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「犬神家の一族」 [TV]



後編の最後の最後で、
吉岡秀隆を金田一にキャスティングした理由がわかった。
この脚本では見た目に反して怜悧な頭脳を持つ、
有名な探偵を演じる必要はない。
むしろ自分の中に事件を取り込んで、
そしてなお理解をしたいと思う金田一、
自らが暴いた真相に隠れたものを知りたいと思う金田一、
その金田一を演じるにふさわしい役者が必要だった。
それは市川崑と石坂浩二が作り上げた金田一ではなく、
その後も数多の役者が演じてきたどの金田一でもなく、
吉岡秀隆が演じる金田一である必要性があった。
余談だが中尾彬演じる金田一などもってのほかだ。

そしてがっぷり四つに組む大竹しのぶ。
もう鬼気迫る演技でございました。
竹子、梅子とは格が違いすぎて、
その凄まじさはもうもう言葉が出ません。

そして最後の絡繰り。
それは果たして金田一の考えたとおりなのか。
だとしたらなんという呪われた恐ろしい一族の血。
今まで固定されて来たかのようなこの物語に、
更に一つ重いくびきを与えた。
苦悩する金田一の姿が物語る、
他の誰も考えなかった真相の重さ。

あのシーンがなかったら、
このドラマは今までの「犬神家の一族」と比較しても、
何一つ変わらない平凡なドラマだっただろう。

あのシーンを謎解き後に見せたとき、
「あれ?」と思ったのは正しかった。
クライマックスはそこでもなかったし。



苦悩する金田一の姿。
これこそ新しい金田一としてふさわしい。

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