SSブログ

「その女、ジルバ」 [マンガ]




内容紹介
高齢BARへ、いらっしゃ~い!!
伝説のママ・ジルバの店 BAR OLD JACK & ROSE―――
終戦直後から夜の世界で生きてきたホステスたちの高齢BAR。
ホステスの平均年齢は70歳以上。人生の酸いも甘いも知り尽くした女たちが最高のおもてなしで、常連客たちを迎える。
そこへ飛び込んだ一人の新人・笛吹 新(うすい・あらた)、40歳。
大手スーパーの倉庫で働く彼女は、
恋人なし、貯金なし、老後の安心なしの崖っぷち人生。
リストラで希望の職場も追われ、
夢も、仕事も、結婚も、あきらめかけた彼女が、
笑い、歌い、踊り、いつの日か忘れていた何かを取り戻していく。
昼と夜、二足のワラジで働くことになった、見習いホステス・“アララ”。
彼女のシングルライフに、どんな変化が訪れるのか!?

アトロク物件w。
宇垣総裁が「これが気になる」とご指摘だったのと、
全5巻完結だったので。

現代高齢女性の逞しさも勉強になるけれど、
この物語にはいろいろなことが盛り込まれている。
まずはジルバの育ったブラジル。
日本人がブラジルに移民するに至った歴史、
そこからどれだけの苦労をして生活をしてきたか、
そして戦争が終わった時に「勝ち組」「負け組」に分かれ、
そこにはどんな思惑と争いがあったのか。
ブラジルを引き上げてきたジルバ家族の悲劇。
ブラジル移民の歴史を知ることができる。
さらに主人公の故郷福島。
東日本大震災で被災した弟夫婦に実家。
その現在と立ち上がろうとする人たちの姿。
そして戦後の日本で女性が生きることの困難さ。
食べていくこと、生きていくことが困難で、
道を選ぶこともできなかった女が、
どんなふうに男たちに翻弄され、
自分の足で建てるようになるのか。
軽い気持ち読み始めて、
5巻なんてあっという間だろうと思っていたら、
読み込むところが多くて、
案外時間がかかってしまった。
もっともその分知識も得られるし、
いろいろな意味で勉強にもなった。

もうとにかく深い。
目から鱗がポロポロ落ちる。
もちろん読むのがつらい話もある。
だけどそれは日本人が知らなければいけない事実と歴史。
それを気軽に読み始めた漫画で教えられるなんて。
最初読み始めたときは、
「絵がちょっと好みじゃないかなー」とか思ったけれど、
そんなことはどうでも良くなる内容。
濃い、深い、重いところは多々あれど、
今を謳歌するホステスさんたちの明るさに救われる。
みんなそれぞれ苦労しているし、
今も苦労しているのに。

高齢社会がやってきた今、
こういう場所も必要なんだろうなぁと思う。
もちろん若い子がいるキャバクラとかは必要だけど、
それ以上に人生の機微を気軽に語ることができて、
違うものを得て帰れる場所が。
デイサービスで折り紙とかカラオケとかやるのもいいけど、
最近は麻雀とかカジノみたいなデイサービスをやっているところもある。
みんな高齢者を馬鹿にしすぎている。
高齢者だって人間だから欲望もあるし感情もある。
高齢者になったからって誰しも穏やかになるわけじゃない。
だからこういう働く場所も必要だし、
こういう場所に行く人がいてもいいのだ。

なんだかものすごく考えさせられる。
これはアトロク物件の中でも一番のおすすめかも。

コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。