはあるけれど、
このカップルはこうなるべくしてなったんだよね。
サイバラとほぼ同い年としては羨ましい。
かっちゃんにお金があるとかないとかじゃなくて、
医者として人生の悲喜こもごもに触れてきたからこそ、
わかっている人間としての懐の深さ。
まぁその一方で人としておかしいところは一杯あるけど、
鴨ちゃんは病気だったけど、
でも本当は優しい人で、
たぶん戦場でいろんなものを体験しすぎて、
病んじゃったんだと思う。
それを癒すのがサイバラだったんだとしたら、
やっぱりこの二人も運命だったと思うし。
サイバラも地獄をたくさん見てきたから、
これからは穏やかに幸せになって欲しい。
いろいろ腹の立つこともあるだろうけど、
かっちゃんの最後を看取るまで、
良い関係で楽しくやっていって欲しいな。
2018-02-12 12:01
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「傘寿まり子」 [マンガ]
ちょっと体調が悪くて、
活字を追うのがつらくて、
マンガを読みたくて5巻まで大人買い。
いやぁ、面白い。
80歳にして家出してホームレスになって、
若き日のあこがれの男性と出会って・・・。
マジで自分の父親が今年80歳。
確かに年は取っているけど、
相変わらず自転車にも乗っているし、
自分の生きたいところには、
自分のペースでいっているし、
庭の手入れもいつもきれいにしていて、
私よりよほどマメで元気。
昔なら本当に「余命」って感じだったんだろうけど、
今の80歳って元気だなぁと、
つくづく自分の父親をみていてそう思うから、
次から次へと起こる出来事を楽しんで、
パワフルに突き進むまり子ちゃんの生き方は、
今の時代には当たり前なのかも。
そもそも80歳で現役作家だったってことも大きいと思う。
時折切ないところもあるけれど、
基本的に悪人は出てこないし、
まり子ちゃんのパワーがどんどん人を引き寄せて、
話がどんどん面白くなってきた。
自分が生きる場所は自分で作る。
そのくらいの気概がないと、
これからの高齢化社会は乗り切れないかも。
2018-01-05 13:30
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「波よ聞いてくれ(4)」 [マンガ]
内容紹介
『無限の住人』の沙村広明の筆が猛る! 「マンガ大賞2017年」5位作品の最新刊。自身の冠番組が軌道に乗ってきたと思いきや、先輩DJに呼び出されてコンコンと説教を食らったミナレ。一方、同居人の瑞穂が思いを寄せる構成作家・久連木が藻岩山ラジオを去るという。傷心の瑞穂を思いやるミナレだったが、その背後で道内の系列ラジオ局による大規模イベントが水面下で進行していた。各人の運命がいよいよ大きく動き始める!
いやぁ、冒頭から強烈w。
彼女のラジオに対する考え方というか、
パーソナリティに対する考え方に、
思わずうなるうなるうなる。
たまたま流れていた「大竹まことゴールデンラジオ」、
メインパーソナリティが夏休みで、
パートナーが好き勝手にやるウィークなもので、
芸人、パーソナリティ、普通の女、
この三つが同居することがいかにむつかしいか、
いろいろ考えてしまった。
ということで、
いよいよ本気で動き出した主人公たち。
当然周囲の状況も動き出し、
だんだん面白くなってきた。
絵柄にもコマ割りにも慣れてきて、
いろんなことがはまり始めた来たので、
より一層これからが楽しみ。
それにしてもこのミナレって女、
登場からすげー女だったけど、
どれだけの潜在能力があるんだろう。
人間としても深そうなので、
掘り下げれば掘り下げるほど・・・。
2017-09-28 15:44
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「羊の木」 [マンガ]
ギャグ漫画の巨匠2人が奏でる「不安」「願望」そして「笑い」の先にある物語! ――とある日本の地方都市が、犯罪を犯し刑期を終えた元受刑者を地方都市へ移住させる政府の極秘プロジェクトの試行都市となる。市長は一般市民には何も知らせずに元受刑者の過去を隠し転入させるというこの更生促進事業を受け入れた。移住するのは、凶悪犯罪を犯した11人の元受刑者。はたして、このプロジェクトの行方は!? 貴方の隣人が凶悪犯罪を犯した元受刑者だったら。罪償いし者達と罪未だ犯さざる者達の輪舞! ここに開幕!
この漫画が出版されたとき、
伊集院光が深夜ラジオで話題にしていて、
ものすごく興味はそそられたけれど、
ちょうど精神状態が不安定だったので避けていたところ、
先日「伊集院光とらじおと」でいがらしみきおがインタビューに登場。
映画化もされるとのことでより一層興味を惹かれ、
まとめ買いして一気読み。
時期が時期だから感じたのだけれど、
犯罪者を受け入れて普通に暮らさせるという街が、
一見平和だけど訳ありの犯罪者だらけのツインピークスと重なり、
人間の根深いところにある本質、
それが本当の意味で変わるのか変えられのか、
人間の悪意の本質とは何なのか、
信じること信じられることで何かが変わるのか、
変わることのない悪の本質とは何なのか、
実に考えさせられた。
実際に街には更正施設を出た来た人間がいる。
それは隣に済んでいるのかも知れないし、
職場に中途入社してきた人かも知れない。
その人間をまとめて自治体が受け入れる。
現実にあってもおかしくない話だ。
実際犯罪者が再犯で逆戻りするのは、
孤独であったり社会性に乏しくなじめないからだ。
その彼らを承知で引き受けて、
承知だからこそ寛容に受け入れようとすることは悪くない。
しかし事情を知っているものにとって、
彼らの一挙手一投足が恐怖に繋がる。
ひと言ひと言が「ばれるかも」という懸念に繋がる。
むしろ知っていて受け入れることの難しさを、
イヤと言うほど思い知らされる。
そして当然のように事件は起こる。
曰く付きの街だけに、
余計な騒動も起こる。
そもそもこのプロジェクト自体が怪しくなる。
誰もが誰を信じて良いのか、
信じることができるのかわからなくなる。
奇妙な街の過去に導かれて、
奇妙なプロジェクトが密かに行われ、
奇妙な因縁で事件が展開していく。
でもこれは寓話ではない。
現実にあったとしてもおかしくない。
山上たつひこといがらしみきおと言う鬼才が出会い、
現実社会を切り取って表現した、
見事な作品であり、
「マンガ」というカテゴリーで片付けられる作品ではない。
これを映画化したとき、
何がどう削られてどう強調されるのか、
興味はあるが余り考えたくない。
映画は映画、漫画は漫画、
そう考えておくのが心構えとして正しいだろう。
2017-07-17 02:04
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