「殺人の追憶」 [ストリーミング]
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
ポン・ジュノ監督による本格サスペンス。ソウル近郊の農村で若い女性の死体が発見される。その後も同じ手口の事件が起こり、地元の刑事とソウル市警から派遣されたエリート刑事が捜査に当たるが…。ソン・ガンホ主演。
何度でも観たくなる不思議な映画。
連続殺人事件と犯人を追う刑事たち。
事件はけっきょく解決しないし、
スッキリ終わるわけではないのだが、
最後のソン・ガンホの表情を見たさに、
少女の言葉を聴きたくて、
迷走する刑事たちを何度でも観てしまう。
韓国が民主化する前の話であり、
その様子がデモによる機動隊の対応や、
非人道的な取り調べにも表現されている。
それはマスコミと警察の関係や、
市井の人々との関係にも表現されており、
独特の雰囲気が今の時代の韓国とは違う。
そういうディティールを細かく観ていくと、
この映画は更に味わい深いものになるのだろう。
ポン・ジュノ監督ももちろんそんなことは承知の上、
或いは韓国では民主化以前と以降ではまるでちがう、
経済界も大きく変わっている、
時代の変遷を織り込みながら事件からの時間の流れを描く。
この作品の趣深さはそうしたところにあるのだろう。
今は刑事を辞めてセールスマンをしている主人公が、
たまたま通りかかって懐かしさから立ち寄った村で、
一気に時代を引き戻されて、
一瞬にして刑事の顔を取り戻す。
「パラサイト」がアカデミー賞を受賞したことから、
近々WOWOWでポン・ジュノ特集をすると思っていたが、
なかなかやってくれないので、
諦めてメディアを買おうかと思っている。
ポン・ジュノ監督独特のユーモアと、
陰惨な場面における緊張感のバランス。
パク・チャヌクのような重さとはまた違う世界。
韓国映画は当分やめられない。
2020-05-23 19:46
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