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アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』 2021年8月 (NHK100分de名著) [TV]


アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』 2021年8月 (NHK100分de名著)

アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』 2021年8月 (NHK100分de名著)

  • 作者: 沼野 恭子
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2021/07/26
  • メディア: ムック


プロパガンダに煽られ、前線で銃を抱えながら、震え、恋をし、歌う乙女たち。戦後もなおトラウマや差別に苦しめられつつ、自らの体験を語るソ連従軍女性たちの証言は、凄惨でありながら、圧倒的な身体性をともなって生を希求する。そうした声に寄り添い「生きている文学」として昇華させた本作をはじめ、アレクシエーヴィチの一連の作品は「現代の苦しみと勇気に捧げられた記念碑」と高く評価され、ノンフィクション作家として初のノーベル文学賞を受賞した。原発事故、差別や自由、民主主義等、現代世界に投げかけられた問いを提起し続けるアレクシエーヴィチの文学的価値について、彼女とも親交の深いロシア文学研究者の沼野恭子氏が解説する。

一挙放送をしていたので、
今だからこそ観ておこうと。

「ロシアン・スナイパー」という映画を観た時に、
始めてソビエトでは兵士も男女平等だったことを知る。
しかしいくら男女平等とは言っても、
身体的能力や特徴は同じであるはずもなく、
女が戦場で同志として戦って役に立ち、
かつ弱い部分では守ってもらうためにどう生きるか、
その事実がとんでもなく残酷なものに思えた。
それは現実であり本当だった。

しかしそれにもまして、
共産主義でありスターリン政権下のソビエトでは、
旧弊たる価値観と都合の良い共産主義が共存し、
それが故に男性も女性も兵士たちは苦しむ。
「ソビエトには捕虜はいない」として、
捕虜として釈放された兵士は収容所に送られ、
村へ帰った女たちはあばずれと辱められる。
その一方で彼女たちが語る物語と、
表に出してもらいたい物語の相違。
プロパガンダに洗脳された人たちは、
それすら無意識に語っていく。

それにしても言葉数は多くないが、
時折挟み込まれる伊集院さんの言葉は、
常にこちらの心に何かを波立たせる。
この人の言葉に対する独特の感覚は、
やはり卓越などと言う平凡な言葉では言い表せない。

「証言文学」というジャンルは、
実は恐ろしくて手にできないでいた。
しかし今回の放送で語られる、
著者の言葉を聴いていて思った。
「こう言う思いで聴いたのなら、 
 それを理解して書き残したのなら、 
 つらく厳しい読書ではあるが読んでみたい。」

まだ覚悟はできていないけれど。

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