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「ひとまず上出来」 [本]


ひとまず上出来 (文春e-book)

ひとまず上出来 (文春e-book)

  • 作者: ジェーン・スー
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2021/12/15
  • メディア: Kindle版


重ねる歳はあるけれど、明けない夜はないはずだ。
CREA連載「●●と▲▲と私」に加え、SNSで話題沸騰の推しエッセイ「ラブレター・フロム・ヘル、或いは天国で寝言。」、
楽しいお買い物についての書きおろしも収録。
いまの自分の「ちょうどいい」を見つけよう、最新エッセイ集!
化粧が写真に写らない/なぜ私のパンツは外に干せないのか/「疲れてる?」って聞かないで/ていねいな暮らしオブセッション2021/「四十代になれば仕事も落ち着く」は幻想です/「愛される」は愛したあとについてくる、らしいよ/#今日の鍛錬/私はちょっと怒っているんですよ/「おかしい」言うことの難しさよ /やりたいか、やりたくないかの二択です/中年の楽しいお買い物/ラブレター・フロム・ヘル、或いは天国で寝言。…ほか50エッセイ収録!

違和感は覚えていた。
昔ほどスーさんのエッセイが面白くない。
何か引っかかるものを感じる。

なのでちょっと辛かった。
「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」で、
鮮やかに女子の自意識を切ってくれた爽快感、
それは年を追うごとになくなり。
おそらく彼女と自分の立ち位置が、
その間に大きく乖離してしまったことが原因なのだろう。
もともと持っていた才能は言うに及ばないが、
とにかく彼女はいろいろな意味で一般人とはちょっと違う、
ある意味特別な場所に引き上げられた。
彼女自身は何も変わっていないというだろうが、
エッセイの中に登場する世界が、
そもそも変わっていることに気づいていないのか。

おそらくもう彼女の著書を読むことはないだろう。
なぜならもはや「爽快感」がなくて、
読んでいるうちに自分とは格が違う、
もやもやと嫉妬のような感情が残るから。

 
クラスの違う読者を切り捨てられて、
「ひとまず上出来」なのかもしれない。

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